晴海悠

遊びや企画を考えるのが好きな人。通算8年ほど、ライターとして物語創作に取り組む。 遊び…

晴海悠

遊びや企画を考えるのが好きな人。通算8年ほど、ライターとして物語創作に取り組む。 遊び、福祉、文化活動などに関心があり、文章術や書籍の感想など雑多に書いています。 お力になれることがあれば、いつでも気軽にご連絡ください。 アイコン制作:山中麻未さん(Atelier Mimir)

最近の記事

舞え、ハチクマ。日本の空へ:オランダ発グラフィックノベル・クラファン達成への願い

父親から本屋を受け継ぎ、最後まで経営したいと考える主人公シモン。 ある日、自殺をするため線路に侵入してきた女性を目撃し、忘れようとしていた過去のトラウマが蘇る。中学時代に親友を亡くしたシモンは、その秘密を今日まで抱えて生きてきた。 本屋の存続をめぐる妻との確執。謎の少女との邂逅。少女の正体は、そしてシモンの辿りついた答えとは――。 エメー・デ・ヨング作「ハチクマの帰還」。 オランダ発、日本語ではまだ誰も読んだことがないグラフィックノベルが現在、日本での翻訳出版のためクラウド

    • 「教養は愛する人たちとの間に楔を打ちこむ」 頷きつつ、本当にそうかな?とも思う。知らないことを責めず、知識を噛み砕いて伝え、目の前の相手を知る努力をすれば、人と人を繋ぐ役目もできるんじゃないか。 いつかあの世でダニエル・キイスに会ったら、そんなことないよ!と報告したい。

      • 一編のお話を書くウラで

        読む量が書く量を上回って、しばらく経ちます。 書きたがりの私にはめずらしいことなのですが、いわゆる二次創作(他者の世界観をベースにファン活動として創作するもの)とちがい、オリジナル小説を書くのは思ったよりインプット量がいるのだなーと感じました。 たとえば、今回の小説の舞台、文明滅亡後のポスト・アポカリプス世界観の構築。 工具も電気もない中での文明再建はどうやったらできる? 闇市やスラム街の成立過程ってどんなもの? 気候変動や惑星風ってどういうメカニズムなの? 世界

        • R.I.P. to R.I.P.

          いつからか、SNSで「ご冥福」を祈るのをやめた。 訃報に触れた折に死を悼み、故人の冥福を祈ることは一般的なことで、社会通念上そうするのが好ましいのも理解している。 だとしても。自分の口から言葉を出すたび違和感が強まり、どうしても喉仏が拒絶するようになってしまった。 念のため申し上げるが、私には「ご冥福をお祈り」する方を咎める意図でもなければ、貶める意思もない。本当に心を痛め、安寧を祈っている方が多くいるのを見ているし、言葉にこめる意味は千差万別である以上、語句をあげつら

        舞え、ハチクマ。日本の空へ:オランダ発グラフィックノベル・クラファン達成への願い

        • 「教養は愛する人たちとの間に楔を打ちこむ」 頷きつつ、本当にそうかな?とも思う。知らないことを責めず、知識を噛み砕いて伝え、目の前の相手を知る努力をすれば、人と人を繋ぐ役目もできるんじゃないか。 いつかあの世でダニエル・キイスに会ったら、そんなことないよ!と報告したい。

        • 一編のお話を書くウラで

        • R.I.P. to R.I.P.

          社会をつなぐ、孤独を癒す。それが私のミッションです。

          先日、qbcさん率いる「無名人インタビュー」企画に応募して、お話したことを記事にしていただきました。 インタビュアーのくじらさんが聞き上手だったこともあり、これまで話したことのない黒歴史を、そこそこヘビーな過去も込みでぶちまけてます。こういうの、結構勇気要りますね。 私も無名人、インタビューを受けるのははじめて。 いえ、厳密には実名で少しだけ受けたこともあるんですが、晴海悠名義で、しかもこんな個人的なことを話すのは間違いなく、初です。 今回、カミングアウトに踏み切ったの

          社会をつなぐ、孤独を癒す。それが私のミッションです。

          水底の傷/ブルーイマジンを観て

          水の中に、ひらいたまま血を流す傷口が見えている。 そこに見えているのに、誰もふれない。沈んでしまったものだからと、腫れ物のように避けて通り、傷の手当てをする者は誰もいない。 もどかしく、耐え難い現実に連帯の力で立ち向かう。 映画館で観た「ブルーイマジン」はそんなリアルと地続きの物語だった。 間接的に描かれる静かな絶望本作を通して徹底されるのは、具体的なシーンを描かず、かわりに被害を受けた人の「その後」を描く姿勢だ。 背景には、実際に被害にあわれた方などへの配慮がある。監

          水底の傷/ブルーイマジンを観て

          社会の課題に、ゆるく切り込む

          「からっぽから、はじめればいい。」 そんなタイトルで、noteとは別に新たにブログをはじめました。 名前になにか感じてくださった方もいるとは思いますが、ブログ最初の記事でこっそり重大なカミングアウトをしています。 ブログ運営の目的noteと異なるテイストのブログを立ち上げた理由は、大きく二つあります。 ① WordpressとSEOライティングの勉強をしたかった(実利) ② 自分にしかできない切り口で誰かの役に立ちたかった(こだわり) ライターとしてお仕事を募るなら好ま

