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リビング・イン・ニア・トーキョー

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2020年4月から、東京近郊に引っ越して生きていく日々の記録です。
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2020年5月の記事一覧

リビング・イン・ニア・トーキョー #9

リビング・イン・ニア・トーキョー #9

音楽を聴きながらお楽しみください。

 チベタンダンス。曲名の割に、なぜだか都会のど真ん中で聴いてみてもしっくりくる。きっとヒマラヤの奥でもしっくりくるのだろう。

 以前に比べて、街の中、駅前には格段に人が増えていることを感じる。これでも本当の賑わいは戻ってきていないというのだから、この街の底知れなさを感じさせられる。それでも、ちょっとした小道に入ると、人の気配はすっかり無くなってしまった。

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リビング・イン・ニア・トーキョー #8

リビング・イン・ニア・トーキョー #8

音楽を聴きながらお楽しみください。

 久しぶりの晴れ間に、僕の心はなんとなく明るくなっていた。「低気圧だと調子が悪い」なんていうのは、「あぁ〜水素の音〜」みたいなのと同様の疑似科学の類いでしかないと思っていたのだけど、現にこうやって日光を見て前向きになっている自分の心を省みると、そんなこともないのだろうかという気持ちになってくる。洗濯物を外に干すと、やっぱりいい気分だ。

 ぼちぼち、この街に来

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リビング・イン・ニア・トーキョー #7

リビング・イン・ニア・トーキョー #7

音楽を聴きながらお楽しみください。

 「人の心は、良い事よりも、悪い事に対してより早く、強く、そして持続的に反応する」という言葉が本に載っていた。それは性格とか、そういった類のものではなく、目や耳から入力された悪い情報は、本来の道ではなく扁桃体という近道を通じて脳幹に届けられる。それが意志に関係なくオートマティズムで行われるようになっているという、言ってみれば「世界の常識」のようなことらしい。

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リビング・イン・ニア・トーキョー #6

リビング・イン・ニア・トーキョー #6

音楽を聴きながらお楽しみください。

 午前5時に、変な地響きのようなものを感じて目が覚めた。ここ最近の地震もあって、このあたりに妙に敏感になっている自分がいる。昨晩どうしても眠くて、10時頃に寝てしまったというのもあるのかもしれない。ネットで調べても、地震の起こった形跡はない。外は曇り空。

 相変わらず、自宅周りの日々が続く...と書くと、「自粛疲れ」を感じている自分がいるような気がしてしまっ

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リビング・イン・ニア・トーキョー #5

リビング・イン・ニア・トーキョー #5

音楽を聴きながらお楽しみください。

 大型連休2日目の朝。遠くでカランカランという空き缶の転がる音が聞こえる。風が強い。近くでは子どものはしゃぐ声。そして、踏切と電車の音。寝起きの部屋は、ちょっと前とはちがう、少しイヤな暖かさに包まれている。

 暖かくなってきたせいなのか、電車の音は1ヶ月前よりもハッキリ聞こえるようになった。「この部屋は、駅がこんなに近いのに電車の音がほとんど聞こえないんだよ

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