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夏の夜、揺れるカーテンと、インスタントコーヒー。

2DKに、暮らしている。

ああ、憧れの2DK。
もともとは二人で1LDK暮らしだったのだけれど、「双方に自室がないことが嫌だ」というのがわたしの主張で
わたしは寝室を根城にしていたのだけれど、リビングが同居人の部屋を兼ねているので手出しができない。
これが、ずううううっとストレスだった。
いまでも、同居人の部屋を掃除するたびに(不在のときは、ついでにワイパーをかけることにしている)、「ああ、百年の恋も冷めるな」って思う。汚い。

もっと贅沢を言えば、2LDKに住みたかった。
でも、希望する賃料帯で鉄筋コンクリートのマンションでーーーなんて探していたら、この部屋にたどり着いてしまった。
そのバルコニーを見て、「生きられる」と決めてしまったので、仕方がない。

DK(ドンキーコングみたいで気に入っている。もちろん、意味はダイニングキッチン)には、ソファーとテレビが置ければそれで充分。
わたしたちは「食卓」というものを使わないので、DKでも事足りてしまうのだ。

ああ、でもいつか2LDKに住みたいなあ、と思っていたら
結婚した友達は少し前に引っ越して、いまは3LDKって言ってた。泣きそう。
これは、人生の何を大切に生きてきたかが違って、その結果の金銭と金銭感覚の違いなので仕方がない。
ああ、でもいいな3LDK…
めっちゃ遊びに行きたいし、見たらツラくなるような気もしているけれど、いつか行こうと思っている。

引っ越してきたのは冬で、初めての夏を迎えた。
同居人の部屋のエコンが壊れて新品になった。
27度で極寒なのすごすぎる。わたしの部屋は、25度でそソレナリである。

なんとなく、「エアコンを2台つけるのは贅沢だ」という気がしてしまう。
え、ケチくさい? わたしだけ?
もちろん、両方の部屋にエアコンがあるって、すごく大事だと思う。
「両方つけられる」っていうのが大事で、「両方つけること」が大事じゃないっていうかーーー
日本語ムズかしい。

いや、ほんとに暑くて死んじゃうならつければいいんだけど、最近の夜って過ごしやすくない?
ほんと、枕草子みたいで嬉しいよね(夏は夜)
いまの夜の暑さならば、ぜんぜん耐えられる。
窓が2箇所あるので、風も良く通る。
そして、同居人は暑さに弱いので帰ってきたらソッコーでエアコンをつける。
それは夜のことで
じゃあ、アタシの部屋はどうしようか。

最近は、窓を開けることにした。
いままで、「エアコンをつけているときは、窓を閉めなければいけない」という固定概念だったんだけど、そうすると暑い。耐えられない。
窓を開けてみたら、なんだかちょうどよかった。
キッチンから扇風機を介して、隣の部屋の冷風を分け与えられて、夏の風をめいっぱい感じられる。
いまも、カーテンがひらひらしているのが嬉しい。
わたし、カーテンがひらひらしているのが好きなのかもしれない。

少し前までは、暑い部屋でアイスコーヒーを飲みながらエッセイを書いていたのだけれど、最近はあたたかいコーヒーを飲んでいる。

何百回だって言わせて欲しいんだけど、インスタントコーヒーの幸福たるや

電気ケトルをかたむけるたび、わたしは”おそのさん”になる。
心の中のキキに、コーヒーを淹れてあげる。
それは大胆で、やさしくて、深い深い愛情であり、勇敢な記憶だった。

ああ、今日もコーヒーがうまい。
夏の夜、揺れるカーテンと、インスタントコーヒー。
いまのアタシの全部だ。

まだまだ、知らないことがたくさんある。
エアコンをつけながら、窓を開けるわたし。
夏にインスタントコーヒーを飲むわたし。
あと、ベランダの涼しさに驚いた。
網戸1枚隔てただけなのに、すごくない? ぜんぜん違う。
温度がっていうか、風が。
やっぱり、家って、イロんなものから守ってくれてるんだな〜しみじみしちゃう。
目が悪いのと明るいので、星なんか全然見えないんだけど。
ときどきは、星座早見盤を取り出してみたい(最近忘れてた)