          社会の課題に、ゆるく切り込む

          「書く」暴力

          先日、ある本のエピローグを読んでドキリとした。 章の見出しは『「物語」という暴力。「書く」という加害』。 書き物を仕事にする、あらゆる人に向けられた問いだと感じた。 言葉は檻である著者曰く、言葉にすることは「経験の固定化」とも呼べる。 ある日見た朝焼けの色。感じてきながらあえて言葉にしなかった経験。 そうしたものを書く、もしくはそれが誰かによって書かれることは、経験やものの感じ方を定義することにほかならない。 人間は社会発生以来、言葉による定義で意思疎通を図ってきた。

          「書く」暴力

          人類よ、学徒たれ

          「大学でさ、わざわざ勉強して何になるの?」 「文系やアートってあまり就職に意味ないし……」 そんな声は、私の大学生だった時分にもよく聞こえました。 学びの価値に敏感になるのも当然です。 学生は本能的に、今という時間の貴重さを知っています。 青春は一瞬、だから少しでも価値あるものを――。求めた結果、価値基準が「就職に役立つか否か」になるのも、無理からぬことです。 大学で学んで何になるのか。 以前は答えられませんでしたが、いまは違います。 花の咲き初む、春。私はいま、転職

          人類よ、学徒たれ

          本を付箋でべったりにできるか?

          よく読む人と自分とでは、本の読み方が違う。 そう気づけたのは、ここ最近読書家の方とリアルで会ったり、noteにある写真を見ていたからかもしれない。 本を読む目的によって、あとは当人の好みでも、もちろん読み方はちがうだろう。ただ、一部の読書家に共通するのが「本に付箋を貼る人が多い」点だと感じた。 一度限りの読書体験ならそれでいい本は、個人的には一度読まれるだけでもじゅうぶん幸せだと思う。 一説には、毎日二百冊。これだけの本が出て、購入された上に最後まで読み切ってもらえるこ

          本を付箋でべったりにできるか?

          こころを救ったノート

          ※ 本文中に精神疾患に関する記述があります。   しんどくなったらただちに読むのをやめてください。   また、特定の治療法の効果を保証するものではありません。   治療法についてくわしく知りたい方は必ず医療機関でご相談ください。 暗闇の中でつづったノート20代の頃、うつの症状が苦しくてしかたがない時に、 無意識に続けていたことがある。 当時はキャリアが閉ざされ自分の道が見えず、 人には到底言えないような苦しみを抱えていた。 ルーズリーフを半分に折り、左半分にひたすら思い

          こころを救ったノート

          ゴーストリィ・フォークロア~英国幽霊譚~

          ぽう、と灯りがともり、誰もいない暗夜の路地を掠める。 ホタル? いいえ。ここは英国。 地球の真反対にあるこの島国は、日本に負けじ劣らじ怪談の宝庫。 ウィル・オ・ザ・ウィスプ――。 かの幽霊火が生まれたのも、この国なのですから。 今回はかねてより読みたいと話していた、 「ゴーストリィ・フォークロア 17世紀~20世紀初頭の英国怪異譚」 のご紹介です。 本書の概要この本はかつてあった雑誌「幽」に連載していた「幽的民譚~ゴーストリィ・フォークロア」を編纂したもので、英文学に精通

          ゴーストリィ・フォークロア~英国幽霊譚~

          型を知り、型を破る~小説書きへの指南本~

          「プロだけが知っている小説の書き方」を読みました。 買った当時は仕事が忙しく、読み終えるのが今になってしまったのですが、 「今小説を書いている人」にはぴったりの本だと感じました。 小説投稿サイト「ノベルアップ+」で募ったアンケートをもとに一問一答で答えているので、悩みに沿って拾い読みできるのも本書の利点です。 基本的に読者の悩みから出発してるので、蘊蓄(うんちく)が長々と書いてある……ということもないのがありがたいですね。 注意点は、本書の対象が(やや)既に執筆経験のあ

          型を知り、型を破る~小説書きへの指南本~

          透明なひと、なんていない

          いつも読んでくださり、ありがとうございます。 今回はすこしだけ真面目で、センシティブな内容です。 小説などの物語と「病気や障害のある方」の描き方のはなし。 しんどければ無理せず、ページを閉じてくださいね。 透明になってしまったひとたち物書きをはじめてしばらくたった頃から、 どうしても気になることが出てきました。 「なんで障害のある人を出すのはタブーなんだろう」 特に商業の世界では、 病気や障害をテーマに扱うのはとてもリスキーなものです。 たとえばよく知らない人が案を

          透明なひと、なんていない

          雑記 2024-3-16 積読タワーのふもとより

          ここ数日は就活準備やら勉強やらで忙しく、noteから遠ざかっていました。 役に立つことだけ書きたい派なので日記的なものはあまり書いてなかったのですが、活動記録もかね、たまには雑多に書いてみたく思います。 読んだ本大学院修士課程アンソロジー 研究生活論考 修士課程在籍・修了エッセイ集 普段なかなか見えない、大学院修士課程の実態を赤裸々に描くエッセイ(いくらかフェイクはあり)。院進に魅力を感じつつも生涯賃金と天秤して断念したクチなので、院生の響きは個人的にすごくぶっ刺さりま

          雑記 2024-3-16 積読タワーのふもとより

          あまりやりたいことが取っ散らかっても仕方ないのですが、 時間があると夢が無限に増えていきそう。 ・本を読む ・小説を書く ・オリジナルのTRPGシステム構築 ・英国伝記ものシナリオを書く ・仕事以外の分野で福祉にかかわる ロードマップを描いて、歩んでいければと思う。

          あまりやりたいことが取っ散らかっても仕方ないのですが、 時間があると夢が無限に増えていきそう。 ・本を読む ・小説を書く ・オリジナルのTRPGシステム構築 ・英国伝記ものシナリオを書く ・仕事以外の分野で福祉にかかわる ロードマップを描いて、歩んでいければと思う。