見出し画像

不要なスマホケースを新たなプロダクトに生まれ変わらせたい―。新卒3年目のデザイナーがリサイクルにチャレンジし続けるワケ

iFaceをはじめ、さまざまなスマホケースを日々生み出しているHamee。一方で生産過程で発生する不良品や、お客様の手元でご使用いただき役目を終えたものなど、廃棄されるスマホケースも少なくありません。

こうした廃棄される自社商品を有効活用するために、Hameeでは水面下でさまざまなリサイクル施策を検討しています。

今回はその最前線に立ち、「不要なスマホケースを新たな形に生まれ変わらせたい」という強い思いでリサイクルにチャレンジし続けている商品開発部デザイナー・塩塚みのりさんにインタビューしました。


純度100%。iFaceをリサイクルしてつくった名刺ケース

―最初に自己紹介をお願いします。
塩塚:2021年にデザイナーとして商品開発部に入社した塩塚です。
物心がついた時から“モノつくり”が大好きで、デザイナーになることが将来の夢だったので、それを叶えるためにHameeに入社しました。

この辺りは入社エントリー記事でも書かせていただいた内容なので、もしご興味があれば覗いてみてください(笑)

業務内容としては、自社商品開発とiFace初の実店舗「iFace Lab」(2023年8月4日オープン予定)のデザイン業務、女性向けモバイルアクセサリーブランド「salisty(サリスティ)」などの自社商品開発、そしてiFaceなどのリサイクル施策を担当しています。

―リサイクル施策を担当するようになったきっかけを教えてください。
塩塚:現状Hameeとして自社商品をリサイクル・循環できていないという課題があり、そこへのアプローチを目的としたプロジェクトが立ち上がりました。結構新しいことに挑戦したい気持ちは強い方なので、手を上げてジョインさせてもらうことになりました。

あとは商品開発をしている身として、いらなくなったものから新しいもの生み出すって面白そうだな、やってみたいなっていう気持ちもありました。

ー具体的にはどんなことをやっているんですか?
塩塚不要になったiFaceのスマホケースを活用して新しいものを生み出し、ちゃんと形にする。最初の一歩として、まずは社内で活用できるプロダクトをつくろうという方針で2022年5月頃から動いていました。

体制変更などもあり、途中からはほぼ一人で進めていたのでだいぶ時間がかかってしまったのですが、今年4月にようやくプロダクトが出来上がりました。それがこちらです!

▲First classをリサイクルしてつくった名刺ケース。種類はベージュとブラックの二種。

何をつくろうか、プロジェクト内で相談する中で「外部の方と名刺交換する時、iFaceでリサイクルしたものが手元にあるとその場でPRにもなるからいいね」という方向性になり、名刺ケースをつくりました。

ロングセラー商品である「iFace First class(以下、First class)」から作っています。社内向けプロダクトとして、現在一部の方に使っていただいています。

―すごい!ちゃんとiFaceのデザインになっていますね!
塩塚:そうなんです!せっかくなので、iFaceの元々のデザインを活かした見た目にしたいと思って。

サイズは違いますが、First classと同じくびれのある形です。カメラホールのデザインを入れたり、実際にリングストラップなども付けられるようになっています。

名刺を出す所作もかっこいい方がいいなと考えてスライド式にしました。ケースの内側にはHameeのPassion(パッション)である「クリエイティブ魂に火をつける」の文字も入れました。開けたときにこの文字が見えたら素敵だなと思ったんです。

▲ケースの底には「クリエイティブ魂に火をつける」の文字

ーどうやって作るんですか?工程を教えてください。
塩塚:まずは、First classを色別に仕分けします。First classはフチがTPU、背面がポリカーボネートという二つの異なるプラスチック素材で作られていて、TPUの色で「ベージュ」と「ブラック」の二種類に分けます。

▲TPUの色でブラック(写真左)と、ベージュに仕分ける

背面のカラーは白いポリカーボネートの表面に色を塗ってカラーリングをしているので、実は何色でも完成品の色味にはほとんど影響がないんです。なので、仕分け時にはTPUの色のみで選別します。仕分けたら粉砕機で粉砕して、数ミリ程度の粗いチップ状にします。

