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あなたと食べる、サワークリームオニオン

むかしより、お菓子を食べなくなった。と思う

ぜんぜん食べなくなったわけじゃないけど、昔の無尽蔵さ…
ラーメンを食べに行ったあと、「なんか物足りないね」と言って、牛丼を食べてしまうようなパワーは、もうなくなってしまった。
(なくなってよかった、と心底思っている)

だから、お菓子を買うときは好きなもの。
日常では、チョコレートとグミを少しずつ。
ご褒美は、シュークリームとプリン、たまにクッキー。

スナック菓子は、魔物だと思っているので買わないようにしている。
だいたい、量が多いし
一度食べたら止まらなくなってしまうアレは、なんだろう。
チョコレートやグミは、きちんと少しずつ”食べられる”のに
スナック菓子は、”呑んで”しまう。
噛まなきゃいけないのに。呑むように食べてしまうのは、本当に不思議だ。


「おなかいっぱいになった?」と、食後はいつも問われる。
同居人が用意してくれる食事は、いつも美味しい。
食べすぎないように、量を減らしているくらい。
でも時々、減らしすぎてしまったりして、「もう少し食べたい」と思うことがある。

「満たされたけど、もうちょっと食べたい」と言ったあとわたしは、
「でも我慢する。デブだから」と言う。
いつも「満腹になりたい」と思っているのはよくない。
空腹はよくないけれど、腹八分目だって充分に生きていける。


それなのに。食器が下げられたテーブルに、コツンと音が響く。
「自分用だから」と、同居人は言う。

プリングルスの、サワークリームオニオン味を指さしながら。

同居人は甘いものをほとんど食べない。
このあいだ「好きな食べ物はなに?」って聞いたら、「カップラーメンとスナック菓子」と言われた。

「たくさん食べなさい」と、同居人はいつでも言う。
同居人こそ、満腹の美学を信じすぎている。
自分が作ったごはんだって、スーパーで買ったコロッケだって、回転寿司に行ったときだってそう言う。

相手が、サワークリームオニオンだって変わらない。


だからね、ときどき
ほんとうに、ときどきですよ。

わたしはパクパクと、サワークリームオニオンを食べる。
おしゃべりしながら、ドラゴンボールを見ながら、同居人がプレイしているドラクエ11を見ながら。

昔の無尽蔵さを失ったわたしは、きちんとお腹いっぱいになる。
全部食べる前に、そうなる。
だから満腹がくるまで、ずっと。
わたしは、バリバリと呑み込んでゆく。


ほんとうにときどきだから、
ひとりじゃ絶対に食べないから。

あなたとふたりで食べるサワークリームオニオンを食べている時間は、
わたしを、しあわせにしてくれている気がしている。




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