見出し画像

子どもの頃の夏休みで思い出すおばあちゃんの家

子どもの頃の夏休みで思い浮かんだのは、宮崎のおばあちゃんの家だ。家の前に広がるたんぼ。広い空。家は丘に建っていて、下には小さな畑があった。家の裏には御神木のオガタマノキ。使われていない井戸もあった。

おそらく夏休みのお盆の時期に帰省していた。なすときゅうりで精霊馬(しょうりょううま)を作って、道路で火を焚いたといううっすらした記憶とその情景が残っている。時期的に送り火の時だったのだと思う。

正直、精霊馬のいう言葉は覚えておらず、なすときゅうりで作った馬に乗って、ご先祖様が迷わないように、来る時と帰る時に火を焚くというくらいにしか覚えていない。馬を作ったり、火を焚くのが楽しかった記憶はある。

もう一つ、家の中には鬼の面がある部屋があって、そこには長い槍も飾られていた。居間からひいおばあちゃんがいる部屋やトイレに行く時には、必ず通り抜けないといけず、見ないようにしながら猛ダッシュで走り抜けた。

基本的に電気が消えている部屋で、暗くてどうも不気味というか、見たら動くのではないかとか、想像するとより怖さが増す。昼間に見るぶんには大丈夫だったけど、何か気配を感じたり見えてしまったらと思うと怖くなった。

完全に自分で想像して、すべて作り上げてしまっている世界なのだけど、ゾクゾクする感じであり、何か見えてしまったらという怖い感じは今でも覚えている。真っ暗で面も槍もはっきりとは見えないけど、それが一層怖い。

大きくなって久しぶりに帰省した時、走り抜けていた部屋を見て驚いた。大して大きな部屋ではなく、通り抜けるのは一瞬。だけど当時の僕にとっては、毎回気合を入れて意を決して臨まないといけない難関だった。

この記事が参加している募集

夏の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?