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ミュージカルで手話通訳士が活躍していた

ほんの2ヶ月前まで3回のコロナ予防接種済み証明の提示を求めていた劇場入場条件が3月から緩和されマスク着用とセキュリティー検査のみでなんなく入れたのは有り難かった。緞帳が上がる前、はしゃぐ人々の中に黒い上下の服を着たまさに黒子のような手話通訳士の女性二人が目に入った。ステージの右前方、舞台に背をむけて立ち観客席の誰かに向かって話していたので聴覚障害の方が観劇に来ていると理解した。

RENTはミュージカルでソロを静かに歌う場面もあれば大勢で合唱する場面もある。劇が始まりフッと手話通訳士を見ると三人(男性1、女性2)が役によって代わりばんこで通訳していく。私はRENTが一躍注目を浴びた1996年の翌年から数年ほどRENTのCDを夢中で聴いた時期があり話の内容を知っていたので少しの間、目線を舞台上から通訳士三人に替えると感無量になってしまった。ミュージカルなので通訳士の三人も曲によってはノリノリで通訳している。見ている私もウキウキしてくる。舞台の上では音楽と共に役者がヒラヒラと舞い、と同時に通訳士も手、体、顔を使い舞っているかのようだった。

今回、遭遇して初めて「今のいままで聴覚障害の方はどのように観劇していたのだろうか?」と疑問に思った。日本では字幕端末機(タブレット)の貸し出しがポピュラーらしい。RENT以外にも多くの演目で手話通訳士の活躍がみれると良いなと思った出来事だった。

ちなみにRENTはドラッグ、貧困、LGBT、エイズを取り上げ人間の生きざま、愛について表現している。作者が描いた時代設定1989年エイズは不治の病。あれから医学の進歩でエイズの状況は改善されたが替わりにコロナが出現し貧困、ドラッグ、LGBT問題は米国のみならず日本でもつづいている。見ないふり、他人事、そうするのは簡単だけど文化作品を通し誰もが『考える機会』を持つのは大事。だからこそ芸術・文化を大切にしないといけないのだと。



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