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非エンジニアの営業サポートチームが独学でGASを学び、受注出荷業務を7割自動化した話

近所のお店に並ぶ「iFace(アイフェイス)」などのHamee商品。全国の様々なお店に商品を納めるためには、受注~納品までの処理を速やかに、かつ正確に行う必要があります。でもこの処理、思った以上に煩雑な作業であふれていて……。

そんな複雑な処理を、自分たちの手でラクに変えられたら―。
処理にかかっていた時間を、自分たちのやりたい業務に費やせたら―。

これから紹介するのは、Hameeの卸販売部門で受注出荷処理を担当する私たちが、試行錯誤しながら自分たちの手で業務の自動化を実現したエピソードです。

PCやExcelが苦手でも、GASやRPAは使いこなせる!
これまでなんとなく続けていた複雑な作業も、実は簡略化できる!

そんな私たちの経験が、今同じような状況で困っている方たちのヒントになれば嬉しいです。

課題だらけの受注出荷業務

私たちはHameeコーポレートセールス部で商品の受注出荷業務を担当するサポートチームのメンバーです。各卸先の営業担当者が取ってきた注文を速やかに出荷に回すため、伝票処理や委託倉庫への指示業務を担っています

チーム人数は現在4名。興味があることには部署も越えて挑戦していくほどのバイタリティーあふれるメンバーが揃っています。いろいろな情報や経験、アイデアをシェアし合いながら、いつも前向きなマインドで、より良い業務環境づくりを目指しています。

チームメンバーとのMTG風景

そんな私たちでも、全国に何百件もある取引先からの発注を一つひとつ処理していくのは、なかなか骨の折れる仕事です。

例えば、各卸先からいただいた発注内容を伝票に起こす時。FAXだったりExcelだったり、それぞれ発注書のフォーマットは異なるし、中には商品名と数量しか書かれていないものもあり、一つずつJANコードを調べては卸値を計算して、自社の在庫管理システムに手入力する必要があります。

EDIで受注出荷処理ができる卸先もありますが、それをシステムと連携させるためにCSVファイルを複数回加工する必要があります。

さらに先方指定のフォーマットに合わせて納品書を作成したり、商品の納期を一つずつ調べてFAXやメールで返信したり……と、なかなか大変。そんな形で一日当たり平均700〜800件の受注に対応していました。

※写真はイメージです

また、各メンバーのPCやExcelの知識が乏しかったこともあり、業務で使うツールを作ることやそのツールを修正できるメンバーが限られていた状況もありました。

午前中は発注処理で手一杯、やっと業務が落ち着いたと思ったら定時をとっくに過ぎていた……なーんてことは日常茶飯事。とにかく各メンバーのガッツと一部メンバーの知識に頼って、なんとか仕事を回していました。

膨大で煩雑な作業は業務の質にも影響します。

手作業にはヒューマンエラーがつきもので、発注情報や納品書の入力ミスにより「届いた商品が違う」「数量が違う」「金額が違う」という問い合わせも多々ありました。

ミスが発覚するたびに対応に追われてまた業務が増えるし、次のミスを恐れて気持ちも委縮してしまうという悪循環。目の回るような受注処理の毎日を、当たり前のように過ごしていました。

GASを覚えて業務自動化へ

そんな時、チームに新メンバーがジョイン。前任の部署で様々な経験と実績を積んできた彼は、従来の業務習得に励む一方で、自身の知識とスキルをチームに惜しみなく還元してくれました。

彼が教えてくれたのが、Google Apps Script(GAS)という簡易的なプログラミング言語。スプレッドシートやGmailなどのGoogleアプリケーションにおいて、複雑な作業を自動化することができる機能です。

彼の手によって、EDIや自社システムからダウンロードしてきたデータの加工処理が、あっという間に自動化されました。それまで、受注出荷処理のためにデータをコピペしながら行っていた作業が、スプレッドシートにアップロード&ダウンロードするだけの作業に激変。

ctrl+Cとctrl+Vのショートカットキーを繰り返し押す煩わしさや、コピペ範囲の間違いからも解放され、「こんなツールを私も作ってみたい!」と憧れるようになったのです。

プログラミングとは縁遠い業務をしてきた私たちですが、自主的に勉強会を開いたり、書かれているコードを真似してみたり、よくわからないコードはググって調べたりと、見よう見まねでGASに挑戦。

苦戦する場面もありましたが、「このコードをコピペして、ここのURLをこのスプレッドシートのものに変える」といった感じでコツを掴むと、自分たちの手で次々と自動化ツールを作れるようになりました。

得意ではなかったスプレッドシートの関数の習得にも励み、他の人が組んだものやネットで解説されているものを参考にしながら、少しずつ知識の幅も広げていきました。

……とは言え、当時はメンバーの中でもスキルの差があり、ツール作りが得意な人もいればまだまだな人も。

そんな状況の中、チームにGASを広めてくれたメンバーの異動が決まり、「何かあった時のために、自分たちのツールは自分たちでメンテナンスできるようにならないと」と、チーム全体に危機感が芽生えました。

