一歩踏み出すのは、
ずっと、エスカレーターが苦手だった。いや、今でもちょっと苦手かも。小さい頃、お母さんとデパートに行って、屋上の駐車場から降りる時、恐らく初めてエスカレーターというものに乗った。お母さんは妹の手を引いて一緒に乗って、後ろをひとりで歩いていたわたしは、エスカレーターに乗れなかった。タイミングがわからず、足を出しては引いて、そうしてるうちに長靴が脱げて、わたしの長靴だけが下で待つお母さんのところへ行く。わたしはより一層焦るけれど、やっぱりエスカレーターに乗れなくて、悲しかった。通り