6月に読んだ本まとめ



完全に自己満足、記録用note。7月に入ってからずっと、書けてないな、書きたいな‥と思ってた毎月恒例になりつつあるnote。

ちなみに先月はこちら、15冊でした。






1.静かな雨 宮下奈都


「痛みを経験した分だけ、人にやさしくなれる」この言葉を体現したような二人の、恋の物語。たいやきが食べたくなります。


「あたしのいる世界は、あたしが実際に体験したこと、自分で見たり聞いたりさわったりしたこと、考えたり感じたりしたこと、そこに少しばかりの想像力が加わったものでしかないんだから」
「だけど、新しいものやめずらしいものにたくさん会うことだけが世界を広げるわけじゃない。ひとつのことにどれだけ深く関われるかがその人の世界の深さにつながるんだとあたしは思う」



2.博士の愛した数式 小川洋子


80分の記憶しかもたない博士と、家政婦さんと彼女の息子のお話し。心から好きなものがあって、それを敬意と共に愛することができる。幸せなことなんだろうなあ。


しかしいくら対象が突飛でも、彼の愛し方は正統的だった。相手を慈しみ、無償で尽くし、敬いの心を忘れず、時に愛撫し、時にひざまずきながら、常にそのそばから離れようとしなかった。




3.舞台 西加奈子


自意識でがんじがらめになっている主人公の葉太が、一人でNY旅行へ。自意識過剰にも程がある、と思うけど、どこか共感してしまう部分もあるから不思議。自分にばかり向いていたヤジルシを、少しずつ外に向けていくことが、大人になるということなのかなあ。


興奮するな馬鹿、脳内を殴るようにして、それでも、どうしても、こう思わずにはいられなかった。―――― 自分は今、5番街を歩いている!
どうか悩んでいてほしい。私は私、他の誰が何を言っても関係ないわ、そんな風に思う、強い意志を持った女が、葉太は一番、疎ましいのだ。自分の対極にいるから憎いのか、それともうらやましいのか。おそらく、その両方だろう。




4.色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年 村上春樹


名前にアカ、アオ、シロ、クロという色彩を持つ4人と大の仲良しだった多崎つくる。しかし高校卒業後のある時、つくるは4人から突然拒絶されてしまう。―――15年の時を経て、色彩を持つ元親友たちの元を巡礼し、あのとき本当は何が起こったのかを解き明かしていくお話。


二重の意味で一人であることは、あるいは孤立の二重否定につながるのかもしれない。つまり異邦人である彼がここで孤立していることは、完全に理にかなっている。そこには何の不思議もない。



5.ひと 小野寺史宜


コロッケも譲る、道も譲る、結構高かったギターも譲る、そんなイイ奴な聖輔。両親を早くに亡くした彼が、商店街のお総菜屋さんのアルバイトを通して出会った人々とともに、本当に譲れないものを見つけていくお話。



しゃべろうと思わなければ誰ともしゃべらずにいられる。独りになるというのは、要するにそういうことだ。


僕は21歳。急がなくていい。一つ一つだ。急がないが、とどまらない。そんなふうにやっていけたらいい。先は大事。でも今も大事。先は見なければいけない。でも今も疎かにしたくない。だって僕は、生きている。



6.明るい夜に出かけて 佐藤多佳子


深夜のコンビニで働く心に傷を負った主人公が、深夜ラジオという共通話題を持つ人々と出逢い、少しずつ自分の人生を歩みだすお話。ラジオが聞きたくなる。

「考えたことなかった。わたしが何か作る。他の人が、そこから、また何か作る。パクるんじゃなくて、ぜんぜん新しい物を作る」



7.何者 朝井リョウ


就職活動、SNS。若者の”ホンネとタテマエ”が、鮮明に描かれている一冊。読んでいて共感するポイントが多くて、まるで自分のドス黒い部分がありのままに書かれてしまっているようで‥‥心苦しくなってしまう。なのに、面白くて、一気に読んでしまう。


