プロジェクト型学習の事例#2 飛行物体を作る。デザイン思考プロセス。
アメリカ合衆国のチャータースクールHigh Tech Highのwebサイトに掲載されている実践事例を整理するnoteです。
A Fight With Gravity(重力との戦い)
物理学,数学,芸術
高校 (9-12)
内容
生徒は、凧、気球、その他の自作の飛行物体を使用して、物理実験を行い、記録する。
クラフトマンシップを育成する。実験・観察を通して理解した、地球の引力について文書化・言語化する。
①最初の 4 週間 - 凧
2 人チームで、凧とノートを受け取る。
ミッションは、凧を飛ばす方法を文書化する。(日誌を作る)
キャンパス近くの畑に行き、凧を揚げる。
走る、手綱の調整、風を見つける等の要素を発見し、整理する。
日誌をもとに、学んだことを説明するポスターを作成する。(物理の授業)
生徒たちは、凧に工夫を加えてオリジナルの凧を設計・制作する。
この間、物理学の授業で揚力方程式と最大揚力を生成するための最適な角度について学習する。
美術の授業では、裁縫、デザイン、組み立ての方法を学ぶ。
美しいメモを日誌に記録し続ける。
オリジナルの凧を作成し、その作成方法を説明するポスターを作成する。
あるグループは、スターバックスのストローとちりめん紙で高さ 6 フィートの三角形の凧を作った。
オリジナルの凧は何度もテストされ、改良される(デザイン思考)。
各チームは、クラスとコミュニティにプレゼンテーションを行う。
②次の 5 週間 - 気球
最初に、クラス全員でフィエスタ アイランド モデル ロケット発射場に行き、中国の提灯を飛ばした。(導入活動)
気球を飛ばすのに何が必要で、次に何を作るかについて日記に書き続ける。
チームで、美しさ、ユーモア、および揚力のために設計された、さまざまなサイズと形の熱気球を作成する。
気球を作成し、改良し続ける(デザイン思考)。
何が機能し、何が機能しなかったかを日誌に記録する。
最終的なカラフルで刺激的な作品は、展示する。ただし、多くの気球は空に飛んで行ってしまっているので展示されなかった。
③最後の 4 週間 - FLYING OBJECTS
生徒はチームで、物理学や美術の授業で学んだことをもとに、風や熱風を動力とするオリジナルの飛行物体を作る。
飛行物体を説明するポスターを作成する。
条件は、オブジェクトが 100 ヤード飛ぶこと。
学習成果
専門用語を使って、自分の作品に気づいたことや結び付けたことを説明する。
毎週のチェックインに出席し、クラスのディスカッションに参加する。
エキシビジョンでは、生徒は日誌をもとにしたレポート、メモそのもの、途中で作成した各ポスター、作品を展示する。
このプロジェクトは、2021 年の書籍『Changing the Subject: Twenty Years of Projects from High Tech High』に掲載された。
noteライターのコメント
デザイン思考(制作とテストの繰り返し)が興味深い。
制作が大変そうな作品だが、何度も作り直すのがハード。だからこそ大事に1作品1作品を作るのでは。
途中経過もポスターにして、最後の展示に使ったり、日誌自体も作品になったりする。学び全体を振り返り、どのように考えが変容したか、この学習を通じてどのような経験を積んできたかをつかむ。
評価にユーモア、美しさも基準としているのがよい。
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