【詩】A Day in the Life(改訂)
A Day in the Life
君がいてネコがいてバーモンドカレーを煮込む臭いがして中辛の君がいて何事も君に合わせるぼくがいてふたりと一匹は白いミルク渦のようになって日曜の朝昼兼用の食事をする
君があとかたづけのために片膝を立てれば陰りに白いパンツがほのみえてぼくはなぜかむでぃーかつやまの消息が気なりだす
ささやかなよろこびをわかち合うためにぼくはネコと君も好きなチェットベーカーのマイ・ファニー・ヴァレンタインをかける
窓の外はどうやら木枯らしのくもりらしい
ぼくたちふたりといっぴきは
神さまのように昼寝をしてそのまま夜をむかえ
昼の残りのカレーを食べる
テレビのバナナサンドは快調に君を笑わせ
ネコはこれ幸いに君の膝を占有している
そして ぼくは思う
これ以上なにがいるだろうか、と
月は雲の上だがどうやら今日は十六夜らしい。君のえらんだ菫色のカーテンをしめるとネコは喉を鳴らし、ぼくたちは南仏ワインの享楽に酔う
ねこに添い寝している君の耳たぶはすっかり夕暮れ色に染まり、消化されたカレーライスがぼくたちの体臭となって闇に薫る
ぼくは思う。時こそ今 永遠を超えたりと
ミサイルが日本上空を横切った日に思ったことは、なにもできない、なにもできないのだから淡々と当たり前の日常をおくるしかない、ということだった。それは、そのときがくればそれはそれでいい、という落ち着いた気持ち、ある種の諦念めいたものだったようにも思う。
そして、そのときぼくの頭に浮かんできたものは次の三つ。
○ 遠藤賢治の「カレーライス」
♫きみもねこも ♫ みんな好き~だね ♫ かれ~らいす
○ チェット・ベイカーの「マイ・ファニー・バレンタイン」
♫ マイ ファニー ヴァレンタイン
スウィートゥ コミック ヴァレンタイン
ユー メイク ミー スマーィル ウィズ マイ ハート ♫
○映画「存在の耐えられない軽さ」のトマシュとテレサの事故死の場面
Noeさんの記事に「2人の死はなんだか羨ましい」とありました。
ぼくもそんな気がします。
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