超短編小説 『息が白くなったよ』
今日は風も冷たくて、雪が降りそうだ。窓を開けると、確かに白い粒が落ちてきた。積もりそうな勢いのそれは、牡丹雪だ。
空を見上げていると、いつの間にか背後に立っていた彼女が、私の首筋に顔を埋めるようにして囁いた。
「寒いね。」
私はそっと振り返り、彼女の頬を両手で包んだ。そうして額を合わせると、彼女が嬉しそうに微笑みながら言った。
「あったかい。」
私は思わず吹き出した。「君の方がよっぽど体温が高いよ。」彼女は少し不満げな顔をしたが、やがて私と同じように笑い始めた。
ひとしきり笑った後、私たちはどちらからというわけでもなく唇を合わせた。触れ合った場所から熱が伝わり合うような感覚が心地好くて、いつまでもこうしていたいと心の底から思った。
何気ない日々の中で、少しずつ募っていく想いがあることを、彼女に伝えたことはなかったけれど、きっと彼女も同じ気持ちなのだと、そんな気がした。
「ねぇ、息が白くなったよ」
彼女はそう言って、また楽しげに笑う。その笑顔につられて、私もまた笑ってしまうのだ。
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冬を感じる寒い日の朝4時頃、ゴミ出しをしている時にふと吐いた息が白くなっていることに気づいて、ばーっと思いつくままに書きました。
小学生時代以来の小説?作文?だったので拙い部分あったと思いますが、最後まで見て頂きありがとうございます!
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