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カラー&トリートメント2970円の激安美容室に行ってみた

成人式はなくなったものの、ゴールデンウィークに写真撮影会なるものがあり振袖を着ることになった。

特に準備をするつもりはなかったが、同級生が振袖のためにネイルや美容院に行くInstagramのストーリーを見て焦りを感じたため、私も美容院に行くことにした。

私の厄介なところは、行きたいと思い立った日に行かないと、気持ちがうずうずして落ち着かないタチであることだ。今回も例外ではなく、どうしても当日に行かないと気が済まなかった。

早速、ホットペッパーで当日予約できる美容院を授業を受けながら探す。実は、当日予約すると1,000円割引のある、安くて腕もサービスも良いお気に入りの美容院があるのだが、あいにく今日は当日枠がなかったので断念。

しょうがないので検索結果を上から下まで眺めるが、そんな中で私の目を引いたのは、カラー&トリートメント2,970円という驚異の安さのサロンだった。(以下Aサロンと呼ぶ)

施術内容は、カラー+トリートメント+シャンプー+セルフブロー。申し分ない内容である。早速1時間後に予約してサロンに向かった。


派手派手しい1階のタピオカ屋に目を取られて、同じビルの2階にあるAサロンに気づくまで付近を2往復もした。予約の10分前に着くように行動する性分のおかげで、道に迷いながらも時間通りに到着できた。

まず最初に私を驚かせたもの。なんと、料金前払い制だったのだ!

美容院って、カラーとかトリートメントの度に、高いトリートメントを進めてきたり、ダメージを少なくするカラーを勧めてくるものだと思っていた。そして結局、かっこたる拒絶の意思がなければ当初の予定より数千円高くなってしまう。施術中は、美容師がいかにお客さんにオプションをつけさせるかのセールス力が試されるところだと思う。

でもまあ、ある意味、前払い制度は当初のお金を上回ることがないという点で、客である私たちに良心的な制度かもしれない。

しかし、2,970円と聞いていたのだが、さらに上の”高級コース”を勧められてしまった。

高級コースは、本当に名前が”高級コース”なのである。こんなド直球なコース名は初めてだ。もっと、”ビューティーコース”とか(これもダサいけれど)カタカナのおしゃれなコース名があっただろうにと思う。

(実際は全く悩んでいなかったのだが)”高級コース”を悩むそぶりを見せて、結局”普通コース”にした。”普通コース”も本当に名前がそれなのだ。こんなに期待値が低いコース名はなかなかない。しかも、ロング料金を取られて結局3,500円くらいになった。

しかし、その後は普通の美容室と同じく、カラーの相談をして、カラーをしてもらい、あとは染まるのを待つのみだった。

iPhoneの充電が少なく、帰りにSuicaを使うために充電を温存しておく必要があった私は、ただ真っ直ぐ前を向いて鏡に映る自分の顔を見つめるしかなかった。コロナ対策で雑誌を見ることもできず、ただ待ちぼうけをしていた。

流石に自分の顔を見続けるのも限界があり、そこらへんのPOPをチラチラ見ていた。それで気づいたのだが、どうやらこのお店ではカットはなく、カラーのみを行うため、回転効率が良いらしい。なるほど、確かにハサミのシャッシャッシャという音はどこからも聞こえてこない。

しかし、すぐにPOPも読み終わり、また鏡の中の私と見つめあった。しかし、どうも違和感がある。未だかつでこんなに手持ち無沙汰に美容院で待っていたことがあるだろうか?

そうだ、あれがない。ドリンクがないのだ。今まで様々なリーズナブル美容院に行ったことがあるが、プ●ージュみたいな全国床屋チェーン(美容院と謳っているが、私は床屋だと思っている)を除いて、カラーの待ち時間にはドリンクがあった。

人生で行ったことのある美容院で最も高かった美容院では、チーズケーキと、陶器のカップに入った抹茶ラテが出てきた。しかし、カフェに来たわけではないから、そこまでは不要であったし、そこにお金をかけてほしくないとも思う。でも、紙コップにペットボトル飲料を注いだだけでも良いから、何かドリンクが欲しい。

そんなことを考えているうちに、待ちぼうけにも終わりがあるようで、カラーを洗い流し、トリートメントの段階になった。これはこの美容院が悪いのではなく、施術した人が悪いのだが、マッサージが痛すぎてむしろ拷問だった。痛いと言えない自分が悪いのだが、「気持ちですか?」と聞かれると、反射的に「はい」と言ってしまう。

さあ、シャンプーも終わり、トリートメントも終わり、いよいよ最後のステップである”ドライヤー”に差し掛かると、美容師が私に言う。

「ドライヤー自分でやってください」

美容院でドライヤーを自分でやることも私は初めての経験である。確かに、先述のように”セルフブロー”と書かれてあったが、このような意味だったのかと初めて理解した。

やれと言われたらしょうがないので自分で乾かす。ドライヤーの威力が弱くてなかかな乾かない。乾かした後、ボサボサの髪の毛をくしで自分で乾かすのだが、”消毒済み”のラベルが貼られたトースターみたいなところから自分でくしを取り出す。完全にセルフだった。コテも用意されていたが、もう面倒臭くてそのままで終わった。

鏡に映る私は、家でお風呂から上がった普段の私と同じだった。

その後、ロッカーから自分で荷物を取り、誰にも何も言われずに帰った。前払い制度は、このように帰りの名刺渡しや荷物渡しを省略するための、美容院側の都合の制度だったのだろう。


この美容院では非常に安い値段で”染める”という目的を達成することができた。でも、それで得られた満足は僅かである。

2,970円であろうと、ランチの値段より高いお金である。せっかく高いお金を出すなら、日常生活では得られないような空間を求めていたのだなぁと思い知らされた。

もちろん、髪の毛を切ったりカラーされたらそれだけでいい。安いならサービスなんていらないという人もいるだろう。

私が思うに、そのような場所は美容院ではなく理髪店とか床屋という場所になるのではないか、と思う。”美”容院である以上、そこで施術を受けた人が、受ける前より美しい!と思えるような場所であって欲しい。清潔感が増したとか、サッパリした、などに止まらず。(偏った考えであると思うが)

(あくまでも私が)美容院で求めていたのは、安くはないお金を払った以上、ただカットやカラーをされるだけではなく、最後に髪の毛を綺麗に巻いてもらったりして、普段の自分より”美しく”なること。ぼーと待ちながらドリンクを飲むゆったりとした時間。

これを得られないのであれば、例え2,970円であろうと私はもう行かない。

2,970円払うのだから、腹を括ってもう2,3千円くらい課金して、普段とは違う世界を体験できる美容院に行く。と、心に決めた今日であった。

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