【さっき見たヘンなユメ】助けてタヌキさん
どんぶらと小舟に乗っている。
水没した路地裏をどんどん進む。腐ったカエルの臭いが鼻につく。固まりきっていないどろどろのセメントで作られた小舟は、今にもどぶんと沈んでしまいそうで心もとない。
私の他に乗客は、母親(タヌキ)と、若い頃のロージー・ペレス。二人とも船底に立ててある木製テーブルの破片につかまりバランスを取りながら、じっとスマホを見つめて父親からのLINE着信を待っている。
静寂を破って、震度5弱はあろうかという強烈な地震が発生。母親がすぐに救命胴衣を取り出して私たちに手渡してきたが、よく見るとただの葉っぱだった。
前方から、廃船された大型客船がこちらに向かって流されてくるのが見える。このままでは衝突してしまうだろう。父親からの着信もまだ来ない。もう無理だと思った私は、二人を小舟に残して目を覚ました。
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