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知名度ゼロの一般人が、イチから日本語教師コミュニティを立ち上げた話。

2020年暮からオンラインに活動場所を移し、オンラインで生きていく道を選びました。その後、どうやってそれを成し遂げるかを考え考え考え…、試行錯誤した過程をここに記録しておきます。


2020年 準備期間

2021年1月、私は知名度ゼロから、たった一人でオンラインコミュニティ(オンラインサロン)を立ち上げました。この記事では、私がどのような思いでコミュニティを立ち上げ、そしてどのように運営していったのかについて書きます。ゼロからオンラインサロンを立ち上げたい!自分のコミュニティを作りたい!と思っている方の参考になれば嬉しいです。

大きな転機になったのは、2020年に「子どものための日本語教育研修 子ども初任コース」に参加したことです。研修はオンラインで行われ、私は北海道・東北ブロックに参加しました。その時初めて、自分の学校以外で日本語教育に携わっている人たちに出会いました。詳しくはこちら。

同じ頃、「オンライン日本語教師 あつこ」さんの動画をきっかけに、フリーランス日本語教師オンライン日本語教師という働き方があることを知りました。こういったオンラインや海外で働く方たちは、横のつながりがなく心細い思いをしているのではないか、ということに気が付いたのです。

日本中で、世界中で、同志を求めている人たちをオンラインでつなげることができたら…。

と考えました。当時、日本語教育業界ではまだ誰もオンラインサロンを運営していませんでしたから、競合ゼロ!ブルーオーシャンすぎる!ということで、私は挑戦することに決めました。

そして、うまくいけば不労収入が手に入る!と思ったのです。そんな不純な動機か、と思うかもしれませんが、この時の私はうつ病で勤務校を休職していました。休職後に職場復帰できるかどうかもわからず、とにかく生きるのに必死だったのです。
仕事を辞めたら辞めたで収入の当てがあるわけでもなく、体力も自信も気力も人脈も、な〜んにもなかった私。できるだけ働かず、職場にも復帰せず(=退職)、収入を得ることができないものかと考えて考えて行き着いたのが、”オンラインサロン”です。そういう裏の事情もあり、オンラインサロンを始めようと思いました。
※オンラインサロンとオンラインコミュニティは同義で使っています。

しかし思い立ったはいいものの、「オンラインサロン」自体がまだ世の中に受け入れられておらず(今も?)、日本語教育業界ではサロンやコミュニティと呼べるものはほとんどありませんでした。参考にできる人もビジネスモデルも、ほとんどない状況からのスタートでした。

セミナーに参加

挑戦を決意したはいいものの、私自身もオンラインサロンについて詳しくなかったので、まずは勉強することから始めました。ビジネスをする上で、市場調査や競合視察はとても大切なことです。

当時「ライブクリエイト」という会社(現在はTENGOODに事業譲渡)が行っていた、ビジネス系のオンラインセミナーにいくつか参加しました。オンラインセミナーってこんな感じにやればいいんだ、とセミナー運営やファシリテートの参考になりました。これからオンラインでビジネスを始めようと考えている方は、まずはそのサービスをお客さん側で体験してみることをお勧めします。

オンラインサロンを研究

ある程度オンラインサロンの知識を身につけた上で、実際に運営して成功されているサロンを研究してみることにしました。日本語教育を謳っているサロンはまだなかったので、単純に自分の興味関心と認知度で選びました。サービス内容、入会希望者への説明会、ウェブサイトの設計、使用ツールなどを調べて比較し、自分のビジネスに合ったものはどんなスタイルか、模索しました。

Twitter開設

次に行ったのは、Twitterの開設です。2020年の12月に、日本語教師としてのアカウントを新たに作りました。この時当然ながらフォロワー0、知名度ゼロからのスタートでした。
プロフィールに【日本語教師】と書いてある人を片っぱしからフォローしていき、世の中には日本語教育に関わっている人がこんなにもいるのか、と驚いたものです。それから約1年間でフォロワーさんは1700人、2024年現在は2900人になりました。みなさん、ありがとうございます。

コミュニティ説明会

段々と土台が整っていき、コミュニティの概要も固まってきたところで、CAMPFIREでコミュニティページを作り、申請も無事にクリアしました。そして、コミュニティ説明会を開くことにしました。
しかし、知名度もなければ地位も人脈もなかった私。コミュニティオープン前に行った4回の説明会に来てくれたのは、片手に収まるほどの人数でした。来てくださった方数名に向けてプレゼンをし、さまざまなご意見をいただきました。その時にいただいた率直なご意見は、大変貴重でありがたいものでした。感謝申し上げます。

2021年1月 オープン

説明会では全く手応えを感じることができませんでしたが、半ば無理やりコミュニティをオープンさせることにしました。私の予想では、100名ぐらいの同志がバァーーーっと参加してくれるかなぁと考えていたのですが、流石に甘かった
オンラインサロン自体が市民権を得ていない中、知名度も特別な経歴も経験もないポッと出の若者が、いきなり有料コミュニティで始めたものですから、オンラインサロンとしての結果はかなりひどいものでした。
準備不足だったこちら側の問題もありましたが、ただでさえ薄給と言われている日本語教師の皆さん、財布の紐が堅い堅い。最初にコミュニティに参加者してくださった方々は、参加無料キャンペーン中に入会してくれた数名だけでした。
これではいかんと、その数名の初期メンバーさんたちに相談に乗ってもらいながら、無料のコミュニティとして再スタートさせることにしました。その時のメンバーさんからは、「hannaさんのコミュニティなんだから好きなようにやっていいよ」と言っていただき、かなり背中を押していただきました。本当に頭が上がりません。

