僕には何もないんだけど…
今の僕には何もない。
職もないし、人脈もない。SNSで人気というわけでもない。
完全に人生詰んでいると言っても過言ではない。
しかしまだマシというか、どん底かもしれないけど、地獄ではない。
交通事故の加害者になったという話を聞いたことがある。
妻と子供からは逃げられ、親は自殺。そういう話を結構聞いている。
こういうとき、日本政府はなにもしてくれない。民主主義というのはこういう側面がある。よく言うと放任主義みたいな。
僕もその放任主義の網目から落ちた人間だ。困っていることは沢山あったのだが、誰からも気づいて貰えなかった。
適切な援助を受けられなかったのだ。これを残酷と見るかありのままと見るか。
しかし人生には至る所に落とし穴がある。
人間は豊かな想像力と引き換えに、豊かな不幸を手に入れた。
天涯孤独になったり、家族ができても障害があったり、怪我をしたり病気をしたり犯罪に巻き込まれたり、被害者になったり…それこそ交通事故の加害者になることだってあるだろう。
人はみな老いるし病気にもなる。終いには死ぬ。これを残酷とみるかどうかは個人の主観だが、望んでいる人間はいないだろう。できればずっと若く健康でいたいし、病気にもかかりたくない。
加害者にだってなりたくない。事故は不本意な形で起こるから事故なのだ。
そういうような立場になっていないのでまだましである。
人には役割がるが、そんな人を不幸にする役割はゴメンだ。耐えきれない。
僕は免許を所得しているが、車の運転はしないと決めている。
教習所の職員が交通事故を起こしたというのを、バイト先の人から聞いた。被害者は女児だった。職員の名前は、その事故のあと教習所で見なくなったので退職したらしいが、未だに女児のその後も職員のその後も分からない。僕は事故の前からその職員の名前を知っていた。顔は覚えていないが。
身近に落とし穴は沢山あって、いつ自分がハマるかは分からない。
生きているだけで丸儲けというが、場合によっては1秒ごとに負債が増していく人生もあるだろう。
孤独で後ろめたい人生だが、賠償金が無い分僕の人生はまだ恵まれているのかもしれない。