▲粉砕してチップ状になったFirst class

その後、機械に投入してドロドロの状態にしたものを金型に射出すると、数秒で形ができます。樹脂が冷えたら機械から完成品を取り出します。

プラモデルのパーツみたいに枠にくっついている状態なので、ニッパーを使いながら一個一個手作業でパーツを切って組み立てれば完成です。

▲完成したパーツ

ー材料はFirst classのみですか?他のプラスチック素材を混ぜたりとか。
塩塚純度100%、First classのみでできています!だいたいスマホケース2~3個から名刺ケースが1つできます。以前実証実験として取り組んでいた「エコタマプロジェクト」で皆さんから回収させていただいたケース、社内で不要になったケースなどをかき集めて使用しました。

材料はFirst classのみですが、いろいろな色合いを試したくて、味付けとして顔料を混ぜるテストもやりました。

▲顔料を混ぜると微妙に異なった色合いに

ー塩塚さんのお気に入りはどれですか?
塩塚:個人的にはシンプルにベージュが好きです。陶器みたいで可愛いので。カラー顔料などを入れなくてもいい味が出ているなと思います。

リサイクルしたiFaceの新たな姿を伝えたい


―塩塚さんはそもそも商品開発がメイン業務だと思うんですが、二足のわらじでなかなか大変だったんじゃないですか?

塩塚:マストでやらなきゃいけないこともたくさんあるので、時間調整が難しかったです(笑)。ただリサイクル施策については、毎日ちょっとでも進歩があるように心掛けていました。少しの隙間、考える時間があったら進めるという感じで。

他の人から見たらぬるいって思われるかもしれないですけど(笑)、少しずつでもなにかしら毎日進歩するぞ!という気持ちで進めてきました!

ー素敵!まさにクリエイティブ魂に火がついていますね!
塩塚:見た目のわりに意外と中身は熱いねって、同期からも言われたりします(笑)

ーそこまでリサイクル施策に熱くなれる理由、モチベーションはどんなところにあるのでしょうか?
塩塚一生懸命モノを作れば、きっと誰かが喜んでくれる。そうすることでシンプルに会社の期待に応えたいという思いがあります。

Hameeは社歴や年齢に関係なく、やりたいという気持ちがあれば挑戦させてくれる会社なので、自分のスキルや持っているものを最大限生かしてクリエイティブ魂を常に燃やしながら何事もチャレンジしていきたいです。そういったマインドがモチベーションになっているかなと思います。

もう一点、以前取り組んでいた「エコタマプロジェクト」で大切なスマホケースを私たちに送ってくださった方々にも、現在iFaceを使ってくださっている方に対しても、「iFaceのスマホケースをリサイクルして、新しい価値のある商品ができました」ってちゃんと言えるようにしたいとずっと思っています。

本当はスマホケースからスマホケースにリサイクルしたいんですけど、なかなか難しくまだテストが必要なので、社内向けではありますが、まずはこうして別商品に生まれ変わりましたとお伝えしたいです。

ーいち利用者としても、愛用していたものが新しいプロダクトに生まれ変わり、どこかで活用されているのはきっと嬉しいだろうなと思います。
塩塚:そう思っていたただけたら嬉しいですね。
なので、今回は他の素材を使わずに、iFaceだけで作るということをすごく意識していました。iFaceからこのプロダクトができましたと分かりやすくお伝えしたかったので。

個人的な意見なんですが、リサイクルしたものでつくられた商品ですと言われても実態はなかなか見えづらい気がするんです。どれくらいの割合でリサイクル素材が入っているのか。もしかしたら数%だけ入れて、あとは新しい材料で作っているのかもしれないですし。そういった意味でもやっぱり純度100%を意識しました。

