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理想の学校のかたち~歴史を紐解きつつ~

どう考えても子どもたちを満足させることのできない学校のシステムですが、開発された当初は画期的でした。

「学校」ができる以前は、勉強をするなんて概念自体が浸透していない世の中。しかし、子どもたちに基本的な知識や技能を提供した方が、いろんな意味でメリットのある時代が到来。

そこで、国をあげて「学校」をつくり、一斉にたくさんの子どもたちに勉強を教えることで、国としてのレベルアップをはかったのです。

▼「クラス」とか「学年」というシステムは、意外と古い?

「クラス」という概念をつくったのが、イギリスの教育学者、ジョセフ・ランカスターさん。ランカスターさんの学校では、子どもが子どもに教えるというスタイルが取られていました。

というのも、先生の人数に限りがあるため、子どもたち全員に対応できないという問題があったのです。

そこで、先生役の子どもは、1人で10人の子どもたちを担当し、テストでマスターしたと認められた子どもたちが務めました。

イメージ、教室の中に先生役の子どもがブースを構えていて、10人ほどの子どもが教わりにくる。合図があると次のブースへ…といった感じで進んでいました。

なんとなく、工場の流れ作業的なにおいを感じません?まさに、産業革命以降、効率的に大量生産という概念が教育界にも持ち込まれたのです。

さらに、これまたイギリスの教育学者サミュエル・ウィルダ―スピンさんが、「ギャラリー方式」という教育法を開発します。

イメージ、先生が前に陣取って、階段状のところに子どもたちが大量に座っているという状態。まさに、大学の講義のような感じがここで生まれました。

そして、1862年、ランカスターさんの方法とウィルダ―スピンさんの方法が合体。そして、子どもの出席日数や学力に応じて補助金を出す制度なんてものを設けたもんだから、子どもの成長スピードを合わせた方が補助金をねらいやすいということで、「学年」という概念が生まれました。
#冒険の書

さらっと書いてしまいましたが、19世紀に生まれた教育法が、今でも続いていることに驚きますよね。

▼子どもは「講義」を求めてない?

時代背景や、様々な思惑がありつつも続いてきた一斉教育ですが、現代の子どもたちに必要なのは、「講義型ではないんじゃないか?」というおもしろい情報を発見しましたので、それをご紹介。

#世界最高の教室」では、非営利組織である「サミット・パブリック・スクール」という革新的な学校での実践から得られた知見が多数掲載されてます。

その中でも興味深いのは、「子どもたちが講義の必要性を感じていない」というアンケート結果。

サミットに通っている子どもたちに、「取り組んでいる知識の習得に、どんな内容が一番役に立ちましたか。」という質問をしたところ、

「『教師による講義』が、数週間連続で最下位」

という衝撃の結果に。さすがに、温厚で知られている僕もだまってはいられません。そもそも、教師という職業に就く人は、基本的に「子どもたちに知識を提供したい」と考えているのではないかと思うのです。もちろん、教師よって提供される内容や方法は多様なのですが、「教えたい!」という思いは共通でしょう。だからこそ、この結果は受けいれがたい。

しかし、敢えて教師の傷口に塩をぬる方式で言い換えれば、

「教師は教えたいと思っていも、子どもは必要ないと思っているよ。」

ということになる。ただ、この調査には続きがあります。サミット側も「講義はいらない」と感じている子どもたちの実態を踏まえ、

「講義は、任意の参加型」

という思い切った決断をしたのです。「本当に参加しなくてもいいんだよ。」「嘘じゃない、後から罰則なんてないから。ほんとだよ。」と丁寧に子どもたちに説明して7週間。なんと、

「『教師による講義』が役に立つランキングトップに!」

やりました!やはり、無理やり教えられるのは迷惑でも、「教えてほしい!」と欲している子どもはいるのです。

さらに理由を突き詰めていくと、「授業を受ける子どもたちに合わせた授業づくりが大切」であるということが分かりました。

当たり前のことですが、一斉授業になると、「もう、それは知っているのに…」という子がいる反面、「えっ、今何て言った?」という子もいる。

そんな集団に対して、みんなが満足する授業を提供することは、最初から無理ゲ―なのです。だからこそ、「任意参加型授業」が子どもたちのニーズに合致したのでしょう。

さらに、任意参加型にすると必然的に参加者がしぼられるので、少人数となり、子どもと教師が対話をしながら授業を進めていけることも高評価となった模様。

やはり、自分で選択した興味のある分野を自分のペースで学ぶこと。ときに困ったら相談できる相手がいて、対話型のアドバイスが受けられるなんて環境があったら勉強がさらに楽しくなるということでしょう。

▼まとめ

本記事では、「学校の理想のかたち」について、歴史をざっくり振り返りながらまとめました。

我がGLSも、地域の拠点づくりを頑張っていますが、拠点がオープンしたら、小さな隠れ家的学校としても活用できたらなぁと画策中。

子どもの可能性を伸ばすことに特化します!!


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