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わたしの七夕。



笹の葉  さらさら。



その手から、器用に出来上がる舟を見て、真似して編んだ。かっこいい笹舟と、歪な笹舟。



橋から  ひらひら。



そっと放って浮かべたあの川。どこに繋がっているのかなんて、これっぽっちも知らなかった。



川を下っていくふたつの笹舟を、一緒に追いかけた。連れて行ってくれたところはたくさんあるのに、想い出すのはこんな、取るに足らないことばかり。



あの笹舟は、どうなったんだっけ。










笹舟を浮かべ、追いかけ走ったわたしたちは、随分遠くまで来てしまって、あなたはいなくなって、わたしは今を、生かされている。












どこへ行ってしまったんだろう。



織姫と彦星のように、年に一度だけ伝える言葉を、
用意していた七夕。毎年伝えていた『おめでとう』は、この声に乗ることはもう、ない。










笹の葉  さらさら。



上手に編めたら、届けてくれますか。その舟に、言葉を乗せていってよ。



あなたにもらった命は、大事に使うと。



毎年七夕に、考えることがある。亡くなった日を、どうして『命の日』と、書くのかなって。『命の日』だなんて書くくせに、あなたを想い出すのは、あなたの命日ではなく、誕生日。



そうそう。
あなたの織姫にこの前会いに行ってきましたが、あなたの織姫は、元氣でした。














笹の葉  さらさら。



作れないよ、上手く。編めない、だから。



いつか七夕に天の川が見えるときが来たら、戻ってきて、つくってほしい。教えてよ。こどもの頃より器用なはずだから。



またふたつ、笹舟を浮かべて。話したかったあれこれを、笹舟を追いかけて、歩きながら聞いてほしい。



笹舟が、見えなくなるまで。







flag *** hana



今日もありがとうございます♡



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