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デザイナーのわたしが治療中にはじめた新しいコトについて

治療がはじまってから、少し仕事をセーブして時間があるため、わたしはこの半年のスケジュールをたててみました。

手術が6/11で、抗がん剤開始が7/12、6クールの終了を長くてもだいたい11月初旬と考えて、仕事のペースにもよるけど、年末までは少し時間があります。

この期間に仕事を焦ったり、治療中に余計な心配や不安をもたないように自分が楽しめて知的好奇心が満たされるようなコトはないかな?と考えて色々書き出してみました。

在宅フリーランスのため、仕事を全てお休みしているわけではなくて出来るものはありがたいことに受けていますが、それでも以前に比べて圧倒的に時間ができたわたし。
(以前、どんだけパツパツだったんでしょう:笑)

もともとテレビは見ないので、学生時代に観ていた古い映画やネトフリの最新作をたくさん観て、デザインの引き出しをたくさん増やそうと思っているのです。

なかなか人生にない貴重な時間なので、投与後の副作用のない時と今後のためにできることって何かな?と考えた結果、わたしがはじめたことについて書いてみようと思います。

* * * 

【1】読書

昔から本が大好き。
学生時代は3つの本屋でバイトしたほど。

読書が趣味でいつまでも読んでいられる人間だったのですが、フリーランスになってからは本当に本を読む時間が減ってしまった。

加えて40代になってからの目の衰え。。
乱視に老眼が加わってからというもの、長く字をみていられなく、めっきり読書の量が減ってしまった。

(でもパソコンは比較的いつまでも見ていられる不思議。。)

それでも仕事に関係する本は読んでいたんだけど、小説の類は本当に読まなくなってしまった。(悲しい。)

純文学は1年に1冊も読まなくなったかも。

入院中にもかなり読んだと思うのだけど、きっかけは、先日、西加奈子さんの本を読んだコトと、ひすいこうたろうさんのエッセイ本を手にとって読んだこと。

「おもしろく生きられるかどうかは、現実が決めるのではない。あなたの心が決めるのだ。」

この本の中で、ソフトバンク創業者の孫正義氏のエピソードが心に残った。

孫氏はソフトバンクの前身、日本ソフトバンクが売上45億円の企業に成長していた25歳の時、突然の病に倒れた。

肝硬変寸前の慢性肝炎で、医師に余命5年と告げられながら、入退院を繰り返すことに。

主力事業であった出版部門の業績も厳しかった最中、医師に命を縮めると告げられながらも、周囲にさとられないように病院を抜け出しては会議に出席していた。

様々な事がある中で、もし自分の命が残り5年だったら、と考えたとき、
「家や車、そんなものは何もいらない。生まれたばかりの娘の笑顔が見たい。」と思ったと。

「ここで命が尽きるなら本当に欲しいものは何だ?」と考えた孫氏。

・娘の笑顔が見たい→それだけでいいか?
・家族みんなの笑顔が見たい→それだけでいいか?
・社員の笑顔も見たい→それだけでいいか?
・お客さんの笑顔も見たい

ここまで考えたときに孫氏は、死と向き合った闘病生活で人生の価値観を見つめ直し、「俺はみんなの笑顔を生み出すために残りの命を捧げよう」と決めたのだそう。

大事なのはお金ではなく、地位でも名誉でもなく、人に喜んでもらえること、そういう貢献ができたら幸せだと気づいた、と。

3年間入退院を繰り返す中で、経営学、歴史書、IT関連など、3,000冊の本を読んだという。

その後、画期的な治療法が見つかって孫氏は完全復活した。

わたしはこのエピソードを読んでとても感銘を受け、自分の価値観について改めて見直すきっかけにもなった。

そして、今、かの名著「志高く」を読んでいる。
初版から20年。

以前、父から「読んでみな」と声をかけられていたけど、きっかけがなく読まないままだった。

このひすいこうたろうさんの本は、他にも坂本龍馬や本田宗一郎さんなど、経営者や歴史上の偉人がいかに逆境を乗り越えてきたかをライトに読める本で、おすすめ。

そんなわけで2024年後半は、どっぷり読書にひたることにした。

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【2】英語の勉強(社会人の学び直し)


学生時代にはいちおう、英語が一番得意だったのだけど、今や全部忘れてしまい、語学からは遠ざかってしまった40代後半。

「この機会に何がしたい?」と自分に問うた時、まっさきに英語の学び直しというのがひらめいた。

でも、どうやって勉強していいかさっぱりわかならい。

そこで、恒例の如く検索を開始し、行き着いたのが最初のとりかかりとして中学英文法をやり直す、ということ。

YouTubeやブログなどで、ほとんど会話もできなかった方たちが、「英語をスムーズに話せるようになるまでに最初のきっかけとしてはじめたもの」、というところで、オススメの参考書などを片っ端から調べ上げた。

で、書店に行ったときに、おさげの中学時代の自分を想起しつつ(おさげって死語?)、中学英語の棚の前で2時間くらい粘りながら閲覧し(笑)、結果的に先人たちが良いといっていた参考書を1冊手に入れてきた。

それから副作用中でないときはワンレッスンづつ毎日進めてます。

これがもう、楽しくて!

(こちらについても、また別途レポートします!!)

【3】Procreate 練習


これも以前からずっと使ってみたいと思ってたんだけど、なかなか時間なくて着手できなかったこと。

一昨年入手したiPad Proが泣くよ!というくらい、サブディスプレイにしか使えてなくて、(結局メインMacで全部やってしまう。。)本来のイラストやロゴ制作の目的で使いたかった作業をやろうと。

アプリダウンロードして試し使いしているのだけど、こちらもワクワクする!

