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「カメラを止めるな!」騒動から考える二次創作

これは #カメラを止めるな をまだ鑑賞していない筆者がテレビメディアの騒動報道を見て、ただ思ったことを憶測と偏見で書いたエッセイであり、「カメラを止めるな!」を批判する意図はありません。まずは、今回の騒動に発展した経緯を簡単に記しましょう。

「カメラを止めるな!」は映画のパンフレットによると「とある小劇団の舞台を見て、その構造に着想を得て本作の企画を発案した」オリジナル作品だそうです。その元ネタとなった舞台というのが劇団PEACEの「GHOST IN THE BOX」という作品です。「GHOST IN THE BOX」の作者はそれを知って、『「カメラを止めるな!」は自分の作品のパクりだ』と著作権侵害を主張したという流れです。筆者はこのことを知り、「GHOST IN THE BOX」の作者の主張にとても共感しました。

仮に、自分が無名作家だったと置き換えて考えてみたら分かりやすいでしょう。自分がありったけの心血を注いで作り上げた小説なり漫画作品なりがヒットはせずとも雑誌に掲載されてから数年後、自分の作品と類似点が満載の作品を別作家が日本全体で大ヒットさせているようなものです。しかも、その作者は着想を自分の作品から得たと言いつつオリジナル作品だと主張しているのです。そうなると、先に発表した者としては面白い訳がありません。そして、こういったことが公に認められればオリジナル作品を作ること自体がバカバカしくなってしまいます。「GHOST IN THE BOX」の作者は、本当は自分の物なのに自分の物じゃないという強烈な不快感を感じているものと推察されます。

しかしながら、「GHOST IN THE BOX」の作者が発したコメント「お金が欲しいからではない。原作が自分の作品であると分かって欲しい」というのが筆者は釈然としません。「カメラを止めるな!」のエンドロールで流れているように「原案」とすればお金は発生しにくいものの、「原作」と認められればDVD化・BD化などの二次利用がなされれば原作者に著作者として金銭を受け取る権利が発生します。つまり、原作認定→金銭発生という切り離せない図式がある以上、上記のコメントには文言上の矛盾が生じているのです。

本当にお金が欲しいわけではないのなら、現に「カメラを止めるな!」のエンドロールで『原案:劇団PEACE「GHOST IN THE BOX」、スペシャルサンクス:作者名』と記載されているだけで充分でしょう。しかし、それでも満足できないということは、原作認定もお金も欲しいという蓋然性が高いと考えざるを得ません。原作者なのですから正当な対価を要求するのは当然とはいえ、「お金が欲しいからではない」という前置きは余計だという気がします。原作認定と金銭授受を切り離せたら、原作認定だけ欲しいという意図なのかもしれませんが、それは机上の空論でしかありません。

さて、筆者はテレビメディアが報道していた両作の類似点を見比べると、「カメラを止めるな!」は「GHOST IN THE BOX」の二次創作っぽいなと思いました(オリジナル作品として主張するのは無理があると感じています)。これまでに世の中に発表された作品の構造を利用するというのはさほど問題ではありません。作品の構造とアレンジについては、下記の岡田斗司夫ゼミを(動画本編の26分頃から)見ると分かりやすいでしょう。

今回の騒動が起こったそもそもの原因は、登場人物(キャラクター)やストーリー、セリフ、設定に対してパクりだと気づかれないようにアレンジしていない(甘い変換をした)ことに尽きるのでしょう。それだけで、筆者は二次創作っぽいと見なしたわけです。動画の漫画「DEATH NOTE」を新たに少女漫画に変換するという試みのように、全く雰囲気の異なる作品にしなければいけなかったでしょう。

コミックマーケット(コミケ)では、原作のある作品やキャラクターを好き勝手に使った二次創作作品が毎回大量に売られていますが、出版社や原作者が著作権侵害を申し立てることは滅多にありません。その理由は一々訴えていたらキリがないというのもありますが、作品を盛り上げたり、宣伝になることを考えて見て見ぬフリをしてくれているためです(著作権の侵害はいつでも主張できる)。ただし、それは原作の売上を極端に奪わない範囲での創作活動を守っている場合に限る、という話です。

今回の「カメラを止めるな!」と「GHOST IN THE BOX」の騒動においては、コミケでの二次創作作品が原作より爆発的に売れてしまったことに似ています。原作の売上を極端に奪ったことにより、原作者が著作権侵害を申し立てたと言い変えれば、「GHOST IN THE BOX」の作者が言っていることが理解できるわけです。

筆者は両作品を見ていないので、どれくらい似ているのか知りませんが、類似点がたくさんある二次創作のような作品が完全にオリジナル作品として認められることになるのは、後発の作家が後だしじゃんけんをして勝つようなもので、先発作家の立場だったら「やってられんわ、こんなの」と感じるだろうな、と思った今日この頃でした。

( ˘ω˘ ).。oO( しかし真相はどうなんでしょうね?


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