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コテコテのベタベタで何が悪い?

 とにかく本を読んでさえいれば幸せな日々である。選書の“選球眼”も向上しているようだ。

 読了本の感想は「SNS読書メーター」にせっせとアップしているほか、記録のためにEvernoteにコピペする。こちらでは3年前から5点満点の★印採点も記載しているが、ま、あくまでも読了した瞬間の感覚でなんとなく決めている程度だ。

 ★5は珍しくないが、★★★★★+は直近の約800冊では3冊しか出ていない。

 ディーリア・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」、エルヴェル・テリエ「異常【アノマリー】」、そしてきのう一気に読了した村山由佳「星屑」。

 村山さんは猫エッセイを読んだことはあったが、小説は初めてか。

 「今、あの舞台の上で輝いている星たちのうち、来年も残っているのは何人だろうー」。舞台設定は昭和。芸能プロダクションの女性マネージャーがこのようにつぶやく冒頭からアッという間に小説世界に引きこまれる。

 帯の惹句は「ド・エンタメの『スター誕生物語』」。

 田舎から出てきた純朴な少女と、芸能界のサラブレッドでわがまま放題の少女。それを見守り育てるド根性女性マネージャー。芸能界の厳しさ。いじめ。スキャンダル。温かい手を差し伸べるベテラン。出生の秘密。

 一世を風靡した女性デュオが「ピンキーガールズ」。“新御三家”の南城広樹、野田二郎、神まさみ。レッスンをつける作曲家は高尾良晃・・・こうした“仕掛け”もニクい。

 大映ドラマか、少女漫画か、ハーレクインか。ベタベタのコテコテが震えるほど面白く、1日で読了してしまった。

 途中で何回も涙腺が緩み、スルスルと読み終えてしまうことが本当に辛かった。ここまで振り切った面白さを突きつけられれば、何の文句もございません。「ド・エンタメ」のどこが悪い?

 きっとドラマか映画になるだろう。続編にも期待する。またどこかでミチルと真由の主人公たちに会いたい。
(22/11/14)

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