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地産地消という言葉はもう古い!?

 昨日、とある団体からご招待をいただき、地産地消に関する会議に出席しました。6名の参加者のうち、僕以外は有名な方々ばかり。年齢も一番下でちょっと肩身狭い感じでしたが、つながりのある方が多く、楽しい時間でした。

 地産地消(地場生産-地場消費)という言葉が生まれて30年以上が経過し、改めてその重要性を発信することが会議の趣旨でした。いくつかコメントした中で、最も伝えたかった点が地産地消のアップデートです。 

 地産地消3.0と表現しましたが、地産地消1.0が1980年代~90年代に中山間地域の農業や都市農業、農村女性の実践(農産物直売所や無人直売所、庭先販売、農産加工など)が各地で広がり始めた時期、地産地消2.0が2000年代以降で、こうした動きが全国的に広がりつつ、大型農産物直売所や学校給食への供給、地場農産物を扱うインショップの設置などが進んだ時期で現在に至っていると思います。

 地産地消という言葉自体古いのでは?ということもこの会議では出ましたが、そうではなく、むしろ多彩な地産地消、それにもとづいた直売が身近になったのでは?と少しポジティブに捉えています。どこでも地場農産物が手に入る時代になったということです。

 こうした状況を前提に、地産地消3.0は地産地消が顔と顔が見える関係性を築くことができてきたのか見つめ直す段階ではないでしょうか。地産地消は生産者と消費者の物理的な距離を縮め、食と農のつながりを豊かにしていることは確かな事実です。

 ただ、生産者と消費者の人間的な距離を縮めてきたのかと言えば、そうではありません。農産物直売所を例に取れば、生産者と話したり、ましてや生産現場を訪ねたり、一緒に農作業したことがある人はほとんどいないでしょう。学校給食も地場農産物を導入したとしても、生徒が生産者とつながり、農業体験を継続的に行う取り組みもごくごく少数です。地産地消3.0は、生産者と消費者のつながりの中身を問い直す段階です。

 これを突き詰めると、地産地消3.0は「生産者-消費者」という枠組み自体を解きほぐすことにつながり、耕す市民の実践を広げていくこともこの中に入り、重要な柱です。

 もうひとつ、地産地消3.0ではこども食堂やフードバンク、フードパントリーなど食支援活動と地域農業の連携が求められていることもコメントしました。この点はまた詳しく書きたいと思いますが、例えば、学校給食の地場産化・有機化を進める取り組みとこども食堂、フードバンクの活動は別物ではなく、同じ方向を向かなければいけないのではないかというのが最近の関心事です。PARC自由学校で企画している「コモンズとしての食」の問題意識とも重なりますね。


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