白華 繡

心理学・教育学。檸檬か哲学かそれが問題な社会人大学生。葡萄女史は波飛沫に足を絡めるが海…

白華 繡

心理学・教育学。檸檬か哲学かそれが問題な社会人大学生。葡萄女史は波飛沫に足を絡めるが海中の人魚に口封じされる。木漏れ日の鍵盤はドビュッシー。跳ねる指先が痛い。歳妙少女は哲学科。筆者の書籍を発送完了。受賞作品は図書館に通算5作品ほど納め。秋は小さな植木鉢に野草の種を蒔く。空が高鳴る

マガジン

  • 愛のスケルツォ〜処女詩集〜第1巻

    目次 ・古い海老 ・誘惑のシャボン ・安宿の水 ・隠微の音色 ・ねえ、やめないで… ・砂時計の少年 ・エクレアの殻 ・嫉妬ごっこ ・ベッドサイドのスフレ ・ホット・ジャム ・窓辺の悪戯 ・銀の手鏡 ・化粧パフ ・ストロベリーソース ・真紅のクリスマス ・不能のクルトン ・躾けてあげる ・氷のゆりかご ・バニラ ・太陽のラムレーズン ・甘美な胎児 ・冒涜のお茶会 ・言えないの ・悲しくて ・コインの木馬 ・錆びた愚男 ・挑発と羊飼い ・流れる ・倦怠の菓子 ・私の騎士 ・憂愁の泡 ・首ったけ ・昼下がりの情事 ・ラムとドレスの砂糖漬け ・闇夜のご褒美 ・悦楽の髪飾り ・卑猥な花 ・純潔の百合 ・アンプロンプチュ ・甘くて苦いの ・お気の毒さま ・待てないの ・ご冗談を? ・飼い猫 ・おねだり ・唇とヴェール ・オーガンジー ・だいきらいよ ・シャンパン ・聖区 ・夏の実 ・バニラ、他。

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おはよう

    • duo≒friends

      呼吸に馴染む友はいますか? 歩いて行ける距離にいますか? そのひとは あなたの孤独を察して そっとやってきましたか なにも訊かず なにも話さず 特別やさしくもなく 特別ほほえみもせず ただそこにいて おおらかな態度で 穏やかな涼しい声で ただ過ごしているような そよ風とカーテンの間柄 一緒に呼吸して いつのまにか息の合う そんなやり方をして 何の気なしに 黙って 時間に寡黙を孕ませ いつもと変わらずまたねといって 帰っていく影のないひとですか 気の利いたことは一つもしないまま

      • 時間の層から

        悪いことをして 堕落して 人でなしになって それからあの世に帰っていくけど それをするためだけに わざわざ此処に 生まれてきたのか 思い出せるのか。 だけどどうやら 自分のせいでも 他人のせいでも どっちかいっこ だけでは無いようだ。 影響を受け与え 自分に戻ってくる時 火傷のように熱いから パッと手を引いて また突っぱねる 反射。 自分の突き放した自分の人生は 自分の突き放した自分の丸ごといっこの命を ビーチバレーのように反復させる。 相手の影響とこちらの影響と ポン

        • たとえそれが どんなでも どんなことでも それがじぶんであるならば どうか そのままでいてください 日記帳の筆跡は だあれ? 他人が他人の存在を許容できない そんな無意味があるなんて とんちのようにとち狂い 脅かすことでしか自分自身の存在を 許してあげられない 刃物のような人間の苦しみは その鋒を丸く実る甘い果実に向けた プラムの肌は真っ直ぐに 刃に微笑む 無邪気に優しく 微笑して そんな相手を迷いなく懐にうけいれる だから刃は固唾のみ 自分自身を疎外する この所在

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        おはよう

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        • 愛のスケルツォ〜処女詩集〜第1巻
          50本
          ¥100

        記事

          ティンカーベルの魔法の粉は、これから出会う桃の恤界

          人間は、あまりにも深く悲しんで泣いた時 その心痛の酷さから血の涙が零れるとか。 血涙、泣血。 最後の最後に枯れたのだそうだ。 そんな人をなかった事のように放っておけるから 人間の偉大さを感じる。 記憶を書き換えるほど。 朝の市場でとてもきれいな桃が並ぶが 通りすがりに握り潰すかの様だ。 人の視線はそのようだ。 けれど認めて欲しい。 どれほどの数の人間がそれを上回り優しいかを。 情けをかけ その温かい手で見ず知らずの人間の涙を拭い 抱きしめ 料理を作ってもてなして 辛かったねと