元々、夫が趣味のイラスト描きなので、(最近では頼まないと書いてくれないのだけど)夫が関連の書籍を何冊が持っていたし、ツールは揃っている。

加えてYouTubeでかなりのレクチャー動画が見れるので、独学でまずは使いたいように使ってみている。

アプリは買い切りで2,000円。

こちらは、最初の練習で描いたモノ。

ひととおり機能を試しつつ、まずはブラシの使い方に慣れるために描いた。

ブラシの基本はだいたいわかった📝

ちなみにわたしのやんちゃなiPad Proケースはこちら▼ 笑

右上の南伊豆の夕日が丘キャンプ場のステッカーはお気に入り✨

※こちらも別途シリーズでレポートします!

【4】カメラの練習とInstagram


元々カメラは趣味でやっていたのだけど、これを機会にちゃんと練習しようと思ってこちらも独学で始めた。

大学時代から動画も含めてSONYのカメラに馴染んでいて(VX2000懐かしい)、今使っているのはSONYの「α7C」というαシリーズのもの。

簡単な設定で自分好みに撮れるので、我流で撮りたいように撮ってPhotoshopで色調調整していただけなんだけど、がんになってからwacameraさんのInstagramとnoteに出会い、その世界観が素敵でわたしもちゃんと勉強したいなと思った。

写真や動画は、わたしの場合完全に我流なので、お客様には恐縮ながら仕事では受けられないといつも伝えている。

でも、簡単なものだったら自分で撮影できたらなといつも思う。

何でもそうだけど、顧客の要望に答えることがプロの仕事
趣味と自分の好きなものだけを制作するところでの違いはそこになる。

https://www.instagram.com/wacamera/

wacameraさんも21年に子宮頸がんを患って、抗がん剤治療も乗り越え、世界中を飛び周って作品を制作している方。

抗がん剤始まる前や1クールの時、とても不安だった頃、wakaさんの治療日記として発信している内容に本当に本当に心から励まされた。
とても勇気が出た。

「脱毛が悲しい」というところもとても共感した。
わたしも思いのほか、脱毛に対しては始まってからがナイーブだった。

抜ける前は「全然平気」と思ってたけど、抜けてからの悲しみは予想以上に大きかった。
映像やデザインは視覚優位な世界なので、感覚的にそういうものなのかもしれない。

さらに、Instaで観る世界観、世界中の美しい景色。

とても気さくなお人柄と写真のセンスが素晴らしく、わたしも自分の世界観をきちんと築き上げたいなと思い、絶賛模索中。

こちらのYouTubeも大好きで毎日観てる。

治療が終わったらwacaさんに会いに行くと決めている。
相棒のカメラを持って。

そして今、この経験から思うこと。


6月の手術を超えて、わたしは全方向的に変わった。

と言うか、20代で様々な要因で外れて(外して)しまったレールを本来のレールに戻し、行くべき道を行くと決めた。

毎日日常の風景を撮影し、言葉と映像の表現に自身を見出していた当時の自分。

まるで学生の頃に戻ったかのように。

映画を志していた頃、わたしが“表現したい世界”というものがあって。

シナリオの勉強や映像の勉強の中で、伝えたいことや自分だけのオリジナリティについて絞り出すように内面と向き合って考えを巡らせていた、あの頃。

結局、表現や作品は自分が経験したことや、見てきた世界心の中にある自身の心象風景から紡ぎ出されるものでしかなくて、それは、酸いも甘いも人生で経験してきたコトの中から生み出されていくもので。

どんな職業でも、職人の世界というのは、数年、数十年かけて作られる。

最初は先輩の姿を背中越しに見ながら、ひとつひとつコツコツ培っていくモノ。
現代ではその“先輩”がYouTubeだったり、オンラインだったりなのかもだけど、結局は同じこと。

クライアントワークをひとつひとつ丁寧にこなして、時に失敗したり肝を冷やしたり、お客様と対等に真剣に向き合って、そうやって数年、数十年の年月を経て身体に染み込ませてデザイナーの血肉になっていくもの。

たぶん、「3ヶ月で◯◯◯」みたいなスクールものは、相当感覚の鋭い人だけが獲得する世界。

とってだしや、SNSで影響された誰かのマネは本当に心打たれない。

経験して得た感情や内側から湧き上がるクリエイターの魂の声のようなものが、写真であり、言葉であり、映像の中に見える瞬間が本物だと思う。

その人自身であるということ。

見てきたたくさんの芸術やデザイン、そして出会って来た人や風景、社会、色んなものが混ざって出来上がっていくのがオリジナリティ何だと思う。

それをデザイナーという仕事で言えば、顧客の一番魅力的なところ、サービスの根幹になる良い部分をデザインし、ブランディングしていく過程で、顧客にとって最大の魅力となる広告がクリエイティブに反映できたら、本当にデザイナー冥利に尽きると思う。

そのために私自身は、今はとにかく引き出しをつくり、幅を広げていくことなんだと思う。

病気になっても、病人にはならない。

結局、今、わたしが心から思うのは、病気そのものを生きるのではなく、病気から教えてもらった最大の気づきやギフトをありがたく受け取って、それを自分やお世話になってる人や社会のためにいかにあたたかく使っていける人生にするかなんだと思う。

目の前の人が、心から喜ぶことをする。

わたしもそんなデザイナーとしての人生を生きたい。

わたしに娘はいないが、わたしはお客様の喜ぶ顔が見たい。

周囲にいてくれる人たちが幸せであることを心から望む。

そのために、わたしは我慢も自己犠牲もしない。
やりたくないことはやらない。
わたしがわたしを一番良く知って、自分が一番心地良いことをする。

それが世界が美しいということだと、わたしが思うから。

チャレンジは続く。

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