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70代80代の両親にiPadを覚えてもらったら自分の幸福感があがった話

みなさんは、ご両親と一緒に、もしくは近くに住んでいらっしゃいますか?
住んでいない方は、どのくらいの頻度でコミュニケーションをとっていますか?

私は、今年千葉から夫の実家がある小田原へ引越しして来ました。
義母が昨年大きな手術をし、心身落ち込んだため「少しでも近くに」ということで決めました。
私の両親は70代と80代で身体はあちこちそれなりにありつつも、おかげさまで元気ですが、もともと千葉の方で歩いて15分の距離に住んでいた場所から少し離れました。

当然、15分で実家へというわけにいかなくなったので、寂しい思いをさせるだろうと思ったのですが、訳あって一昨年iPadを覚えてもらったところ、とても役にたっています。

今日は高齢の親にipadを使ってもらうととても役にたつということを書いてみます。

【1】まずは10年以上前にパソコンデビューした時

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父は現在83歳ですが、今時携帯も持っていない硬派な人です。
持ち歩くと気になって、外でいきなりかかってくるのが嫌だといいます(笑)
母は、多くの親がそうであるように、高齢者も使いやすいようなガラケーをずっと長く使っており、今でもそうです。(いわゆる折り畳み式のやつ)

実はうちは兄が10年以上前に会社を辞めてアメリカに留学し、現在もそのままアメリカで仕事をしています。
そのため、当時アメリカの兄と連絡を取る手段として、両親はパソコン教室に通い、基礎を覚え、長くSkypeで連絡をとっていました。
父は仕事でワープロを少し使った以外はコンピュータに触れることなく仕事を引退しまして、母も機械には強い方ではありませんでした。
教室に通うにあたり、当時ノートパソコンを1台買いましたが、その後父はあまり興味を持たず、母が電源を入れてSkypeに繋ぐまではマスターしたので、なんとかなりました。

Skypeに繋いでアメリカの兄と会話をする時も、「長く話すと電話代がかかるから」という父に「そうではない」ということを説明していた当時。(笑)
その後、何台かパソコンを買い替え、その度に私が接続やら設定やらをしていました。

【2】iPad購入にいたるきっかけ

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2018年の冬です。
両親が親戚と連絡をとるため、私がLINEを使って双方の間にたって連絡をしていたのですが、何かあるたびに間にたっていたわたしが両親に電話で説明したり、呼び出されて実家にいかなくてはならなくなりました。
親戚と両親が直接電話でやりとりしてくれればよかったのですが、相手も仕事をしているし、事情があって両親も私が間に入って中継をとることに安心していたので、最初はそうしていました。

でも、そのうちに私も「これは大変だな、、」と感じるように。
できれば、直接やりとりしてくれれば一番いいのにな、と思うようになりました。間にたっていた理由は「親がLINEが使えないから」というだけです。
「両親がLINEを使えるようになってくれたらとてもいい。LINEビデオ通話も使えるから、海外の兄ともそれで連絡がとれるしそうなったらパソコンはいらないしな。」

以前から両親に「iPadを買ったらどうか」と提案していたのですが、その度に「パソコンでいい」と断られ続けていました。
でも、今回はわたしも言い分がありました。
LINEができないからという理由でわたしが駆り出され、その度に間にたって色々面倒なことを引き受けていたけど、私も仕事にも影響が出てきたし、私がここまで時間をさかなくてはならない理由はない!と強く主張。(笑)
そこで、iPadを使ったらどんなにいいかを1時間ほどかけて強くプレゼンしました。
また、今後のやりとりは相手とLINEで直接やってほしいとも。

そしてついに説得が通じてiPadを購入することになったわけです!

【3】まずは母に教え込む

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最初になんでもきちんと時間をとって仕込んでおくと、後に自分が楽になるのは何でもそうですよね。
わたしも、この「親にiPadを教える」という一大プロジェクトに本気で取り組みました。
「適当に・なあなあに・なんとなく」ではなく、本気です。(笑)
わたしはフリーランスになった10年ほど前、パソコンスクールでインストラクターとして働いた経験があり、現在でも講師として年に数回授業を持っています。
また、結婚してすぐの頃、高齢者向けのPCスクールでアルバイトしたことがあり、高齢者の方に教えるノウハウも経験しました。
「教える」というのは、どんな分野であれ経験と技術が必要です。
講師活動をしてから、いくつかその分野の本も読んで勉強をしました。
この経験をフルに活かす時がきたのです!

