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エリザベートを巡る旅 in ウィーン🇦🇹② 夢の「シェーンブルン宮殿 エリザベート2024」

空港から猛ダッシュでエリザベート公演へ!

オーバーブッキングのため(前回の記事はこちら)、フライトが変更となり、ウィーン国際空港に飛行機が着いたのが夜8時ジャスト。飛行機を降りたのが8時10分。
シェーンブルン宮殿までは車で30分、電車では1時間は最低でもかかるので、とりあえずタクシーで向かうことにしました。
コンサートは23時終了予定のため、その日はシェーンブルン宮殿近くのDoubleTree by Hilton Vienna Schonbrunnを予約しており、先にホテルで荷物を下ろし、ホテルからシェーンブルン宮殿へ向かいました。

ウィーン空港のタクシー事情

ウィーン空港のタクシーはメーター料金タイプと定額料金タイプがあります。メーター料金タイプは、到着ロビーの外にタクシー乗り場があり、すぐ乗ることができます。定額料金タイプは、空港内(到着ロビーの近く)に「CITY TRANSFER FIXED RATE」と書かれたタクシー受付の窓口があり、そこで行き先を伝えてタクシーを案内してもらえるらしいです。
または事前にオンラインでタクシーを予約することも可能です。

定額料金の方が安いと思うので(市内までだと40ユーロほどらしい)、急がない場合はタクシーカウンターでタクシーを呼んでもらった方がいいと思います。もちろん電車の方が圧倒的に安いので、時間に余裕があれば、電車で移動する方が絶対にいいと思います。

今回私はタクシーカウンターに向かう時間はなかったので、空港を出てすぐ前にあるタクシー乗り場からメーター料金のタクシーに乗ることにしました。
定額料金だと市街地まで40ユーロほどらしいですが、私のように直接タクシー乗り場から乗ると大体60ユーロ。シェーンブルン宮殿はさらに遠いので結局88ユーロでした。相場より高いので、余裕がある場合はタクシーカウンターを通すべき!

ダブルツリーヒルトンホテル到着

DoubleTree by Hilton Vienna Schonbrunn

シェーンブルン宮殿近くのホテルに泊まるなら、DoubleTree by Hilton Vienna Schonbrunnがオススメです!ホテルから徒歩5分真っ直ぐ歩いていくと、シェーンブルン宮殿の正面玄関に着きます。
一泊110ユーロ前後(朝食なし)で、ホテルのスタッフも親切で丁寧、部屋も大きく清潔で綺麗でした。

シェーンブルン宮殿のオランジェリーではモーツァルトのクラシックコンサートが毎日夜開かれており、またエリザベート公演と同じく庭園内で夏の夜のコンサートが毎年開かれています。
シェーンブルン宮殿はホーフブルク宮殿(Hofburg)などがある市街地とは電車で約30分と少し離れているので、夜のコンサートに一人で参加する場合は、このホテルが徒歩圏内で大通りに面しており、安全だと思います。

ホテルからシェーンブルン宮殿へ

ホテルから歩いて宮殿へ向かいます。すでに公演は始まっており、宮殿に近づくにつれ、「最後のダンス」が聞こえ、その時点で感極まりました!

外からのシェーンブルン宮殿の様子
美しすぎる宮殿!

宮殿の正面玄関が入場窓口で、スムーズに宮殿内に入ることができました。ちょうどゾフィとエリザベートの「皇后の務め」から公演を見ることができました。

ウィーン公演キャスト

キャストはエリザベート経験の長いレジェンドな俳優陣。コンサート会場では、屋根付きのステージが組まれており、オーケストラが舞台後方に。
エリザベート(オーストリア皇妃)…Annemieke Van Dam
トート(黄泉の帝王)…Gino Emnes
ルイジ・ルキーニ(エリザベ―ト暗殺者)…Riccardo Greco
フランツ・ヨーゼフ(オーストリア皇帝)…Armin Kahl
ゾフィー(皇太后 エリザベートの姑)…Helen Schneider
ルドルフ(皇太子 エリザベートの息子)…Moritz Mausser

エリザベート役Annemieke Van Damさんはエリザベートを5カ国(日本含む)で演じ、3ヶ国語で歌ってきたそう。また宝塚ファンはよく知る宝塚に縁の深いFrank Wildhorn氏作曲のArtus – Excalibur(エクスカリバー)やJEKYLL&HYDEで主役を演じており、ベテランの女優さんです。Annemiekeさんの歌声はどの曲も素晴らしかったです。

トート役Gino Emnesさんはたぶん初めてのエリザベート出演だと思います。ライオンキングのシンバやCATSのラムタムタガー(これはかなりハマり役だと思う!)、KINKY BOOTSでローラ役を演じられてきた、ベテランの俳優。

ちなみに私の前に座られていたドイツ人の女性と幕間に話したところ、その女性もミュージカル女優らしく、トート役のGino Emnesさんと同じ舞台で演じたことがあるそう。

