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バターナイフ

バターナイフを買おう
と思って、しばらく経ってしまった。

食パンは、美味しい。
わかっているのに、ついつい、コロッケパンとかカレーパンとか
クリームの乗ったクロワッサンに惹かれてしまう。
なぜだか「せっかくだし」と言って、サンドイッチとか、ピザパンを選んでしまう。

食パンを買ったあと、
毎度、バターナイフを忘れたことに気がつく。


これにしか使わないもの、というのは美しいと思う。
バターナイフとか、
コーヒーをドリップするためだけの、口の細いケトル
ミルクパン(かわいいけど、小さすぎて用途が少なすぎる)

美しいと思うけれど、
実際はといえば、
冷たいものからスープまで受け止めてくれるマグカップとか、
トップコートとしてもカラーとしても使えるマニキュアとか、
座布団にも背もたれにもなるクッションとか、
そういう、汎用性の高いものに、
「お得な感じ」に、ついつい惹かれてしまう。


その中で、バターナイフは特別だ。
スプーンでもフォークでも、うまくいかない。
どうしても、バターナイフじゃなきゃいけない。
バターナイフが良い。

あの、つるんと、なめらかなフォルムでありながら、
同時に、どこも尖っていない、コロンとした印象もある。
バターナイフは、どれもかわいい。


それでも、「使うときにあればいいから」と思い
使うときが少ないので、ついつい忘れてしまう。

そして、「どんなバターナイフを買おうかなあ」なんて
ぼんやりしと思い浮かべる時間も、
もう少したのしみたい気もしている。

わたしは今日も、
うっとりとしながら、バターナイフに思いを馳せている。



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