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まだ裏面が真っ白なA4のチラシを貰ったのは、恐らく昨年でしょう。デ・キリコ展やるよ!というお知らせ。その後、A3両面二つ折りのチラシもどこかで貰ったものの、今回はパスかなと思っておりました。

その頃の自分に喝を入れたい気分です。好きなものは観なさいよっ!とね。

デ・キリコ展
不思議の世界へ、ようこそ。

2024年4月27日(土)~8月29日(木)※この後は神戸です!
9:30~17:30(金曜は20:00まで)
東京都美術館にて

「いつ行ってももう混んでるだろうけど」と、8月16日まで限定の招待券を美術先輩に頂いたいつもありがとうございますのですが、予想に反して空いていました。家を出たのが11:30頃だったからかもしれません。飲食店はどこも一杯のようでしたから、皆さん昼食タイムだったのでしょう。

事前に公式サイトの山田五郎さんの解説動画パート1を少し観ました。10年ぶりの回顧展といっても、10年前は汐留だったからな……と聞いて調べると、その展覧会は観ていました。パナソニック汐留ミュージアムだった頃です(現・パナソニック汐留美術館)。

その時はこんな構成でした。
Ⅰ 序章:形而上絵画の発見
Ⅱ 古典主義への回帰
Ⅲ ネオバロックの時代-「最良の画家」としてのデ・キリコ
Ⅳ 再生-新形而上絵画
Ⅴ 永劫回帰-アポリネールとジャン・コクトーの思い出

パリ市立近代美術館に寄贈された未亡人の旧蔵品を中心に、約100点。しかしパナ汐留と東京都美術館では規模が全く違いますから……。

展示室もなかなか面白い造りになっていました。斜めの壁、そこに開いたアーチ状の窓から向こう側のお客さんが見えたり、窓かと思ったら鏡だったり。この感覚、スペインのダリ劇場美術館みたいでした。見取り図を見ながらでも「見逃した部屋とか、たどり着けない部屋とか、絶対あるよね」と言いながら回りましたっけ。

SECTION 1 自画像・肖像画

自画像が集まっていると、変遷がわかって面白いですね。最初の自画像はさすがに若いです。

《17世紀の衣装をまとった公園での自画像》は、もうそういう衣装を着て描くのは誰もしなくなってので、敢えてやったのだとか。そういう考え、スキ。

《弟の肖像》は、当時傾倒していたアルノルト・ベックリンっぽいと山田五郎さんが解説されていたな、と思いながら観ました。

SECTION 2 形而上絵画

形而上絵画以前

《山上への行列》でした。序章という感じでしょうか。

2-1 イタリア広場

見慣れたイタリア広場が初めて訪れたように見えた……フロイトみたいに広場恐怖でもあったのかなと思いつつ観ました。公式サイトの『スペシャル』にある精神科医のコラムによると、離人感だそうです。

2-2 形而上的室内

第一次世界大戦でフェッラーラの病院に配属され、この町の家の室内、店先のショーウインドウなどに魅せられて室内画を制作したそうです。

そこになぜビスケットが貼られているのか……考えてはいけないのでしょう。そのビスケットは食用に再現され、グッズ売り場にありました(写真はとても似ています)。

2-3 マヌカン

ああこの頭、近代美術館の『TRIO展』にもありましたね。マヌカン(マネキン)が時代を経て人間っぽくなっていくのも面白いです。

《南の歌》はルノアールの影響を受けているそうで、確かに筆致や色使いがルノアールのようですね。

SECTION 3 1920年代の展開

マヌカン後の新たな主題「剣闘士」の他、「室内風景と谷間の家具」が不思議です。部屋の中に家があったり、逆に外に家具があったり。

解説を読んで納得したのが、デ・キリコはギリシャ生まれで地震が多かったので、大きな地震の後は家具が外に持ち出されていたのを見ていたそうです。その違和感がずっと頭の中にあって、このような絵になったのでしょうか。

SECTION 4 伝統的な絵画への回帰 ──「秩序への回帰」から「ネオ・バロック」へ

普通の(?)絵も描いてたんだ!という《菊の花瓶》。伝統的でもどこか違うのが《鎧とスイカ》や《岩場の風景の中の静物》。なぜそこに?

《風景の中で水浴する女たちと赤い布》は、ヴィーナスでも誕生するのかという気配を見せながらも、赤い布のタッチはデ・キリコならでは。

SECTION 5 新形而上絵画

亡くなるまでの10年位で取り組んだ、新たな形而上絵画は、過去に描いたモチーフを画面上で統合したもの。キュビスムやゲシュタルト療法の、一度バラバラにして再構成するのと同じなのか違うのか……わかりませんが楽しそうです。

《オデュッセウスの帰還》は部屋の中に海があってボートで帰還します。板張りの床を眺めながら、なんとなく歌舞伎を思い浮かべました。檜の舞台上に突如、海ができるからでしょうか。

TOPIC 1 挿絵──〈神秘的な水浴〉

ジャン・コクトー『神話』のための版画連作です。
そこに白鳥が?……そこにケンタウロスが?どんな話なのか、気になります。

TOPIC 2 彫刻

おぉ、《吟遊詩人》の立体版がある!他も、ブロンズに銀メッキや金メッキを施してあって、ギラギラです。

こういうブロンズって中空にしているのでしょうか。でないとかなりの重さですよね。

TOPIC 3 舞台美術

衣装のスケッチや、本物のバレエの衣装が並びます。不思議な絵や発想も、舞台のセットや衣装だと違和感ありません。


展示室内は撮影禁止、フォトスポットが2か所ありました。

ショップはグラスが素敵でしたが、同じようなサイズのチュニジアのハンドペインティンググラスが2つもありますから、我慢我慢。今日もポストカードです。

都美の企画展示室は地階から入って1階、2階と上がって最後にショップがあります。その後はエスカレータで下りますが、ソファが並んでいるところで休憩できるので、買ったものや貰ったチラシを綺麗にカバンに収めて…という時に使っています。今日はそこでハガキを書いちゃいますよ~。

《オデュッセウスの帰還》

1Fの常設ショップの近くに記念スタンプがあったので、それも押しました。都美を出ると上野動物園の入口も近く、その前のパンダポストで投函するために切手も持参したのでした。

ここで投函すると、この ↓ 風景印を押してくれるのですよ(残念ながら国内のみ)。いつもチケットを下さる美術先輩に、暑中見舞いを出そうと思いまして。

もう1枚、こちらを購入。

《貞淑な花嫁》

都美ショップのInstagramで見つけた鳥獣戯画のグラスが可愛くて。

ショップに現品があったら見たいと思ったのですが無かったようですし、1つでいいのにペアなのはご縁がないということでしょうか。代わりに、鳥獣戯画の蕎麦猪口があったので、口が欠けてしまったものの代わりには良いかもしれません。都美のショップは鳥獣戯画グッズがいつもあるので、布巾などよく買っています。

百日紅、低めにまとまっていると可愛いですね

この日も猛暑日予報で、起きた頃には30℃を軽く超えていました。どうせ暑いのだからと、保冷剤を持って、外出前と帰宅時に経口補水液を飲み、途中でも気をつけて水を飲んだら大丈夫でした。

スーパーへ行きたかったので、せっかく外へ出るなら……と、壮大な寄り道をしました(上野は全然近くないです)。

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