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幻の複合施設計画

昨年から練り上げてきた事業計画を断念することになりました。

北杜市内のある物件を取得してリノベして、北杜市を訪れる登山者の拠点となる施設を作る予定でしたが、売主さんとの交渉が決裂する形で断念することにしました。

今回は一連の出来事を、有料記事を交えて書ける範囲で書きたいと思います。

個人的にも、そして北杜市の将来としてもとても残念な結果に終わってしまいましたが、銀行の担当者と計画を練り上げ、建築会社さんなどとも話し合いながら進めてきたプロセスは生きた学びでした。
これからもこれにめげずに、もっと楽しい事業計画を考えていきたいと思います。

幻となった事業計画書

○北杜市は「山とともに生きるまち」である

私が代表の株式会社ファーストアッセントには、「山とともに生きる」というコンセプトがあります。これは我々が事業を展開する山梨県北杜市や長野県伊那市といった山を背負った町が、山の価値を見直して利活用と保全を進めることで、「山が良くなればまちも良くなる」ことを目指しています。
また弊社スタッフにも「山とともに生きるまち」の恵みを享受して、山にも思いっきり親しんでもらいたいと思っています。

北杜市は首都圏からおよそ2時間で来ることができます。
日帰りでも訪れる人が多く、ちょっとしたお出かけにちょうどいい距離感が魅力だと感じています。甲斐駒ヶ岳や瑞牆山、日向山などの人気の山もあり、夏は尾白川渓谷や石空川渓谷など、とても魅力的な自然資源があります。

しかしこういった登山や自然を楽しむという目線での受け入れ体制は、はっきり言って「残念」の一言に尽きます。

首都圏などからJR利用の玄関口である小淵沢駅に着いても、サントリーの工場やリゾナーレなどの商業施設に向かうバスなどはありますが、登山口直結のバスなどはなく、ひどいときにはタクシー待ちに1時間とかかかります。
そんなミスマッチを解消するべくマウンテンタクシーの運行を始めましたが、週末はそれでも全く間に合っていないのが現状です。

にも関わらずせっかくある市民バスはせっせと空気を乗せて走っているし、デマンドバスは平日の市民利用のみ。これからドライバーさんがどんどん少なくなっていく中で、市内交通が近いうちに麻痺することが目に見えています。

もう一年以上前からこのことは市役所にも市議会議員にも話をしていますが、一向に話が進む気配がありません。
たぶん実際に麻痺してようやく考え始めるのでしょう。

また登山口にも駐車場とトイレぐらいしかなく、山岳資源を活かそうという姿勢や気概は全く感じられません。
例えば登山口に、常時人がいるビジターセンターを兼ねるような施設があれば、付加価値として機能するでしょう。しかし残念ながら建物がある場所はあっても機能せず。唯一登山者のために毎日頑張ってくれていた尾白川渓谷売店のおばちゃんも亡くなってしまいました。

そんな状況に一石を投じたく、甲斐駒ヶ岳七丈小屋の指定管理者となって山小屋の運営を始め、北杜市とTHE NORTH FACEとの包括連携協定を結び、利活用(マウンテンタクシーや子供向け登山教室を始めとした様々な取り組み)と保全(北杜山守隊の設立)を進めてきました。
市役所観光課の雰囲気はこの7年間で大きく変わり、山を資源としてしっかり活かしていこうという機運を感じられるようになりました。

上記のようなサイトができたのもその証拠だと言えます。

○受け入れ体制をもっと強固にする必要性

ここからは計画の具体的な話となるため有料にします。

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