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“ライブ“の感覚

高校生の時、初めてライブというものを体験した。

そこまで聴き込んでいたミュージシャンのライブではなかったけど、それでも緊張とワクワクが、体験前の私の心を占拠していた。

そして開演。
第一音が鳴り響いた後、私が驚いたのは、

“音が内臓に響くこと“
だった。

それまで大きな音で演奏される音楽を聴いたことがなかったので、音が自分の心臓や胃腸のあたりに直接響く感覚をその時初めて体験した。

それは慣れるまで、普段は決して味わえない奇妙な心地良さと、内臓の存在を意識せざるを得ない居心地の悪さの両方を私にもたらした。

時を重ねること数年。

その間に、星野源さんとサカナクションのライブに参加することができた。
どちらも昔からとても好きなミュージシャンだ。

それぞれのライブで音の響き方は異なるものの、内臓にまで音が響く感覚がするのは変わらなかった。

そんな体験を重ねる度に、居心地の悪さよりも心地良さの方を感じる比重が大きくなっていった。

普段はここまでなかなか意識しない内臓の在処を、美しい音楽と共に感じるひととき。

素敵な音楽に心が躍ると共に、身体の奥深くまで響く音によって、今“生きている“ことを意識させられる。

音を心と身体全体で感じながら、次はいつこの感覚を味わえるのかな、と早くも考え始めるのだ。