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🦆カモクシーで行こう

ハムちゃん先生は京都の街を移動する機会が増えたので、交通手段を考えていた。
人間と同じように京都市バスや地下鉄に乗ってもよいのだが、迷子のハムスターと間違われて捕獲される恐れがある。
なるべく人間に目をつけられないように移動したい。さて、どうしたものか。考えてみた。


1.ルンバを改良して乗ってみた

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ルンバに乗って移動すれば、京都の街がお掃除されてピカピカ。一石二鳥だと思っていた。
しかし哲学の道を走っていたときのことだ。
現実はそう上手くいかぬもので、木の枝や土を吸いこんでしまってすぐに機械がダメになった。

2.近未来型魔法の絨毯を開発

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運良く上昇気流に乗ったおかげで
予想を上回る高さまで上昇した。
夜に乗れば京都の夜景を一望できる。
気分は最高だった。

しかし操縦が難しく、訓練が必要なようである。鴨川の上空で飛行訓練していたとき、うっかり🦅トンビの縄張りに入ってしまい目をつけられてしまった。捕食される関係。これはマズイ。すぐにボツになった。

3.自動運転カボチャの馬車を開発

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これはなかなか良かった。
空調も効くし、防音性にも優れている。
しかし、おとぎ話と同じ設定にしたのがミスであった。夜の12時を過ぎれば、ただのカボチャに戻るようプログラミングしてしまったのだ🎃

それから、見た目が少々ロマンチックなのだ。
北大路通りを走っていた時、後ろからあやしい車につけられた。メディアに取り上げられたりすれば厄介だ。元スパイのハムちゃん先生は目立つのが好きではない。これもボツになった。

4.カモクシー(KAMOXI)

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ハムちゃん先生は自分で開発した乗り物にどれもピンとこない。

そこで、これまでに体験した乗り物の中で、いちばん乗り心地の良かったものを思い出してみた。


あれだ、あのフワフワとしたクッション!
最上級のぬくもりと揺れの少ない安定感。
水の上も空の上もいける最高の乗り物。

カモのことだった。

ハムちゃん先生は一度だけ鴨川のカモの上に乗せてもらったことがある。


あの時の心地よさを忘れることはなかった。


京都にはカモがたくさんいる。
四条通りで見かけるタクシーの数と同じかそれ以上だ。

 
カモのタクシーなんていいんじゃないか。
その名もカモクシー!KAMOXI!

思い立ったがキッチーだ。
すぐに四条大橋の下に行ってカモに交渉した。
カモたちは快く承諾してくれ、カモクシー乗り場の看板設置にも協力してくれた。


カモは草食動物。
ハムスターの天敵ではない。穏やかな関係を築ける気がするとハムちゃん先生は思った。


ハム: 百万遍の近くまでお願いします。

カモ: はいよ、ハムちゃん先生。
鴨川の水上コースでええんか?
お急ぎなら飛行コースもあるで。
追加料金かかるけどな。

ハム: そりゃあ、ありがたいですなあ。
今日は急ぎの仕事が残っているので
飛行コースでお願いします。


カモは勢いよく羽をバタつかせ、垂直に飛び上がった。それから時速70kmにまでスピードを上げた。

地上でトテトテと歩くカモの姿からは想像もつかないその速さにハムちゃん先生は驚いた。

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Have a nice flight, Ham&Duck!


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