まず母とソフトバンクへ行き、購入から手続きに至る全てを一緒に行いました。
また、最初の設定も全て私が行いました。
高齢の方にIT機器を覚えてもらう一番のコツは必ず一人一台、マンツーマンで行うということです。
「父と母と一緒に一台を使って一緒に習得してもらう」というのは多くの場合成功しません。
機器に疎い場合はなおさらですし、高齢者の方にパソコンを教える場合、数名の授業形式でも多くの場合成功しません。
「なんとなくわかった」というところまではいくかもしれませんが、「本当に使える様になった、習得した」というところまで行くにはマンツーマンが絶対条件です。
そのため、最初は母だけに教えました。
最初は電源の入れ方、消し方、スワイプして画面を出す方法、これだけです。
最初の3日間、「毎日できれば1日3回くらい、この電源の入れる、消す、スワイプで立ち上げをやって」といって練習してもらいました。
スワイプで初期画面を立ち上げることができたら、スリープさせる、これだけを最初の3日間繰り返しやってもらいます。

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この作業がすんなりできるようになったら次に早速LINEです。
アカウントをとったり、設定は私がやって、まずはわたしとトークができることを目標にしました。
アプリを画面のわかりやすい位置に配置して、LINEを立ち上げる方法を教える。
一番の難関は文字が打てる様になることです。
そこでタップを練習してもらいました。
最初はキーボードを日本語にすることも大変でした。
違う画面になる、キーボードがでてこないというだけで母は焦ってしまいます。
その度に「簡単なことでは壊れないし、iPadは直感で操作することも大切だから、ここかなと思うところを押してみよう」と言って励まします。
ホームに戻る方法も教えます。
「焦らないでいいよ」「ゆっくりで大丈夫」「必ず使えるようになるから」と繰り返します。
この辺りで1週間くらい使いました。
わたしは仕事の合間に根気よく毎日実家に通い、1時間ほどマンツーマンレッスンを繰り返しました。
毎回少しづつ教えて、同じことを繰り返し練習してもらいました。
そのうち、わたしとLINEで会話ができるように。
また、操作を忘れないように、毎日LINEで朝、夜に連絡を取り合うようにしました。
朝はおはようというスタンプからはじまり、「今日も良い1日にしようね。」と文字を打つ。
夜は「お疲れ様、おやすみ」というスタンプ。
そのうち文字入力に慣れてきた母は、朝1日の予定や、夜には今日あったことを書くようになりました。
私も毎日送りました。

【4】いよいよLINEビデオ通話デビュー!

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毎日連絡をとることで、操作になれてきました。
アメリカの兄ともLINEで連絡をとれるようになれ、いよいよビデオ通話です。
この頃には操作に慣れてきて、家で少し離れてビデオ通話を練習しました。
ビデオでかける、きる、受け取る。
トークの画面に戻す方法などです。
そしていよいよアメリカの兄とLINEビデオ通話。
ばっちり上手くいきました!!
この時も父は「長く話すと電話代がかかるから」と言っていました(笑)
とても良いのはiPadは小さくて持ち運びに便利、パソコンほど立ち上げに時間がかからないので、気軽に使えるという点です。
ビデオ通話を完璧にするために、最初の1週間くらい毎日通話しました。
私からかける、かけてもらうを時間を決めて練習しました。
この頃には実家に行かなくてよくなっていたので、わたしもとても楽になりました^^