2021.3 再始動

装い新たに、無料のオンラインコミュニティとして再始動させました。フォロワーさんの増えたSNSをフル活用し、告知、宣伝、DMしまくりました。皆さん興味は持ってくれていたようで、無料開放すると参加者は一気に増え、最終的には4ヶ月で124名までメンバーが増えました。

コンテンツは「情報共有」

「日本語教師のための情報共有コミュニティ『あいうえお』」というコミュニティ名にもある通り、このコミュニティの主目的は「情報共有」です。
コミュニティ設立当初はメンバー同士の「交流」を目的にしていましたが、お互いのことを何も知らないネット上のニンゲンたちとの交流は、そううまくはいきませんでした。次第に今求められているのは「交流」ではなく、自分に必要でかつスピード感のある「情報」だ、ということに気がつきました。

あそこに行けば、まとまった情報が手に入る。
あそこを見れば、最新の情報が得られる。

そんな、情報迷子の方のための場所が作れればと思い、コミュニティ再始動時には運営方針も変更しました。今思えば、それに気づけたことが一番の勝因だったのかもしれません。
「どうやったら自分が欲しい情報が得られるのか分からない」という層は、一定数います。ネット上に情報が溢れ過ぎていることと、自分がしたいことを上手く言語化できないことが原因です。そういった方のお悩みに、ピンポイントで最適な情報をマッチングし提供できる、人間図書館のような存在を目指しました。コミュニティ設立当初からその情報共有というコンテンツを提供し続け、2024年現在も平日の毎日投稿を続けています。

サブコンテンツ「オンラインイベント」

もう一つのコミュニティの”売り”として、オンラインイベントを開催することにしました。私の強みは、高校での日本語教育経験と、オンライン日本語教師としての経験です。この2つを軸に、自分が今までやってきたことを勉強会としてコミュニティ内で共有しました。さらに、メンバーをゲストスピーカーとしてお迎えし、お話ししてもらう「シェア会」や、もっとラフな「メンバー交流会」も行っています。
これらのオンラインイベントはあくまで”サブコンテンツ”であり、参加は強制しません。時差や家庭の事情等の問題もあるので、途中の入退室や録画共有もありにしています。「参加してもしなくてもいい」という自由度が、このコミュニティには合っていたような気がします。
メインコンテンツは「情報共有」(テキストでのやり取り)ですが、メンバー同士がリアルタイムで交流できる場所も、やはり一定数需要があります。このような会があると、直接「私」のことを知ってもらえるし、メンバー同士も顔見知りになれます。何より、メンバーと直接コミュニケーションを取ることで、コミュニティの心理的安全性が保たれます。また、実際に”話す”ことで、その時間がメンバーの息抜きの時間となり、”居場所”にもなります。

2021年7月 有料化

そんなこんなでうまく行っていたかのように思えましたが、メンバー124名を抱えても1円も入ってこない日々が続きました。その時の私は、毎日15件ほどの日本語教育に関する情報をコミュニティに投稿し、週3回ほどのオンラインイベントを開催していました。それらほとんどが無給です。このままでは自分の首を絞めることになる、持続可能な運営をと思い、コミュニティの有料化に踏み切りました。

ホームページ作成

有料化に踏み切った理由は、実はもう一つあります。当初使っていたCAMPFIREのサイトは、オンラインコミュニティ用のプラットフォームとして最大手だったこともあり安定はしていたものの、使い勝手に不満がありました。ページの文言を一つ変えるにしても、申請→審査→再確認→承認(変更)と、かなりの時間がかかっていたのです。
思い立ったらすぐに行動したいタイプの私は、アイディアが思いついたその瞬間に変更したい、しかしそれができないもどかしさを感じていました。

そんな理由で、だったらいっそ自分のHPを作ってしまおう!と思ったのです。
しかし私にはHPを作れるような技術はなかったので、コミュニティ内でお手伝いしてくれるメンバーさんを募りました。その時に手を上げてくださったのがセンリさんです。全くのWordpress初心者の私でもHPの運用ができるように、短期間で素敵なサイトを作り上げてくれました。

決済システム

そしてHPをリニューアルするにあたり、新しい決済システムを導入しなければなりませんでした。何を使おうか迷いましたが、メンバーペイというシステムを使うことにしました。私がオンライン日本語教師を始めるきっかけになったあつこさんが、ご自身のサロンでこれを使うと教えてくれたのです。
メンバーペイは、他の決済システムに比べて手数料が安いというメリットがあります。しかし手数料が安いということは、ページもそれなりです。決済システムとしてその機能は全く問題ないのですが、それ単体では集客できません。他のSNS等でコミュニティを宣伝していく必要があります。
幸い、今ではコミュニティのTwitterfacebookInstagramYouTubeチャンネルがありますし、HPも構えたとあれば、それほど大きな問題ではありませんでした。

紹介動画

せっかくHPを作るのなら、コミュニティの紹介動画も作りたいなぁと考えました。PV的なものがあったら映えるんじゃないか、と思ったのです。そこで、以前からなぜかTwitterで仲良くさせていただいていた草食系高校教師さんに依頼をしました。英語教員の方ですが、アニメーション制作やブロガーとしてもご活躍されています。想像以上に素敵に作ってくださいました。

そうして「あいうえお」は有料コミュニティとして再スタートし、2024年、現在は4年目となりました。コミュニティを有料化してからは、メンバーは毎月45名前後で推移しています。

ほとんど思いつきで始めたオンラインコミュニティでしたが、まさかこんなに続くとは自分でも思っていませんでした。今では私の大事な収入源、そして私の”居場所”でもあります。


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