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「街とその不確かな壁」読了

📘街とその不確かな壁📘村上春樹

第三部まで読了。
読み終わってしまったぁ。。。
かなりの長編にもかかわらずまだまだ読んでいたかった作品でした。

村上春樹の作品をすべて読み尽くすほどの大ファンであり待ち望んでいたこの作品は想像を超えるものでありました。

自分でもここまでのことを受け取れると思っていなかったのです。

これは読書感想というよりも、他の本とはまた別のものであり、別格です。

読書というよりも「この世界の中にいた」という時間でした。

何日もかけて丁寧に、一言一句漏らさずに味わうように読みました。村上春樹の作品はいつでもそうしたくなるものがある。

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まずこの物語には正式な名前というものが出てこないことに気づきました。
恋するふたりは「君とぼく」

そして「イエローサブマリンの少年」これは「M**」でもある。

ただひとり「子易さん」というこれまた変わった名前であるが、この方だけは名前がある。何とも奇妙に思いますが、最後まで読むとそうした理由がわかります。

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舞台は主に図書館。私はとても本が好きなので、その図書館の雰囲気を味わえるのもとても心地よかった。そこで出される美味しそうな林檎菓子と紅茶。暖炉。

ひとつひとつのセリフには無駄がなく、登場人物たちもまた読んでいる私の脳裏にイメージが浮かんだ。

「君」を想う「ぼく」の切なく愛しい気持ちはキュンキュンと伝わってきた。
「待つことにはなれている」最後の方のその言葉に、彼自身が気づく時。そのシーンがとても印象的で切なかった。

並行世界。「1Q84」も2つの世界が描かれており、それと似てるとも感じました。

これはパラレルワールド?
不確かな壁を超えていくのは意識?無意識?その世界はスピリチュアル?それともただの空想?夢の世界?

「心に望みさえすればいい」
潜在意識についても書かれている。

「常に現在しかない。時間は存在しない」
時間は幻想ということについても。

私の中ですべてが一本の線でつながりました。

潜在意識やパラレルワールドについてここ数年学んできたことがこの物語の中に散りばめられていました。だからこそ惹かれる世界観であったのだと思います。
ひとつひとつのセリフが私の胸に沁み込んできたのです。

これはただの夢物語ではありません。
人間の無意識の世界について深く追求した話で、目には見えないものを、2つの世界を舞台にして表現した、村上春樹氏の「意識とは」の哲学書なのだと感じました。村上氏にとっても人生をかけた作品となっているのだと思います。

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この本には「あとがき」があり、大変ありがたかった。どうしても村上氏の言葉が聞きたかったからです。

そこに「この物語には自分にとって重要な要素が含まれている」と書かれています。そのことに気づいたので、こんなに時間をかけてこの作品をどうしても世に出したかったのでしょう。

「街と不確かな壁」を最初に発表されたのは40年前。それだけの年月を経て、ご本人が気づかれたこと、書き直したかったこと、変化した部分があった。

けれど40年前も今も「小説を書く」というナチュラルな愛に関しては変わっていないと書かれています。そのことにとても胸を打たれ、やっぱり私の好きな村上春樹氏だと思いました。

めちゃくちゃよかった。長編なのにこんなにスイスイと読めて味わえて楽しめた作品でした。私の読書歴の中でもトップクラスの作品となりました。



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