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母のごはん

一人暮らしを始めて、実家に帰るたびに思う。
母のごはんがおいしい。

今までは当たり前のように毎日食べていた母のごはん。特に感想を言うこともなく、なにも考えずに食べていた。普通においしい、くらいに思っていた。
これが当たり前だったなんて、幸せすぎる。

今では時々しか食べることのできない母のごはん。もうそれはそれは。特別においしい。気合いを入れることなくあるものだけで作った料理も、ほっとする味で大好き。外で食べるごはんや買ってくるお惣菜も好きだけれど、母のごはんは特別だ。

一人暮らしを始めて、母のごはんの特別さに気づいた。だから、帰省するといっぱい食べてしまう。1年生の夏休みは長い間、実家にいた。そのときは大学生になって減っていた体重が、高校生のとき(今より7~8kgほど太っていた)に迫る勢いで増えていた。

母にレシピや味付けを聞いて、自分で作ってみることもある。でも、再現できたことはない。絶対に違うのだ。母の味と同じにすることはできない。母の味に勝つこともできない。
同じ味付けにしているはずなのに、なんでだろう。

特別だから、だろうな。


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