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「全米が大爆笑」みたいなコメディはあまり好まないのですが、「そこを笑いにしちゃうの!?」という映画や、ふふっとなるイギリスやフランスの映画は好きです。

中でも、忘れられない3作です。

『VIVA!公務員』(2015・イタリア)

イタリア映画祭で面白い映画を観てからは、ヒューマントラストシネマ有楽町のviva!イタリア回数券(3枚3,000円)を買い、どの3本を観ようかと楽しみにしていました。

子供の頃から目標だった公務員になって15年、公務員の仕事や付け届け、安定感を存分に楽しんでいたケッコ。両親と同居で生活費はタダ、マンマの美味しい料理も味わえる。しかし行政改革でリストラの対象に。
辞めさせるための激しい勤務地への異動を繰り返すが、ガンとして退職書類にはサインせず、とうとう北極に!?

どうしてここまで公務員に拘るんだろう、という疑問は、ケッコの口から色々語られてわかりました。挿入歌のちょっとブラックなイタリア賛歌でも窺い知ることができます。

でもケッコみたいに悪びれもせず堂々と言っていると、そういう環境の中にずっといたらそうなっちゃうよね、と思えてくるのです。映画だからであって、日本がこうだったら嫌ですけどね!

冒頭でアフリカを走っていた車が故障して、とある部族に捉われてしまい、ケッコは自分の人生を語り出します。何故アフリカにいたのか、という点はなかなか語られなかったのですが、そういうことでしたか。

リストラを担当した部長との攻防戦も見ものです。

86分、笑ったまま終わる感じも良いです。

『ブラック・クランズマン』(2018・アメリカ)

KKKに黒人刑事が潜入捜査!と聞いただけで、何それ観なくちゃと思いますが、これがまさかの実話です。コロラドスプリングス初の黒人刑事ロン・ストールワース本人が書いた、ノンフィクション小説が原作です。

ロンを演じたのは、デンゼル・ワシントンの息子のジョン・デヴィッド・ワシントン。相棒の白人刑事フリップ・ジマーマンにアダム・ドライバー。
さすがにそのまま潜入するわけにはいかないので、ロンが電話で話してフリップが実際にKKKのメンバーと会うという役割です。

ヒヤヒヤして、怒って、笑って、忙しいけれど面白かったです。
どんな人種や団体も一枚岩というわけではなく、色々な考え方の人がいるものです。

同じ頃にやはり黒人差別の映画として『グリーンブック』が公開されていましたが、なんだか白人目線に思えて、私は『ブラック・クランズマン』が好きでした。

英題は『ブラック・クランズマン』の「・」が小さいKになっていて、『BLACKkKLANSMAN』という表記です(小文字にした部分が、実際はサイズの小さいK)。中央にKKKが!

『テルアビブ・オン・ファイア』(2018・イスラエル他)

これは絶対面白いはずと、アウェーの渋谷までわざわざ観に行きました。

エルサレムに住むパレスチナ人のサラーム(カイス・ナシェフ)は、人気テレビドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」の制作現場でヘブライ語の指導をしているが、ある日検問所でちょっとしたトラブルがあり、イスラエル軍司令官アッシ(ヤニブ・ビトン)に脚本家だと嘘をついてしまう。アッシはドラマのファンである妻に自慢しようと、毎日検問所でサラームを呼び止め、強引に提案してくる。そのおかげで本当に脚本家となったサラームだったが、結末をめぐってイスラエルとパレスチナの板挟みになってしまう。
一方で、サラームが好きなマリアム(マイサ・アブドゥ・エルハディ)との関係は──。

もう、板挟みの挟まれ具合が国家なんて大きすぎます。その”笑撃の結末”がなかなかの笑撃で、そうきたか!とお腹を抱えて笑いました。パレスチナ問題もこんな風に、平和に解決できると良いのですが。
また、フムスが食べたくなるとの噂で持ち切りでしたが、確かに~。

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観る前に、パレスチナ問題は少しおさらいしておいた方がより楽しめるかもしれません。もしくは、『歌声にのった少年』(実話が元になっています)『オマールの壁』などの映画を先にご覧頂ければ。『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』でもわかりやすく解説されていました。

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