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分からないものを、分からないままに




実家から引っ張り出してきた大きいレジャーシートを広げて、3人で芝生の上にごろん、と寝っ転がる。夏の夜風ほど心地よいものはない。「日本で一番星が綺麗」と謳われているある村で、朝日が昇るまで、ただただ横になって星を見ながら、今となっては覚えていないようなことを話す。たまに星が流れると、つい大きい声が出ちゃう。



そんな夜を過ごしたことがあって、その思い出がどうしても大好きで、星とか宇宙に、つよく興味関心を持っている今日この頃です。

そんなわたしが、先日図書館をふらふらしていた時、つい、手に取ってしまったのがこの一冊。




まずなにより、タイトルがとてもいい。「ことばにできない宇宙のふしぎ」。ことばにできない事なのに、ことばにして書いて、本になっている。この矛盾のおかげで、変に理解しようと頭をうんうん捻らせることなく、ふわふわと勝手に想像を膨らませながら読むことができる。


もしこれが、「だれでもわかる!」とかだったら、分かるものなんだ、という前提で読み進めるから、理解しようと頑張って疲れちゃうかも。だからこの、「言葉にできない」とタイトルで書いてくれていることが、わたしにとってとても救いになっている気がする。




そして文章がとても優しくて、おしゃれだ。


あなたは、あなた自身の「光度」を持っています。でも、その光の強さは、誰があなたを見ているかによって変わります。


植物に比べると、人間の生き方は、信じられないほど近視眼的です。


もし青い色に全く関心のない人に出会ったら、戸惑うでしょう。そして、その人にとっては、生きることはきっと耐え難いものであるはずです。


この本の原作は、英語で書かれたもの。

実はわたしは、翻訳された本にどうも苦手意識があった。どうもなんだか不自然というか、ロマンチックすぎるというか‥。でもこの本は、不自然さみたいなものは全く感じられなくて、むしろその「翻訳された」感じが、広大なロマンたっぷりの宇宙のことを語るのにとても相性が良くて、読んでいてとても心地が良い。




さらに、イラストが、もうこの上なくかわいい。作者がイラストレーターでもあるみたいで、文章にぴったりなイラストが各ページにちりばめられている。読み応えのある絵本のようにも読める。



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(写真amazonより引用)



この本を読んで、宇宙のことがより一層分からなくなったのに、なぜだか親近感は増したような、そんな不思議な感覚が残った。言葉にできないものを、言葉にしている、そんな矛盾の中で、想像力を膨らませて楽しめる。頭で理解しようとせずに、そういうものなんだな、と感情で読める、やさしい本でした。



もっと星をたのしく見たなという思いが増して、最近は検定を取ろうかとまで思っている。天文宇宙検定、ド文系のわたしに取れるものなのかは分からないけど、「好きこそものの上手なれ」でね。義務教育はとっくに終わったけれど、日々勉強したいものがあって、なんだか嬉しい。


最近毎日たのしいな、おかげさまで。

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