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愛の宅急便

贈り物には愛があると思う。

それはときに、「買った側の自己満足」が含まれている場合もある。
「相手を想って」と「自己満足」の境界線って、すごく難しい。

そういえば今日買ったトマトペースト、よろこんでくれるかな。
勢いで買ってみたけれど、自信がなくなってきた。

愛はあるけど、自己満足かもしれない。
それでも、購入の瞬間はあなたの顔(それも、勝手に喜んでくれるという妄想を引っさげて)が浮かんで
あなたよりわたしのほうが、しあわせになっちゃったりする。

そして買ったものを届ける、というのもひと手間だ。
会うなら忘れないようにして、邪魔にならないか気遣って

送るならもっとめんどくさい。
箱やら封筒に詰めて、切手を貼るのかレターパックを使うのか
それとも宅急便コンパクトに納まるかなど、ごちゃごちゃ考える。

考えて詰める
わたしの場合は、その作業そのものも妙に愛しているのだけれど

とにかくそうして、手間のかかったものが手元に届く。
それを「自己満足」と呼んでもいいけれど
どうか「愛」とも呼んで欲しい。

母親と伯母が、94歳の祖父の病院やらあれこれで結構大変らしい。と聞いた。
電話口で母は、決してメソメソとしなかった。
すべてを笑い話にする、という根性で生きているそれを、わたしはしっかりと受け止める。

静岡に帰って、母と伯母を手伝う。
そんな選択肢は事実上としては存在しているけれど、誰にも望まれていない。
ということも、みんなわかっている。
わたしは静かに話を聞いた。

伯母にはLINEギフトでアイスを送った。
「ハーゲンダッツしか食べない」と豪語していたらしい伯母だけど
ハーゲンダッツだけだと、ワッフルコーンのアイスが一生食べられないではないか。
と思ったので、ワッフルコーンのアイスを送ってみた。

母親には、送ると約束していたネイルと、ピアスのキャッチ(最近ピアスを開けたらしい)
それから最近お気に入りのファミマの靴下を伯母の分と併せて詰めたやつを送った。

あと、アマノフーズのお味噌汁をAmazonで。
もしこれを読んでいるあなたが泣きたい気分だったら、とりあえずアマノフーズのお味噌汁を飲んで欲しい。
たぶん生きられる。

結局のところ、話を聞くの次にできることをは物資を送ること。
言ってしまえば、金である。ということにも気づいている。

病気のとき、お小遣いで支援してもらえたことは本当に感謝している。
そのお金で食べて、花を買って、仕事を休んだ。
言葉通り”生きた”のだ。

母や伯母は、お金にすごく困っているわけではないだろうし、
自分のために買い物するのがとてつもなくへたそうだから、物資を送ることにしている。

あのふたりは、ハーゲンダッツひとつでしあわせになる才能を、きちんと持ち合わせているのだ。

だから、玄関に積まれていた箱も愛だ。と思う。


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