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花屋に行こうかな。 そのとき、少しだけ悩んでいた。 今日はもうたくさん歩いたし、家までの最短ルートを選んだら、花屋と逆側に出てしまった。 迂回。 それは、元気で調子が良いときには愉快だけれど 今日の足はぐったりと重たい。どうしようかな。 明日買いに行こうかな、と思う。 そんな自分を想像する。 明日か明後日、花屋に行くわたし。 ついでに、今からすぐに玄関を開けるわたしを想像して、ため息をつく。 けんかをすると、いつもそうだ。 しばらくお互いだんまりを決め込んで、そのあいだわ
言えなかった。 人に頼む、というのは妙に面倒だったりする。 不思議だ。頼み事は自分の手から離れてゆくから、わたしは身軽になるはずなのに。 「頼んだ結果、良いものが返ってくることを願う」と、なかなか大変だ。 その先にはずいぶん面倒な説明と、大きな落胆が待っているかもしれない。 「忙しそうだしな」と思うこともある。 嫌な顔をされてしまうかもしれない、と思う。 最後はいつもこうだ。「自分でできるから」 そうして、唇はいつもの言葉を紡ぐ。 「自分でやったほうが早いし」 その
わたしがこの街に住んでいたら… 最近は、そんなことばかり考えている。 * 去年見たアニメのひとつが、「転生したらスライムだった件」だった。 有名なタイトルだし、誰かがおもしろいって言っていたような気がする。 わたしもぐんぐん引き込まれて、全話見た(続きが気になる 「転生したらスライムだった件」というのは、 その名の通り転生したらスライムになった主人公が、何やら超強くて、そのチカラを以て仲間を増やし、村を、街を、国を作っていくという物語。 もちろんそう上手くはいかず、敵が
飲み物の流行りっていうのは、定期的にやってくる。 コーヒーばっかり飲んでいることもあれば、紅茶のこともある。 紅茶と言ってもアイスティーを常備する暮らしもあれば、あたたかい紅茶に牛乳を落としていることもある。 スイスミスのココアは、美味しすぎてすぐ飲んじゃう。飲み過ぎ危険だから、流行りと共に控えるよう気をつけている。 最近は、あたたかい紅茶ブームが訪れた。 寒いから、当然のように。 去年はたしか、サーモのタンブラーをもらったから、それにお茶を淹れていたような気がする。 ず
じわりじわりと時計の針が進むように、君は気づくとそこにいる。 最初は、ほんの小さな気配。 気のせいかもしれない、と思う。 夜だから、変な時間に起きちゃったから、眠いのか、そうじゃないのかもわからない。身体が迷子になっているだけだよ。と言い聞かせる。 眠れずに、または眠らずにいると隣にやってくる。 膨らんだ違和感を追い払うことはもうできなくて、小指の先をぎゅっと握られている。 せっかくそんなに近くにいてくれるなら、抱きしめて「だいじょうぶだよ」と言ってくれればいいのに。
「そういえば、ようやく言ったよ」 彼女の声は、いつも通りだった。 「”アレ”、要らないって」 “アレ”というのは仕事関係で定期的に届く、まさしく”アレ”のこと。 先方はよかれと思っている、または送らなくては失礼だと思っている、とか、そういう類のものだった。 が、彼女は”アレ”が大の苦手だった。 彼女の目につかないよう、わたしがこっそり捨てることもあった。 長年、小さなたんこぶのようだった。 要らないと伝える、という選択肢は、近年になってようやく浮かび上がってきた。 不思
毎日ピアノを弾くようになってから、650日ほど経つ。 毎日、という名の、48時間に2回くらいのペースで。 鍵盤の上を滑っているあいだは、1分から3分。体当たりの即興演奏。 思い付きで始めて、辞める理由が思い浮かばなくて今日まで来た。 ピアノを嫌いになれなかった。 あなたのいない人生を、結局のところ考えることができなかった。 小指の先だけでも繋がっていたかった。 いつでも、あなたの元へ帰りたいし逃げたいし、甘えたいと思っている。 ピアノはいつでもそこにいる。 わたしが勝手に、
よし、いまのうち。 ビニール袋をみっつ抱えて、家から出た。 缶と瓶の回収日。 いつもはビニール袋ひとつ分の缶だけ、なんだけど。 先週は三が日で回収がお休みだったから、今日はふたつ。 あと、年末の掃除で発掘された謎の瓶を入れたふくろを持って、歩き出す。 いまの家については、気に入っている箇所のほうが多いけれど、 「ゴミの集積所が遠い」は、なかなか厳しいマイナス点だった。 かつて同じ物件に住んでいた、という友人も「あれでしょ? ゴミ出しが大変な家でしょ?」と言っていた。 晴れ
エッセイを日常的に書くようになってから、1年と半分と少し。 たのしく書いているときもあれば、 ああ今日も書かなきゃな〜と思うときもあるし、 するっとパソコンの前に座って、さくっと書いていることもある。 いろんな日がある。 「書き続けたわたしに会いたい」というよりも 「書かなくなったわたしを見ることが怖い」という消極的な理由で書いているだけかもしれない。 わたしはいつも、前向きに消極的な一面を持ち合わせているような気がする。 * いろんな日があるけれど、「後手になる日」
ああ、やってしまった。 二度寝、2時間経過。 時間ばっかり過ぎて、今現在もどっぷりと眠たくて驚いてしまう。 そうだ、昨晩は久々に夜更かしをしたんだ。 大学生の頃みたいに、しゃべったり食べたり、ときどき別のことをしたりしながら、自由でかろやかな時間。 朝の重たさも、まあ悪くないと思える。たまには、善いのだ。 * 世の中に、朝が得意な人とそうじゃない人がいる、というのには、上京してから気がついた。 「おはよう」と言った瞬間、今日見た夢の話を始めた彼女は、圧倒的な強者だった。ほ