シェーンブルン宮殿コンサート座席

チケットは112ユーロからあり、A5は399ユーロとかなり高額。私はD4の左通路側、前から3列目席を取りましたが、142ユーロでした。AブロックとBブロックはかなり早くに完売していたので、私がチケットを取ろうとした時はDブロックかB・Cブロックの端の席しか空いていませんでした。

メインのステージ両側に大型スクリーンがあり、C・Dブロックはそのモニターをみるような形になると思います。Dブロックでも真ん中寄りの通路側席を取ったので、舞台上はかなり遠目でしたが、見ることは出来ました。
シェーンブルン宮殿野外コンサートは端からはかなり見にくいと思うので、C・Dブロックの席を取る場合は4~6の列から席を取ったほうがいいと思います。

座席はオフィシャルサイトより

ウィーン公演と宝塚歌劇の解釈の違い

ウィーン公演はドイツ語ですが、字幕なしでも全然問題ありませんでした。でも次見るまでに、ドイツ語の歌詞も確認しておこうと思います!

宝塚は男役が主役なので、トートが主役なのに対し、本場ウィーンの公演は主役がエリザベート。初めはウィーン版のトートの出番が少なくて、驚きました。よくよく考えると、宝塚版はトート・エリザベートに焦点を当てた内容であるのに対し、ウィーン版はエリザベート・トート(死)・フランツ・ルドルフ・大公妃ゾフィーの全体のつながりに焦点を置いているため、よりそれぞれの登場人物の孤独と苦悩がわかりやすくなっている気がします。

本場のトートは「死」を擬人化しただけの存在であるのに対し、宝塚は「黄泉の帝王」として描かれているのも大きな違いだと思います。

本場はエリザベートが主役であり、もちろん圧倒的に出番が多いのですが、宝塚版では「悲劇的なヒロイン」エリザベートとして描かれています。それに対し、ウィーン版では宝塚版と同様「自由を求めて生きる自立した女性」で、「悲劇的な死を遂げる皇妃」として描かれているけれども、「KITSCH」という歌からもあるように、実際は皇太子ルドルフを自分で引き取っていたものの養育は他人任せである描写があったり、世間的にはかなりエゴイストと見られるような描写もありました。「悲劇的なヒロイン」というのは後付けで「自由」「エゴイスト」というのが当時の社会的な印象なんだなと感じました。

そしてウィーン版ミュージカルはよりリアル。宝塚版では、フランツが浮気し、その裏切りに耐えられず放浪の旅に出るエリザベートが描かれていますが、実際にはフランツから梅毒を移されて浮気に気づき放浪の旅に出る、というように描写がよりリアル。

またウィーン版では大公妃ゾフィーとエリザベートの確執の場面も多く(ゾフィーの出番自体がかなり多い)、エリザベートの第一子ゾフィーの死が描かれていたり、宝塚版と比べるとよりリアルに描かれているシーンが多いので、いかにエリザベートが精神のバランスを崩し、自らの死を望み、トート(死)を引き寄せてしまったかがわかります。

宝塚とウィーン版両方で、エリザベートが過度なダイエットをしていたことや、美貌への執着があったことが触れられているけれども、これも精神的にとても追い詰められていたからだとウィーン版ミュージカルを見て、より理解ができました。

面白いのは宝塚のゾフィーは悪役の位置付けであるのに対し、ウィーン版のゾフィーは皇太后の立場から伝統を重んじながら、フランツへの愛情もあり、それゆえエリザベートに厳しく接した皇太后ゾフィーの姿を感じます。
そして宝塚のエリザベートで一番好きなシーンはルドルフとトートの「闇が広がる」のシーンですが、ウィーン版のこのシーンもキャストの歌声がすば楽しく、痺れました笑


ルドルフといえば、私が初めて宝塚デビューしたのは、和央ようかさんのお披露目公演「うたかたの恋」でした。「うたかたの恋」は皇太子ルドルフとその恋人マリー男爵令嬢との悲劇的な愛を描いており、そういえば和央ようかさんもルドルフを宝塚歌劇団1996年初演の「エリザベート」でルドルフを演じていたから、お披露目公演が「うたかたの恋」になったのかなと、ふと思いました。

感想

シェーンブルン宮殿野外コンサートでは、野外のコンサートならではというシーンがいくつかありました。例えば馬車でフランツとエリザベートが現れるシーンがあったり、火を使った演出があったりと迫力満載でした。


ウィーン版はそれぞれの登場人物がバランスよく描かれているので、登場人物それぞれの背景・関係性がわかりやすく、より物語が理解しやすかったです。今まで宝塚版のエリザベートは何度も見てきて、「黄泉の帝王」トートに好かれてしまった「自由で美しい皇后」エリザベートという印象が強かったけれども、ウィーン版では「皇妃の義務を放棄し自分の生き方を優先させた、ある意味自分勝手な皇后」とういう印象も見受けられ、解釈の違いが興味深かったです。

宮殿を出るのが名残惜しく、最後に一枚振り返り写真をパシャリ。

ちなみにエリザベートの上演は今年が最後。来年からは『I AM FROM AUSTRIA』が上映されるそうです。


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