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心理的安全性を高めるため(組織の成功循環モデル by ダニエル・キム)

前回の続きになるが、ある日の研修で、とある企業のマネジャーから追加の質問を受けた。

「心理的安全性がなんなのかは分かりました。じゃあ心理的安全性ってどのように高めるんですか?」

確かに、「心理的安全性」が大事だと色々なところで謳われてはいるが、あまりその高め方を言及している文章は見たことがない。

私は「心理的安全性」を語る際に、よくマサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱していた「成功循環モデル」を活用する。

図1

これは、要するに「組織の結果を得たければ、直接結果を高めようとするのではなく関係性から働きかけよ」ということである。
好循環が回る組織は、一見、遠回りかもしれないが、「関係の質」を高めることで結果の創出に向けた思考や行動がポジティブになり、結果として「結果の質」が高まるということ。その結果を高めることができた成功体験が、さらに強固な関係性を生むエネルギーとなる。
一方で、「関係の質」が高まっていないのに、はじめから「結果の質」を高めようとすれば、組織はギスギスし、後ろ向きな言動になり、最終的に望ましい結果が得られない。そのこと自体がさらに関係性を悪くすることにつながる。

この考え自体は素晴しいモノだと感じているが、私はさらに注目したいのは図の左下にある「関係の質の5段階」が重要だと考える。
「関係の質」が高いということを「心理的安全性が高い集団」と置くとすれば、「心理的安全性」を高めるためには、「関係の質の5段階」をひとつひとつ丁寧に登っていくことが大切であると考える。

図2


では、どのようにレベルを上がっていくのか。

●レベル1→レベル2ここで大事なことは、「知り合う」こと。ただ単に知っていることではなく、「共感の接点」を見つけることである。そのために、そもそも相手に興味を持って、一見、生まれも育ちも異なるが、それでも「共感」できる部分を見出そうとすることでレベルが上がる。

●レベル2→レベル3ここで大事なことは、「分かち合う」こと。お互いの関係における壁を取り外すことから「分かち合い」が始まるため、立場や役割(上下のような)を取り外して、一個人として向き合うことと、その上で、相手に信頼して欲しいのではなく、自分から心を開いて信頼を前払うことでレベルが上がる。

●レベル3→レベル4ここで大事なことは、「想いを交換する」こと。リーダー自身が借りてきた“べき論”ではなく想いを自分の言葉で語り、相手の想いも受け止めて、想いを共鳴することこそが、真の目的の共有になり、次のレベルへのステップアップとなる。

●レベル4→レベル5ここで大事なことは、「喜びポイントが揃う」こと。共通の目的を達成するための判断軸をすり合わせるだけでなく、組織において、「何が嬉しいのか」「何が悔しいのか」が揃うことで、組織を高めていくためのエネルギーを高めていく。

ざっとポイントを記載したが、この「関係の質の5段階」を指標として、「今、自分のチームはどのレベルにいるのか?」、そして「レベルを上げるために何をするべきなのか?」を考え続け、「喜びポイントが揃う」みんなで同じ経験を喜び合うことができる組織をひとつでも増やして行きたい。

株式会社hakumei CEO 高橋潤

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