元SEが≪漆器の作り手≫になる(5)
バブル、崩壊
ゲーム会社を辞めた後は、また普通の(?)会社に入社します。
そこは、別に業務内容が気に入ったとか、そういうわけではなかったのですが、求人情報誌に掲載されていたアットホームな雰囲気や社風に惹かれたのでした(笑)。
実はゲーム会社在籍中に求職活動して見つけた会社で、面接時間や入社時期等諸々配慮していただいたことも好印象で、会社選びの際の決め手になりました。
そしていざ入社してみると、今まで渡り歩いたどの会社よりも好待遇だったのです。(それまでが××だった可能性も?)
ときは平成4年。
社会人4年目になっていました。
まあ、何かあったらまた転職かな…などと軽い気持ちがあったことは正直否定しません(え?)。
しかし、数年後に「バブルの崩壊」が訪れます。
そして就職氷河期、もう、おいそれとは転職ができない時代になってしまいました。
辞めるに辞められず、結果、この会社には約17年間お世話になるのでした。
時代の変遷において
17年もの間にIT業界は驚くほどの変化・技術革新が起きました。
それも短いスパンで。
OS(オペレーティングシステム)は、MS-DOS(エムエスドス)からWindows(ウインドウズ)へ、
UI(ユーザインタフェース)はキーボードからマウスへ、
記録媒体は、フロッピーディスクからUSBメモリへ。
古い開発言語は用済みとなり、プログラマーたちは新たな言語の習得が求められていきます。
最新の技術情報を常に追いかけていかなければ生きていけない業界でした。
もう、ドロップアウトした身からすると、現在のIT用語はチンプンカンプンでさっぱり意味が分かりません(汗)。
変化の激しい時代でしたが、その中でも特筆すべき事項といえば…
インターネットの普及
1995年ごろだったでしょうか。
日本でインターネットが急速に普及していきました。
どういう経緯で知ったのかは覚えていませんが、
「新し物好き」な私はすぐさま興味を持ち、あるプロバイダと契約し自分のホームページを作り始めます。
(会社の仕事なんぞは定時で終わらせて速攻で帰宅してましたw)
ホームページ作成ツールなどは(多分)まだなく、「HTMLタグ」を覚えてテキストエディタ「メモ帳」でhtml文書を作成していました。
まだ常時接続ではなく、モデムを使ったダイヤルアップ接続をしてアップロードしていました。
私の作るホームページのテーマはやっぱり「ゲーム」のコンテンツ。
人気タイトルのゲームソフトを発売と同時にプレイしつつ、攻略情報(?)をアップしたり、東京ゲームショウなどのイベントに行っては、画像をたくさん撮ったリポートなどを掲載していました。
また、レンタル掲示板とリンクさせて、某ネットゲームについてのやり取りをするようになると、同じゲームプレイヤーたちと知り合いになってメールで連絡を取り合うようになり、いつしかオフ会で会うくらい仲良くなったりもしました。
うーん、このときは本当に楽しかったですね。
プライベートが充実していたので、仕事が辛くても生きていけた気がします。
(当時は知らない人同士がオフ会で集まっても事件とか起きなかったですけどね……モラルとか理性とかの問題でしょうか?)
本当にやりたかったこと
そして自作ゲームの公開もホームページで行いました。
Webブラウザ上で動作する「JAVAアプレット」でゲームが作れることがわかり、JAVA言語を新たに勉強したのです。
この頃は新しいゲームのアイディアも湧きだしてきて、不定期ながら新作を次々とアップしていました。
ゲームをプレイした方のスコア報告がeメールで送られてくると嬉しくなりさらなるやりがいに繋がりました。
また、掲載していたゲームの中から、
「うちのサイトで使わせて欲しい」
という連絡をとある団体から受けたこともありました。
承諾し、プログラムをカスタマイズして送るとそれに対して謝礼が送られてきてびっくりしましたっけ。
そんなこともあって、ゲーム制作は「他人に評価されている」という実感がありました。
別にゲーム作成は、大手のゲーム会社じゃなくたって良いのです。
必ずしもチームで作らなくたっていいのです。
超大作のゲームは一人では作れないかも知れないけれど、
自分が立案して、自分が設計して、自分でプログラミングする。
誰にも文句言われずに好きなゲーム作れるんです。
かつて高校時代、ポケコンで作ったゲームをテストプレイしてもらったときと同じ自由な感覚で。
私が求めていたゲームづくりってこれだったのだと思いました。
(つづく)
余談。
当時作っていたホームページはプロバイダが消滅(?)したために現在は残っていません。
また、JAVAアプレット自体、現在多くのブラウザでサポートがされなくなり動作しなくなっております(哀)。
※当時作成したJAVAアプレットのゲームは、一部HTML5でリメイクして別のサイトで公開しています。
ゲームの攻略記事も、最初は観てくれる人がいたんですが、そのうちゲームソフトと攻略本が同時発売されるようになってきて、途中からやり甲斐もなくなってしまいました。
特定のゲーム専門サイトを運営する人も色々と出てきて、詳しい情報が欲しい人はそちらに流れていきました。
ゲームサイトとしては、「プレイ日記」のようなもので他のサイトとの差別化を図るしか生きる道はなくなってしまいましたね。
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