【詩】田無駅

「分からないことは、分からないまま天国まで持ち込んで、また考えようね。」
わたしたちはきっと、夜と朝を、この世界と別の世界を、決められた法則に従いながら、絶えず行ったり来たりしていて、そして、ずっと鉄道の小さな車窓から、踏み入ることのない地形を眺めている。
通学路だろうがなんだろうが関係なく、
精神年齢10歳のまま、どこへでも行ける気がしていたのに、それなのに、いつの間にか、知識ばかり増えていって、
余生さえ気にしなくなって、今日も、昨日と同じように改札を抜けていた。
もうすでにわたしは、どこにも行けないことを知っている。
「天国に行くにも、きっと定期券が必要なんだね。」
ただ輪軸につられるように、周期的に公転するだけの存在で、つまらないけれど、それでもね、まだ、夜だけが優しいんだよ。
幽霊なんて怖くない。
だって終電の後には、人知れず銀河鉄道が走っているから。

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