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2019年12月の記事一覧

広島の原爆ドームで聞いた「受け取る人のことを考えて言葉を発する」という話。

 獣医を初めて辞めた四月、私は次の就職先が決まると同時に広島へ行くことにした。ずっと行きたかった広島へ。行くと決めて数日後の出立。新幹線で行く広島は、思ったより遠かった。  原爆ドームの周辺には、ボランティアで解説してくれる地元の人がいる。園内に飾られた千羽鶴を見ていると、私も話しかけられた。 「よければ案内するよ」  眼鏡のおじさんは、もともとライターをやっていたのだと言った。文章を書くのが好きな私は、書く仕事ができることがうらやましいと、おじさんに言う。言葉で人の心

私たちは他者を必要としている

私はアドベントの時期になると、必ず行うことがあります。それは、ディケンズの『クリスマス・キャロル』を読んだり、その映画を観たりすることです。 ロバート・ゼメキスが監督し、モーションキャプチャーを元に作られたアニメーション映画『Disney クリスマス・キャロル』は、非常に含蓄がある、素晴らしい作品だと観るたびに思います。 クリスマス・キャロルのストーリーをご存じの方も多いと思いますが、あらすじを書きたいと思います。 金貸しのスクルージは、血も涙もない金の亡者として、ロン

呪いが解ける日

2019年12月6日。いつものように慌ただしく出勤の準備をしながら、その僥倖は突然に訪れた。 * その日、NHKの「あさイチ」は作家・川上未映子の特集だった。彼女の著作「夏物語」を軸にトークが組まれていて、そのコーナーの一つとして「母に言われた忘れられない言葉」というテーマのメッセージ募集がなされていた。 番組中盤、いかにもNHKらしいほのぼのとしたいくつかのオカンエピソードがMCの博多華丸・大吉と近江アナウンサー、そして川上未映子のコメントを挟みながら紹介される中で、

絶望的で最高

「どうして星はきらきらしているの?」とバイト先に置いてある本に書いてあった。答えは「ゆらぎ」があるから。空気がゆらいでいるから星が瞬く。それは人間も同じだと思った。 写真家の弟子を辞めた。「なんでもっと早く辞めなかったの?見ていて本当に辛かったよ」と辞めた後に周りの人何人かに言われた。たまにしか会わない、仕事で関わっていた方たちからもそう言われるくらい、側から見ていて色々とヤバかったんだと思う。 100万円の犬を買い逃してしまって辛いという相談メールをラジオに送ったら

その一杯とキャラメルソースに、愛を込めて

学生時代、3年間スターバックスでアルバイトをしていた。早朝4時半に起きて出勤し、6時半から15時まで働き、そのまま大学へ行くというなかなかドMな生活をしていたが、今思えばあの日々が一番の青春かもしれない。大人になって思い出を整理できるようになった今、改めて昔のことを思い出してみても、スタバに勝る熱い記憶はあまりない。 夢だった編集の仕事をし、こんなふうにつらつらと長ったらしい暗い記事を地味に書き続けるわたしだが、意外なことにも、めちゃくちゃ元気に働くキラキラした(今よりはだ

さよなら、正しい街

母は過保護だった。 月々のお小遣いは多くはなかったけど、遊びに行くときにはいつでも多めにお金をくれた。 少しでも天気が悪かったりすれば車を出して駅まで迎えに来たし、どんなに遅く帰っても寝ずに待っていて、私が夕飯を食べていなければキッチンに立った。 母は過干渉だった。 私が見覚えのない服やカバンを持っていると、すぐに「それいつ買ったの」と訊いてきた。休みの日にどこに行って、誰と会って、何時に帰ってくるのかをいつも申告しなければならなかった。二十歳を過ぎてからもそれが続くので

正論だけ言ってればいいと思っているようじゃ、POISON

「君は、物怖じせずに意見を言えるところが素晴らしいよね」 インターンしていた職場で言われたことがある。当時にしてはTwitterのフォロワーが多く、取材もしてもらったりしていた学生の私は、だれかに対して意見を述べることに人よりも慣れていた。 それからも、フラットで自由な会社に入り、1年目から自分の意見を求められる環境に身を置いていた。「ただの『決めてください』というレポートはナンセンス。自分は沢山調べてこういう選択肢があると発見し、その中でコレが良いと思いますがどうですか

イタリア人医師が考える、日本に引きこもりが多い理由。

パントー・フランチェスコさんは、日本で精神科医を目指す研修医として働いている。 彼を日本に引き寄せたのは、大好きな「アニメ」、そして「引きこもり」だ。引きこもりは世界中で似た現象が報告され、「Hikikomori」として社会問題になりつつある。 日本に来て、「引きこもりはやはり日本特有」と気がついた。根っこにあるのは、人々の思考に染みついた「文化」。国や地域の文化が生む「大きな物語」になじめず、それに当てはまらない自分を気に病む人が多いという。 ならば、「自分の物語」を

AIぶるな猿

あのツイートもこのツイートも怒るのも笑うのも冷笑するのもバカにするのも全部感情だよ。感情的になるなってのが無理。みんな感情で言葉をだしてる。感情の世界だ