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美術史第35章『印象主義の発展と象徴主義』
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1880年代頃以降、西洋美術は先述したルノワール、セザンヌ、ピサロ、シスレー、ドガ、マネなどのスケッチ的で新たな要素や技法、構図を導入した「印象派」が広く受け入れられた後の「ポスト印象派」と呼ばれる時代に入るとされている。
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ゴッホの自画像
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ポスト印象派の時代ではオランダ出身で主にフランスで活躍した画家フィンセント・ファン・ゴッホが非常に著名で、現在でも世界史上有数の知名度を誇る人物となっており、世界で最も有名な絵画の一つである「ひまわり」シリーズや「星月夜」などを描いている。
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その他にもゴッホは「ジャガイモを食べる人々」「タンギー爺さん」「夜のカフェ」「夜のカフェテラス」「黄色い家」「ファンゴッホの寝室」「赤い葡萄畑」「アイリス」「糸杉と星の見える道」「オーヴェルの教会」「医者ガシェの肖像」「カラスのいる麦畑」などの有名作品を数多く制作しており、まさに歴史を代表する大芸術家であると言える。
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同時代のフランスで活動しゴッホとルームシェアした事もあるポール・ゴーギャンも「黄色いキリスト」などを制作、ゴーギャンやエミール・ベルナールなどは暗い輪郭線によって分けられた明確なフォルムの「クロワゾニスム」と後に呼ばれる様式を生み出した。
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さらに、この時期には印象派の代表格であるルノワールやセザンヌも新しい様式の模索を開始しており、彼らは後の時代のムンク、ピカソ、ブラックなど20世紀の画家に大きな影響を与えたとされる。
他にも19世紀末期には印象派の影響を受けたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックやジェームズ・マクニール・ホイッスラー、ジョン・シンガー・サージェント、そして特定の流派に属さず20世紀絵画に大きな影響を与えたジェームズ・アンソール、
彼らポスト印象派時代の画家は19世紀から20世紀の絵画への橋渡し的な存在となったといえ、現在、ゴーギャンは世界で最も著名な画家の一人で、ゴッホは画家に限らず世界史上最も著名な人物の一人となっている。
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また、同じ時期にはパリの画家ジョルジュ・スーラにより印象派の筆触分割に光学の理論を取り入れ発展させた点描という点の集合体で絵を描く技法を確立、「グランド・ジャット島の日曜日の午後」「アニエールの水浴」などを描き「新印象派」と呼ばれる様式が誕生し、ポール・シニャックなどの画家が新印象派として知られる。
また、19世紀後期には印象派と並んで、芸術が低俗になっていくのを嫌った芸術家達により内的思考や精神世界、夢の世界などを表現することが追求されるようになった事で誕生した「象徴主義」が大きな流れとなっていた。
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この象徴主義の最初となったとされるのは19世紀中頃のヴィクトリア女王時代のイギリスで起こった「ラファエル前派」という派閥や運動のようなもので、この派閥には中世や当時の文学をモチーフとする場合が多い、伝統的な図像を無視する、初期ルネサンスの時代の美術に影響を受けた明暗の弱い明るい色合い、鮮やかな色彩、細密な描写などの特徴がある。
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このラファエル前派はルネサンス盛期後期の大画家ラファエロ以降始まっマニエリスム様式からの美術は退廃的なものと考え初期ルネサンスを理想としたダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ジョン・エヴァレット・ミレー、ウィリアム・ホルマン・ハントなどにより結成された運動である。
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ラファエル前派の他にもジョン・ウィリアム・ウォーターハウスやスイスのアルノルト・ベックリン、フランスのピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ、ギュスターヴ・モロー、オディロン・ルドンなどが印象主義全盛期の時代に象徴主義の絵画を描いた有名な画家となっていた。
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また、パリではゴーギャンの教えに感銘を受けたピエール・ボナール、モーリス・ドニ、エドゥアール・ヴュイヤールらによって「ナビ派」という抽象絵画の派閥が形成されている。
この象徴主義美術の様式は19世紀も末期になる頃にはヨーロッパ中に拡充、新たな芸術を目指すドイツのユーゲント・シュティールや、フランスのアール・ヌーヴォーなどと共に20世紀の美術へと受け継がれた。
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