続・わたしだって旅をする
東京ジャーミィのことを、思い出している。
夏の、冒険のこと。
「行けない」なんていう、つまらないレッテルを剥がそうとした日のこと。
(行けない場所もある、っていうのが正しい。どこへも行けないなんてちがう)
その日のことを書こう、と思いながら1ヶ月以上も経ってしまったこと。
「できない」とか「書けない」「時間がない」なんて思うことに疲れてしまったので
いま、書いてみようと思っている。
*
5時30分にこのエッセイを書き終えて眠った。
そのあと、10時に目が覚めた。
できれば、早起きをしよう。と思っていた。
「どこかへ行けるわたし」であることを証明したい休日だった。
でもすぐには動けなくて、ベッドの中でごろごろして
「旅」のエッセイを、少しずつ読んでいた。
良い休日、過ごしたいと思って開いたエッセイだったんだろうなあ。
*
「代々木上原」という駅に、覚えがあった。
すぐにでも行ける、と思える距離だった。
行ってみよう、と思った。
眠いけれど。
ほんとうに、「わたしはダメだなあ」と思うことに疲れつつある。
やればできるくせにやらなくて、勝手に自分を責めて
いやね、もうそういうのやめたいのよ。
だから、電車に乗った。
7月の、暑い日だった。
行き先は、東京ジャーミィ。
イスラム教の、モスク。
誰でも入れると聞いたら、もう行くしかなかった。
宗教のことはよくわからないけれど
ここになら、神様はいるんじゃないか。ってそんなふうに思えた。
不思議ね。
お店で、ジャスミンティーを買ったの。
すごく異国情緒あって、行き過ぎたKALDIみたいな
もはや外国。みたいな気持ちで。
韓国で買い物したときの気持ちを思い出したりしてたーーー無事に買えるだろうか、ってアレ。
すごくドキドキして楽しかったなあ。
めちゃくちゃ日本語通じたし、Suicaで買えたけど。
あと、大学生に混ざって講義を聞いたりしました。
トルコ文化のこと、チューリップのこととか
断食の話とか
善行のこととか。
ああ、書かずにいたら色々忘れちゃったな。
ほんとうはもっと、書きたいことがあったんだと思うけど
これを機に、少しずつ思い出して追記してもいいし
また別の場所に行けたらそれもいいなあ、と思う。
*
「わたしだって行けるんだぞ」っていうことだけ、強く覚えている。
「行けるんだぞ」って思ったその日に電車に乗って、降りたことない駅で降りて
わたし、あれが好きなの
「電車で見た風景」を歩くこと。
あれってどうして、こんなにも最高な気分なんだろう。
「いつか歩いてみたい」なんて望んでいなかった場所だとしても、「夢が叶った」みたいな気分になれる
そして次に電車で通ったときに、「行ったことあるんだぞ」って、なんだか少し嬉しくなって、親しくなれたような気持ちになれる。
そういう場所を、少しずつ増やしたいなあ。と思う。
なぜだかとても、そう思う。
*
静岡に住んでいたとき、高校生のころかな。
なんだかむしゃくしゃして、ひとりになりたくて、でも家の近所じゃダメで
ひとりでどこか行きたいって思ったらさ、バスに乗って行ける場所なんて静岡駅近辺しかなかったのよ。あのときのわたしにとっては。
で、いつも母親と歩いてる道とか店を、ひとりで周って帰ってきたの。
なんでか、いまでも覚えている。
たぶん、あんまりスッキリしなかったんじゃないかなと思う。
いまは、違う。
いま「行くところがない」とか「どこへ行っていいかわからない」っていうのは言い訳。
東京には電車がたくさんあるし、乗り継げばどこへでも行ける
スマートフォンを使えば、電車に乗ったあとからだって調べられる。
わたしはうんと自由だ。
時々、そのことを確認する。
いつだって確認していたい。と思う。
だからまた、知らないどこかへ行ってみたい。と思っている。
※東京ジャーミィ(見学の前に。を確認してから出かけました)
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