求人広告営業にこそクリエイティブ研修を
我が生涯に一片の悔い無し、と言いながら人生の幕をラオウ的に閉じていきたい今日この頃です。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
とはいえ後悔だらけの人生です。
ああ、あれもすればよかった、これもすればよかった。あるいはあれはやるべきじゃなかったな。こうやればもっと上手くいったのに。
グチグチグチグチ悔やんでばかりの毎日。どうやらラオウには一ミリも近づけなさそうです。
そんな後悔の中でも特に、前職においてひとつ大きく悔やまれることがあります。
それが「営業向けにもっときちんとクリエイティブの研修をやるべきだった…」ということ。
本当、後悔しています。反省すらしている。
今回は反省文です。
いつもか。
やらなかったのはなぜか
前職の会社は設立535日で当時のヘラクレス市場に上場するほどの成長性を誇っていました。その理由はさまざまで、プロダクトやユーザーファーストの思想、クリエイティブなどがあげられますが、最大の武器は営業力。
そりゃ、もう、惚れ惚れするほど屈強な営業部隊でした。
なんたって23時に「いってきまあっす!」と元気よく会社を飛び出して、戻ってくるのが午前2時。いくぶん疲労気味の「ただいま帰りましたぁ」に「おう、お帰りぃ!」と背中を叩く営業マネジャー。いまではいろんな角度から考えられませんが、当時はね。
ま、それを見ている制作部門のオレ、もいたというね。
そういう会社であり、そのDNAは8年ぐらい?受け継がれていきました。
当然、一にも二にも数字になるわけです。目標は必達なわけです。20代前半の若い男女が「ほしいものは?」と聞かれると「受注です!」と食い気味に答えるわけです。
そういうソルジャーたちに向けてクリエイティブ研修というものは、なんというかこう、飯盒炊爨のやり方を教わるみたいなもので、うわっつらをさらっとやっておけばいいと。
営業時間の邪魔になる、とまでは言われませんでしたが近いニュアンスは感じました。
また、受注する前から納品のことを教えてもピンと来ない。ある程度売れるようになってからお願いします、と言われたこともあります。
ぼくは、当時、あまり深く物事を考えていなかったので、そういう申し出に対して「はい」と二つ返事で承諾していたのでした。
だけど本質のところでは
営業の責任者と話したことがあります。
売れる営業について。
彼はいいます。新規を爆発的に開拓する力があり、顧客をガッチリつかむことでリピートをもらえるのが売れる営業である、と。
なるほど。
前半は営業力そのもの。ソルジャーですね。
でも後半は…効果が出ないとリピートもらえないですよね。
では効果を出すにはどうすればいいか。
効果が出る求人広告を作れる必要がありますね。
それはハヤカワさんの仕事でしょ。
そうですね。
ん?そうだけど。
効果が出る求人広告を作るには制作のスキルだけでは限界があるんですよ。営業がきちんと顧客の業界を理解し、その中で顧客の立ち位置や魅力、強み弱みを把握すること。さらに顧客の採用力を客観的に分析すること。その上で募集要項を見て相場観から期待値調整をすること。
顧客で働く魅力をあぶり出せるぐらいの情報を収集してくること。
そのためには、それら一見すると数字と無関係な行為をなぜやる必要があるのかを頭ではなくて腹でわかる必要があると思うのです。
だから、きちんとクリエイティブ研修をやるべきだった。
制作配属の人たちにやることと、ほぼ同じレベルの研修を。
自分で広告をつくろうとしたときに、情報が細いといかに何も書けないか。それでも応募効果を求められる、効果責任は制作にあると言われる恐怖。それをわかる必要があった。
さらにいえば一見数字と関係なさそうな行為の一つ一つが全て効果に直結し、やがてリピートにつながる。新規開拓の何十分の一の労力で数字が稼げるリピートに。
それを数字に換算したらいくらになるか。
スパコン「京」でも使ってガッツリ試算すればよかったです。
もしやっていたとしたら
世の中の求人広告の営業マンが、もっと求人広告の営業という仕事のことを好きになってくれたかもしれない。
もっと求人広告の営業という仕事を、面白く、深みのあるものに昇華してくれたかもしれない。
もっと求人広告の営業という仕事を、長く、一生の仕事にしてくれたかもしれない。
なぜこんなことを思うかというと。
いま、ぼくが所属している会社の求人広告事業部門が、求人広告営業の経験者を募集しています。
だけど、求人広告の営業を経験した人が、もう一度違う会社で求人広告の営業を仕事にしようとは、なかなか思ってくれない。
どちらかというと、もう二度とやりたくない、と思っている。らしい。
こないだ、ある会社のWebマーケターさんにインタビューをした。その人は前職で求人広告の営業をやっていた。懐かしさもあって、求人広告の話を少し振ってみたんだけど…
彼いわく、入社前のイメージと違って数字、数字、数字で、正直お客様を騙してスペースを売りつけてくる仕事に嫌気がさした、って。
いまだにそんなことやってんだ…
その会社は代理店ではなく、版元です。みんな知ってる大手版元の大阪支社。彼は新卒入社一年目で辞表を出したら上司から「辞めるなら結果を出してから辞めろ」と言われたらしく、非常にありがちなリテンショントークなのですが、それもそうだと気持ちを切り替えて二年目に営業トップの成績に。そしてリーダーに昇格した瞬間に辞めたんだそうです。
もったいない。
誰か、彼に求人広告の面白さ、奥深さ、大切さを教える人はいなかったのか…
そう思っているときの自分が完全にアメリカに渡った矢沢くんを案ずる安西先生のまんまだ、と気づいてちょっと笑ったほどでした。
もちろん
ぼくが業界最後発(当時)の版元で、ひとりでギャーギャーわめいても、業界全体の流れは変わらないでしょう。
ただ、ギャーギャーわめくこともしなかったことを、後悔しています。
わめいた結果どうなったか、がわかるだけでも、もしかすると少しだけ状況が変わっていたかもしれない。無駄な話かもしれないけれど、それを聞いた営業マンが誰かに話し、その誰かがまた誰かに話し…といった連鎖が小さな奇跡を起こすかもしれない。
そう、ぼくはいつだって小さな奇跡を信じているのです。
だからこそ、小さな奇跡にすら賭けることをしなかった、あるいはできなかった30代前半の自分を後悔しているのです。
いまからでも遅くない?
そうかもしれません。なのでこうやって誰が読むとも知れないnoteを書いているのであります。
以上、自分自身に向けた反省文でした。
もうしません。
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