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明日へのギフト

「今日は家事、サボります」

頭を下げている絵文字と一緒に、メッセージを送る。
きっと相手は、何をサボっているかですら気づかないことに、わたしは気づいている。
部屋の掃除をしなくたって、花の水を替えなくたって、目に見えるものじゃない。
シンクに置きっぱなしのお皿を見て、「これのことね」と思うかもしれない。

わたしは、わたしを許すためにメッセージを送っている。
「むりをしなくていいよ」と言われているし、休んだってべつになんてことはない。
ただ、わたしのため。
「よし、お風呂入ろう」って言うのと同じ感覚で、「よし、今日はサボろう」と口にするように、送信ボタンを押す。

昨晩、重たい身体を引きずって、家事をしたことを思い出す。
洗い物をして、掃除をして、洗濯もした。
うちの洗濯は「数日置き」というペースなので、昨日は洗濯の日じゃなかったんだけど。「やってしまう」と動いてみることにした。

動けるときに、動いたほうが良い。
明日のわたしは、今のわたしより苦しいかもしれない。

だから、いまやってしまう。
なんだってそう。
今日きちんと掃除をすれば、明日いちにちくらいサボっても大丈夫。
いまエッセイを書いておけば、寝て起きたあとに慌てる必要も、罪悪感を感じることもない。

すべては、明日のわたしに対するギフトなのだ。

だから大丈夫だよ、明日のわたし。
もし苦しかったら、頑張らなくていいよ。

ちょうど、そんなふうに思ったところだった。

都合の良い考え方をしてしまうわたしは、
もし明日も、明後日もサボってしまったら、「あとは頼むよ明日のわたし」というふうに
“逆ギフト”を送る夜も、訪れるのだと思う。
明日のわたしに期待して、今日は眠る。そんな夜があってもいい。

今日は、昨日のわたしから送られたものをきちんと受け取って、ごろりと眠ってしまおう。と思っている。




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