本当の「がんばる」は、インターネットやSNS上のどこにも転がっていない。すぐに止まってしまう各駅停車の中で、寒すぎる二月の強すぎる暖房の中で、ぽろりと転がり落ちるものだ。
俺たちは、人知れず決意していくようになる。なんでもないようなことを気軽に発信できるようになったからこそ、ほんとうにたいせつなことは、その中にどんどん埋もれて、隠れていく。


8.何様 朝井リョウ


『何者』の登場人物たちの、その後、またはその前のお話。『何者』を読んだ直後に読むと、「あぁ、だからこの人は‥」、と繋がってしまう部分が多くて、そこが最高に面白いんだけど、苦しくもある。


9.桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ


バレーボール部のキャプテン、桐島。彼が部活をやめるというたった一つの出来事だけで、こんなにも多くの事が変わってしまうのか。そしてそれによって、こんなにも多くの人の心が揺れ動されてしまうのか。学校が、クラスが、部活が世界の全てである高校生の、狭さと深さが痛いほどに伝わってくる。


自分は誰より「上」で、誰より「下」で、っていうのは、クラスに入った瞬間になぜだかわかる。僕は映画部に入ったとき、武文と「同じ」だと感じた。そして僕らはまとめて「下」なのだと、誰に言われるまでもなく察した。察しなければならないのだ。



10.学生時代にやらなくてもいい20のこと 朝井リョウ


朝井リョウさんの大学時代の出来事について、面白おかしく書いたエッセイ集。いや、面白おかしく書いたというか、そもそも出来事たちが面白すぎる。本当にこんな大学時代を過ごしたのか‥同時に小説まで書いていたのか‥。朝井さんの面白さが爆発している一冊。思いっきり声を出して笑ってしまった。


11.世にも奇妙な君物語 朝井リョウ


『世にも奇妙な物語』が大好きだという朝井さんが書いた、5つの”奇妙な物語”が書かれた短編集。まさにあのテレビの世界観そのままで、ここに書かれた5つのお話はどのようにドラマ化されるんだろう‥と想像しながら読める。あとがきに書かれた、朝井さん視点の『世にも奇妙な物語』の魅力もまた面白い。


12.社会人大学人見知り学部卒業見込み 若林正恭


若林さんのエッセイ集。なかなか売れない時、そしてM1を経て急に忙しくなった時代について主に書かれている。まるで日記のような、若林さんのそのままの言葉で書かれた文章。『ナナメの夕暮れ』後にこの本を読むと、若林さんの文章の感じや、考え方などに変化のようなものをすごく感じて、より一層若林さんのことが好きになった。



13.そして父になる 是枝裕和 佐野晶


子どもが6歳になってから、病院の取り違えにより、実は育ててきたのは他人の子供だったという事実を突きつけられた2つの家族。家族って、血で決まるものなのか。はたまた過ごした時間なのか。決して明るい話じゃないけど、エンディングに向かうにつれて少しずつ希望が見えた感じが良かった。映画も見てみたいな。




以上。6月に読んだ13冊でした~!


最近ほとんど読書感想文を書けてないなあ。書きたい気持ちはある、だけどメンドクサイ‥となってしまっているのが正直なところ。だけど、こうやって振り返ってみると、やっぱり感想文をちゃんと書いた本は内容を覚えているし、強く印象に残ってるから、これからも、できる範囲でいいから書いていきたいと思っていることを、ここに宣言します!



朝井リョウさんにドはまりしていた6月。


ちなみに6月のベストは、小野寺史宜さんの『ひと』かな!

この本をきっかけに、小野寺さんにはまっているので、7月は彼の本が多くなりそうな予感。



自分のスキ!オモシロイ!の感覚をもっと大切にしたいし、深堀したいし、そしてそれらを残していきたいな、と改めて思った今日この頃。これからも楽しく本を読んで、楽しく発信していくぞ。




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