知らないことは、怖いだろうか。

知らないかつ、「うまくいきそうな想像ができない」ときに、人は怖いんだと思う。
「知らないことが楽しい」って人もいる。
そういうときもある。
でも、わたしは基本的には苦手。
いま、認める。苦手だ。
環境の変化が、苦手だ。
入学も卒業も大嫌いで、就職活動からは目を背けた。
ああ、「なんでも楽しい」ってタイプになりたい人生だった。

でも、環境の変化以上に嫌いなことがあって
それが「先が読めたとき」かもしれない。アタシの場合。
だいたい、いままでの仕事を変えたときは「ここで新しい学びはなさそうだな」って思ったときだった。エラそうだったけど。

変わることは、怖いだろうか。
変わらないことは、怖いだろうか。

人生とは、怖いものだろうか。

わたしはね、いっぱい不安!
だから今日も、「夏の夜、揺れるカーテンと、インスタントコーヒー」なんて言って、自分の人生があんまり悪くないような、不安じゃないような、そういうフリをしているだけ。
そして、「先が読めたとき」が、一番嫌いだって気づけたから、安心している。

だったらいいか、不安はあるけれど先は読めない。
先が読めないから不安かもしれない。
だけど「アーつまんねー」って言いながら、カンストしながら生きていくよりはきっといい。

ああ、でもめっちゃ不安。
だけど、後ハピの1巻思い出してる。
なぜだか、思い出した。

45歳
専業主婦
子供なし
スキルなし
金なし

の、カヨコさん。
旦那と離婚して、アパートは譲ってもらったので屋根はある。羨ましい。継続的な屋根。

でもね、カヨコはいうの。
いまでもね、

「行くとこなくなったら、歩道橋の下で住もう」

だから、大丈夫。

「なんでも楽しい」人生になれなくても
それって、食べ物の好き嫌いとか、身長とか、そういうプロフィールのひとつだから。
「人参が嫌いな人生だった」みたいな感じで、「なんでも楽しいって言えない人生だった」で
人参、好きになりたいならなればいいよ。
わたしはいまでも、ハンバーグの横にある人参とかね、大嫌いですよ。
あれ、人参の味するじゃん…

飽きっぽくても、将来性がなくても、生産性がなくても大丈夫。
いやまじ、揺れるカーテン眺めながら夏の夜にフケッている場合ではない。とわたしだって思っている。

まあでも、イイトコあるよ。
大丈夫だよ。
大丈夫って言葉ほどいい加減なものはないけれど、信じないほど残酷なことはないって、言ってたしね。

そういえば、カヨコは探偵の才能があったみたい。
わたしにも、何かあるかなァ。

あなたには、あると思うよ。
わたしね、そういうの見つけるのきっと得意だから、何かあったら相談してね。
代わりに、わたしの才能見つけてくれないかなァ…

そしたらあなたのプロフィールに「夏の夜にカーテンを見つめながら物思いに耽るヤバそうな女を救ったヒーロー」って書いとくよ。

あっ、もしかしてみんな知らないだけで、夏の夜にカーテンを見つめながら物思いに耽ったりしてた?
そしたら、同志だね!



2023年7月7日 ねる
これはあれだね、手紙みたいな内容だね。
七夕だから、サムネをジラーチにしておきます。
願い星が、やさしいあなたの元へと舞い降りますように


異世界転生に飽きた人は、後ハピ読んで欲しい。
ヤバメな友達の日常日記みたくなってる。相当にヤバイけど

2年前に書いた、ちょっと恥ずかし感想文(2年も経つとさすがにハズい)


インスタントコーヒーを愛せたのは君のおかげ
冷めてもね、味が酸化しずらいんですよ!!! すごくないスか??
長時間、安定した味を楽しめる。


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