スキルアップのため「ここまでできるようになる!」と各自目標を掲げ、業務の合間を縫っては自己学習に努める日々。進捗確認の打ち合わせを週次でセッティングし、わからないところはメンバー同士で学び合ったり、つまづいている時は励まし合ったりして挑戦を続けました。

こうした取り組みを通じて、GASの複雑な仕組みも理解できるようになったり、自分の手で自動化ツールを作れるようになっていったのです。

業務への責任感や得意なメンバーに頼ってばかりの状況を変えたいという”チームを想う気持ち”から始まった取り組みでしたが、仲間たちと切磋琢磨して学ぶ楽しさや、スキルアップによってできることが増える喜びが、GAS習得に対するモチベーションをより高めてくれました。

リモートワークが業務改善を後押し

業務の自動化が進み始めていた頃、私たちの働き方が変わる社会的な出来事がありました。それは、新型コロナウィルス感染拡大によって会社から出されたリモートワークの指示です。

私たちのチームもリモートワークへの切り替えに対応していかなければならず、全ての業務に対して徹底的な見直しを行いました。

FAXでの発注書の送付について、メールに切り替えられないか卸先に打診したり、押印などの社内の書類管理方法についても、代替案はないか関係各所に問合せを行ったり、書類への書き込み作業に対して、PDF編集ソフトを導入できないか確認したり。

こうして進んだペーパーレス化は、GASや後述するRPAとの連携にもつながり、私たちの業務の自動化を推進する追い風にもなっていきました。

当たり前と思ってずっと踏襲してきた煩雑な作業も、状況に応じて見直しを行い、自分たちでアクションを起こすことで改善していけると気付けた経験です。

RPA挑戦で自動化が加速

GASやペーパーレス化で業務改善を実現した私たちは、さらなる改善を目指してRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入による自動化にも挑戦し始めました。

RPAとは、パソコン上で行っている業務をソフトウェアに組み込まれたロボットに代行させるテクノロジー。自分たちがこれまで手動で行ってきた作業を整理し、手順通りにロボットに学習させることで、EDIやメールからのファイルダウンロードの処理といった単純作業を、ボタンひと押しで完了できるようになりました。

最初の頃は、自分の手が動いていない分、ちゃんとできているか心配な瞬間もありましたが、実際は手動でやった時の方がつまらないミスをしていたり。ほかにも、RPAが処理をしている間に自分たちは別の作業を進められることで、業務全体を効率的に遂行できるようになりました。

その魅力を体感した私たちは、チームにおける一人でのRPA運用体制を見直し、もう一人動かせるメンバーを育成することに。先輩メンバーからのレクチャーを通じて仕組みを理解しながら、業務自動化の加速と運用体制の強化を実現していきました。

単純作業はRPAに任せ、それぞれのメンバーは人の手が入らなければならない業務に取り組んでいくことで、自分たちの業務をブラッシュアップしていったのです。

自分たちの力で挑戦したからこそ

こうして進めた業務改善の取り組みですが、今では業務の約7割がGASのツールやRPAによって自動化されています。

業務内容を一番理解している自分たちで構築したからこそ、自動化が毎日の業務サイクルの中にしっかりと定着し、何かエラーが発生しても、ツールの構成を理解しているから自分たちで改修することもできます。この”自分たちのスキルで運用できている”という点が、私たちの自動化の一番の強みだと思います。

GASやRPAに挑戦したことで、自分だけでなくチームメンバーや業務に関わる人たちを喜ばせることができました。煩雑な作業に追われているだけの日々では得ることのできなかった経験です。

もちろん習得の裏には各メンバーの努力もありますが、自分たちのスキルで誰かの役に立てた経験が自信にもつながり、チームの前向きな姿勢や積極的なアクションをより高めていくきっかけにもなりました。

そして、自動化によって生み出せたゆとりは、私たちがチームや部署、そして事業部をより発展させていくための挑戦の時間となっています。例えば、社内向けにGASの解説動画を公開してみたり、自分たちの知識や経験をより多くの社員に共有する取り組みも始めています

社内のSlackチャンネルでGAS解説動画を共有


ほかにも、GASやRPAに挑戦する人のサポートを行ったり、ほかの分野の業務に挑戦したりと、一人ひとりの強みや可能性を活かしながら活躍の幅を広げています。

私たちがそうであったように、PCや関数の知識がほぼなくても業務自動化は実現できます!
日々のルーティン業務で困っている方は、ぜひ勇気をもって一歩踏み出してみてください。きっと自動化の先には、想像以上にポジティブな世界、可能性が待っています!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

◆記事を書いた人たち

執筆者PROFILE:Hameeコーポレートセールス部サポートチーム
対卸先に向けた受注出荷業務を担う。現在はまりか・ゆき・かおる・りさの4人で活動中。今回のnote執筆には、8月に卒業したけいこも参加。
抜群のチームワークと溢れるバイタリティで日々仕事に取り組み、期の終わりは美味しいお酒と食事で〆るのが決まり。


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