【5】そのうちYoutubeも見れるようになった!この効果がすごい。

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これはとてもよかったのですが、iPadに慣れてきた頃、高齢の母が色々心配などが重なってメンタルが落ち込みがちになったので、Youtubeをおすすめました。
これも、イチから操作を教えましたが、すでに基本操作に慣れていたので割とすぐに使える様になりました。
まずは母の好きそうなチャンネルを探して選び、登録してすぐに聴けるようにしました。
斎藤一人さんなどのラジオ感覚できける人生相談や瀬戸内寂聴さんの講和、あとは落語とかポジティブで前向きになれるものをオススメして家事をしながら聞くようにすすめました。
そうしたら効果はてきめんで!
高齢の親は一人時間が長く、持て余して弱気になってしまうこともあると思います。
テレビもネガティブ情報が多かったりして気が滅入ることもあります。
でも、Youtubeで好きなラジオを聞いたり、前向きに慣れるお話を聞いたりしているとまず気が紛れるので考え込むことがなくなるんですよね。
そしてさらに、関連チャンネルの自動再生で永遠に聞いていられることです。興味が無くなったら変えればいし、検索で好きなワードで探す方法も教えました。
そうしたら見事にはまって、台所仕事の時に聞いたりするのにとても良いのです。
ちなみに手術をした義母にもYoutubeを教えたところ、不眠がちだったのが寝る前に落語を聞いていたらいつの間にか寝ていることが多くなったと言っていました。
(義母は仕事で70歳近くまでパソコンを使っていたのと、スマホを使っているので習得は早かったです。)

【6】その後、父がYoutubeにはまった!

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さらに、その様子を端で見ていた父がiPadを触り始めたそうで、母が基本の操作を教え、Youtubeのチャンネル検索で政治やゴルフのネタを探し、毎日のように使っているとのこと。
母がそばにいるので、画面が意図しないものになってもすぐ戻してくれるので安心です。
こういった意味でも、母に徹底的に教えたことは間違いではなかったのです。

【7】私が引越してからも

2019年はそんなわけで1年かけて毎日朝晩のLINEの挨拶をし、その頃は自転車で10分かからない距離に住んでいたので、わからなくなると母がiPadを持ってすぐうちに来てくれました。
(最初はヘンな画面になるたびに頻繁に来てました。)
パソコンだとすぐ呼び出されていたのですが、iPadだと私が行かなくてすむので仕事にも影響がなくなり楽でした。
今では母は友達ともLINEで会話しており、通っていた腰痛整体体操の講座の先生がコロナの影響で教室が閉鎖してしまった時からはじめたオンライン講座にも週に2回参加しています!

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そして今年、小田原へ越してきたわけですが、日課になっている朝晩のLINEの挨拶とたまのビデオ通話が本当に役立っています。

70代80代は子供や孫が近くに住んでいないと何かと心細く感じることがあると思いますが、すぐに顔が見れて連絡が取れる、毎日テキストで簡単な日常の報告ができるコトでお互いに支え合っています。
引越ししてますます「あの時根気強く教えておいて良かった」と心から感じています。
今だ母が使えていなかったら、今よりもっと不便だったり気をもむこともあったと思うからです。

【8】高齢者ほどITスキルがあると人生が充実する

わたしは70代以上の高齢者の方ほどITツールを使えるようになるととても良いと考えています。
以前、若宮正子さんのご著書「60歳を過ぎると人生はどんどんおもしろくなります」を読んだ時、大変感銘を受けました。

そうは言っても、スクールなどに通わない限り、また強い動機がない限り習得にはそれなりに時間もかかるかもしれません。
わたしは自分自身にも習得して欲しいという強い動機があり、根気よく時間をとることができました。
根気よく教える時間をとったことで、結果、今では自分がとても助かっています。
ITスキルのあまり高くない高齢者の方にパソコンやiPadなどのツールを習得していただくには教える方にも相応の根気と技術が必要です。
そうでない限り挫折してしまうことが多いと思います。
ご両親が家にいる子供にちょっと教わろうと思っても、双方なかなか面倒だったり解決できないというコトも多くあります。
(わたしももっと前、実家にいた頃にはパソコンの操作など聞かれるたびに面倒で邪険にしてしまっていました。そういうことってありますよね。)

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今日はそんな両親の結婚記念日。
54周年だそうです!!
おめでとうの意味をこめて書きました^^

みなさん今日も素敵な1日をお過ごしください☆

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