三浦たまの

お酒と怪談と緊縛と海を愛する変態ちゃん。 主に歌舞伎町に棲息。

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  • 小説「蚕殺し」オリジナル まとめ

    ながいです。 サイキックSFホラー?

  • 戯曲「おとぎ鬼草子」(学園篇)まとめ

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蚕殺し

ソナチネの章 1 その知らせは桑畑の広がる里を凍らせた。 ―くるぞ。  人々は声を低くし口々に囁き合い、すさまじい泥流の勢いでその「知らせ」は瞬く間に里じゅうを駆け抜けた。  しかし禍々しい知らせとは対照的に、さんさんと陽の光を浴びて無邪気に光合成する桑の葉はこの季節、いちばん美しかった。 「彼女」は桑の匂いが好きだった。  身の丈を軽く越す、しかしそれほど高くはない種の桑の木々の海の中で佇んでいると、何だかほっとして懐かしい気持ちになる。 すうり、と鼻を通るその匂い

    • 目覚めの眼

      『目覚めの眼』〜解凍されたメモたち ○序  ざっざっ。暗がりに音が響く。 日本髪に空色と濃紺の縞模様の着物を着た女は人形がごとく目はぱっちりと空を見上げ、穴に横たわっていた。自らの身体の上にシャベルで茶色い土がかけられていっても。 「許してくれ。ゆるしてくれよう。お前がね、死んでくれないと金が返せないんだよう」  汚れたカーキ色のフードを被ったマントの男は、目から下は包帯で巻かれ、シャベルを握る手も包帯で巻かれている。旧日本軍兵の一兵卒が着るような色だが、フード付きマント

      • 「子供たちの庭」

        ☆2004年くらいにラジオドラマ用に執筆されたものです。 ◎登場人物 ショーコ(14)カヤの双子の姉。弟とともに母の形見の庭園を守る決意をする。 カヤ  (14)ショーコの双子の弟。成長が遅く、幼い感じ。 工藤(35)ショーコ、カヤの母方の叔父で両親を亡くした2人の後見人。 ●情景はイメージ。 ●ト書きは映像がなくボイスのみなので、原則的にはセリフ内。説明が過剰な場合、変更可です。 (SE)賛美歌のオルガンの音。(「主よ、みもとに近づかん」など)季節は10月中旬くらい。

        • [YOSHIWARA]

          時間も流行も時代さえも混迷したカオスな東京・江戸にて侯。 紋日 「すががき」が聴こえるよ。お前のギターもきっとこんなインストで歌なんかつけないんだろうな。三味(しゃみ)の音がすごいな。この寒いのに季節外れもいいとこの蝉みたいだぜ。 さあ、夜の吉原、大門が開く。 こんな風な世の中になっちまってからは吉原、いや江戸はこと華美になったなあ。 今やさしずめ吉原が渋谷マルキュー扱い。 花魁はファッションリーダーってところだ。頭に生花を載せないのはどうしてか、だって? ははっ。粋じ

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        • 戯曲「おとぎ鬼草子」(学園篇)まとめ
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          あああ消えた

          パソコンに煮込みうどん喰わせてしまってご臨終。ちーん。 データふっとびました。しくしくしく。 サルベージする気力もなく。 さて。あたらしい物語を書きますか。 もちろんサルベージもします。 続編もかきますよ。

          あああ消えた

          おとぎ鬼草子~学園篇~ 3

          ☆鬼が来た (プロジェクターで映し出される鬼の絵) (紙芝居的に絵はかわってゆく。茨木童子と酒呑童子の物語が展開されていく) (舞台上手に茨木童子と酒呑童子) 茨木童子「俺は生まれたときには歯が生えそろっていたという。実の両親には疎まれて捨てられ、育ての親に育てられた」 茨木童子「やがて俺は鬼になった。愛されたい女のエゴと欲望のせいで」 茨木童子「誰からも疎まれ嫌われ彷徨ううちに、酒呑童子様と出会った」 酒呑童子「いばらき……身体がおかしいのだ。頭がぼうとする。苦

          おとぎ鬼草子~学園篇~ 3

          おとぎ鬼草子~学園篇~2

          ☆鬼が来る 楓「あーあ。がんばりすぎたあ! 遅くなっちゃった」 (楓、空を見上げ) 楓「わあ。おっきくて赤いお月さまだ」 (楓、あたりをキョロキョロしてからラクロスのラケットをマイクがわりに) (戸川純の「玉姫様」の一節を熱唱) 楓「赤い月のよるっ! ざしきろーうのおーくでっ! たまひめさーまの! ほっさはつーづーくー」 男の声「ふふふ。物騒な歌だな」 楓「やだっ! 聴かれてた!」 男の声「恐怖に満ちた声もききたいものだな」 楓「誰? どこにいるの!」 (楓、思わずラ

          おとぎ鬼草子~学園篇~2

          ※ネタバレあり!戯曲「おとぎ鬼草子」~学園篇~ 設定など 1

          ☆彡原案 近畿怪談倶楽部 ◎おとぎ鬼草紙~鬼降臨(学園篇) ○登場人物 ☆天草楓(あまくさかえで)14歳 中高一貫教育の女子校、稲森学園中等部に通う中学2年生。 中等部ラクロス部に所属する期待のエース。 天真爛漫な性格で、少年っぽさのある少女。 みんなの人気者だが、ちょっととぼけた一面も。 実は天草四郎の生まれ変わり。 あるきっかけで覚醒し、夜子とともに闘いのなかへ。 ☆滝川夜子(たきがわよるこ) 17歳 稲森学園高等部に通う高校2年生。 高等部ラクロス部に所属する

          ※ネタバレあり!戯曲「おとぎ鬼草子」~学園篇~ 設定など 1

          戯曲「おとぎ鬼草子」~学園篇~

          ☆彡原案 近畿怪談倶楽部 ◎おとぎ鬼草子~学園篇~ ☆プロローグ 薄暗く明転していく。 木枯らしの吹き抜ける音。(季節は変更可能) 少女「やだあ。遅くなっちゃった。」 (身震いし) 少女「やだなあ。赤い月。誰もいないや。早く帰ればよかったなー。あーでも!楽しかった!」 男の声「楽しそうだね? デートでもしてきたのかい?」 少女、振り返り 暗転 少女「きゃああああ!!!」 明転すると舞台上に夜子 背後に巨大などくろの影 夜子「『赤い月の夜、女の子を襲う鬼

          戯曲「おとぎ鬼草子」~学園篇~