          ティンカーベルの魔法の粉は、これから出会う桃の恤界

          レモンの呪文🍋

          レモンの呪文🍋

          雨葡萄

          起こる絶望を攻略しながら 秩序は無秩序へと向かう 花が散るように人は去り 雨が降るように薄情に濡れる 傘はなく靴も持たない 朝か昼か真夜中か あの日か今か、まだ来ぬあの日か 何の区別も持たぬまま ぼう然と池のほとりにたたずむと 両手いっぱいに果物を抱えた 少女たちがやってきた 桃やりんごや柑橘と パセリやセロリも持っていた 1人の小さな子供がついてきて あの葡萄が欲しいと言った 少女の小脇に抱えられた葡萄が答えた 「僕のことが欲しいのかい?」 甘くて酸っぱくておいしい

          渇望の砂場

          いつも、どこからか音がした。 それは放課後であったり 夜明け前のベッドの中であったり。 公園の枯れた蛇口であったり 太陽が2つ昇った昼であったりした。 ときにはまだ眠たい猫であり ときには飢えを知らない仔犬あった。 闇と闇との傷口から溢れ出るものは 真っ白な光で 時間も空間もなく 愛も質量もなく 記憶もなく それ自体がなかった 純白のなでしこのように 清廉潔白で 滴ることのない 罪であった。 祖母の呼ぶ声を振り払い 母の呼ぶ声を振り払い 弟と妹の呼ぶ声を振り払った。

          渇望の砂場

          どうして1人で頑張ってるんだろう。

          どうして1人で頑張ってるんだろう。

          夏期講習

          同じクラスの友達と歩道を歩いていたら、空から雲が流れ落ちてきた。 1週間も欠席が続いているクラスメイトの家へ行った。 玄関先で、「病気なのよ」とだけ母親がいい、私たちが手土産に持っていったショートケーキをそのまま持って帰された。もちろん、皆で書いた手紙も受け取ってもらえなかった。母親はただ一文字に唇を結んで左右にちいさく首を振り、NOの意思表示をした。 犬がついてきたので、今日野良犬はなかろうが、と思いつつ首輪を見るとクラスメイトの家の住所が書いてあった。 私たちは道端にしゃ

          夏期講習

          まけやしないさ

          身動きのとれない井戸 時代という 世間という または 自分であり 生きようとする情熱である 井戸を満たす清らな水は 乾いてもエネルギー 枯渇しても未来 存在しないかもしれぬ愛 信念に生き 明日にたどり着けば ちいさくとも あなたはそれを成し遂げた 苦しくとも 信念なき安泰よりは 果たしている 証 それは立派なことだよ よくやったねと 鳥や魚や虹や 風にはくっきり見える 誉むべきあなたの尊さよ 決してひとりじゃないし けれど 一人だから それが一番あなたを鍛え育てて 強く美しい

          まけやしないさ

          緑色の天使は振り向いてアタタカイと言った

          データ移行が完了しましたので全編をお楽しみください。(2022.3.18) 昔の作品です。 原稿用紙からデータに起こす作業のまだ途中です。前編とみなしてください。後日、ゆっくりと後半のデータ起こしします。お楽しみに!(2021) 緑色の天使は 振り向いて アタタカイと言った  現実から一歩浮いた、どこかを区切る細い一本の線の上に、私はいる。 いつもいつも、私は自分がどこにいるのか、はっきりと説明することができない。  17歳。夏。ようやく始まった夏休みに、私は、

          緑色の天使は振り向いてアタタカイと言った

          お互いがんばりましょう✨

          お互いがんばりましょう✨

          光 運

          🌕 そのひかるものを 手にとってごらん 世界が見えるだろう 美しく輝いて それなのに 冷たい涙を零してる 運命と言うものの心の痛み こんな悲運があるものか 青も緑も赤も黄も 空も 誰も知らなかったんだ 誰も助けない 胸の奥に手を入れて その光を差し出して

          沈澱

          足元に銀貨が1つ落ちていた 一歩また一歩と進むと キラリと輝いた 一枚また一枚と 銀貨を拾いながら歩く ずっと来て 夢中になって ここがどこかわからない すっかり真夜中になっているのに 僕は 煌めきを探してしまう 少し先へ 闇を腕で掻き分けながら 一歩また一歩 俯き進む 少し不慣れな匂いがした はっとして目を見開くと 空からどんどん降ってくる 金の粒が降ってくる まばゆさに我を失って 降り注ぐ金貨を見ていた さらさらと降るそれは 音を立てることもせず 足元の沼に

          虎罪虎

          自分の見ているイメージを見ている虎がいる それが真実だと思っているけれど 虎の心から生まれ 虎の頭脳のスクリーンに 映し出す像の 材料を作ることができるのは 虎自身 彼以外の誰にもないこと 誰にもできないのに 自分の産んだ色と 自分の産んだ形と 自分の産んだ香りと 自分の創り出した善悪を 目の前の白紙の人間に映写する ナレーションをつけているのは虎自身であって そこに映っているものに怯え その解説に錯乱する 意味づけをしているのも虎本人であって それを判断しているのも