―通常の商品開発と異なり、慣れない部分もたくさんあったと思いますが、いかがでした?
塩塚:射出成形の金型の設計にだいぶてこずりました。もうちょっとこの部分を薄く・短くとか、色々な方にアドバイスをいただきながら、なんとか作り上げた感じです。金型づくりに関する知識が全くない素人だったので。最初の試作品なんて今の2倍くらいの厚さでした(笑)

グラデーションカラーのケースが可愛いモーテルキーに


―他に取り組んでいるリサイクル施策があれば、教えてください。

塩塚iFace Look in Clear Lolly(以下、Lolly)」というスマホケースについて、工場から出る不良品を活用してリサイクルテストを実施しています。

▲グラデーションカラーが印象的なiFace Look in Clear Lolly

LollyはFirst classと違い素材の観点から溶かすことができないので、いろいろ試しながら、ケースを打ち抜いて他の形として活用するのがいいのではと考えました。ケースそのもののグラデーションもキレイですし。

モーテルキー型に打ち抜いてそれをキーホルダーにしたらキレイかなと思い、社内のメンバーに見せたら、みんなの反応も良くて。型抜き機を自分で作って、思考錯誤しながら何回か作ってみました。

▲Lollyを型抜きしてつくったモーテルキー

会社の全社出社日(※年4回、Hameeでは全社出社の日を設けています。)には、20個くらい手作りして、それをガチャガチャにして社内に設置してみました。

ガチャガチャってちょっと目に止まるじゃないですか。皆さんのご意見をいただきたいのもありますし、Lollyからこういうものができましたということもお知らせしたくてチャレンジしてみました。

▲全社出社日に社内に設置したモーテルキーのガチャガチャ

ー社内の反応はいかがでしたか?
塩塚:「可愛い」「おしゃれ」とか、嬉しい感想をたくさんいただきました。あと、遊びでレアものとしてインナーシートを重ねたものを混ぜたりしていたので、「この色欲しかったから嬉しい」とか、何が出るかわからないワクワク感を楽しんでくださった方もいたみたいで良かったです。

―今後の展望を教えてください。
塩塚:会社にとっては小さなことだと思うんですが、一つプロダクトが作れたことは自分的にすごい大きな進歩です。

いずれはお客さまのスマホケースを回収してそれを商品にするっていうサイクルが回せたらいいなと思うんですが、まだ販売できるレベルのプロダクトができていないので、まずは皆様に販売できるものを作れるよう頑張っていきたいです!

近々では来月オープンするiFace初の実店舗「iFace Lab」で、リサイクル施策をいろいろな形で絡めていきたいなと思っています。あと、名刺ケース以外の試作品もどんどん作っていきたいです。

おわりに

昨今、SDGs、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)といった枠組みの中で、リサイクルなどの持続可能な取り組みをやっていこうという動きは世界的に加速していますが、いざ形にしようとするととても難しいですよね。

コスト、品質の担保、原料となるものをどう回収するか、それをどうリサイクルしてどうアウトプットしていくか、なかなか一筋縄にはいきません。

長い目でみると重要だということは分かっていながらも、売り上げや事業成長を追い求めながら、同時並行で続けていくのは容易なことではないと思います。

そういった中で、この問題を自分ゴトとして捉え、日々の業務と同様に情熱を傾き続け、一つのプロダクトを作り上げた塩塚さん。その姿にメラメラと燃え滾るクリエイティブ魂を感じました。

いつかHamee発のリサイクルプロダクトが皆様のお手元に届く日もそう遠くないかもしれません。その時までお楽しみに!

採用募集中!
Hameeでは一緒に働いてくれる仲間を募集しています!ご興味のある方、ぜひ下記ページからご覧ください!

◆記事を書いた人

執筆者PROFILE:高倉 裕直(たかくら・ひろなお)
広報・会社イベント担当。 静岡の片田舎でのんびり暮らし。ペットのコザクラインコと音楽が大好き。娘1歳5カ月。来る日も来る日も「パパ」と呼んでくれる時を待っているが一向に気配なし。


この記事が参加している募集

オープン社内報