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京都で開催されている羨ましすぎる展覧会……『村上隆 もののけ 京都』@京都市京セラ美術館

先日YouTubeを見ていたら、そのオススメに「村上隆、YouTubeチャンネル始めます」という動画が表示されたんです。その時は「美術っぽい動画をたくさん見ているから、現代美術家の村上隆さんが表示されたんだろうな」と思っただけで、見ることもなく過ごしました。

わたし、このnoteでは美術っぽいことも書いていますが、現代美術にはあまり興味が抱けません。正確には、現代美術を見に行くために美術館へ行くというのが、馴染めないというか……。現代美術は、街中にも(家電製品や息子の図工の作品など)家の仲にも溢れているので、わざわざ美術館へ行くのもなと。

ということで、現代美術の展覧会は、ほとんど行ったことがありません。前述の村上隆さんについても、京都の京セラ美術館で個展が開催される…されているというのは知っていました。でも、場所が京都ということもありますが、もし東京開催だったとしても、見には行っていなかったように思います。

それがですね……今はすごく見に行きたくなりましたw

なぜって、数日前に公開された村上隆チャンネルを見たからです。それは、記念展『村上隆 もののけ 京都』で展示されている……撮影当時は製作真っ最中だった《村上版「洛中洛外図」》について、本人が説明してくれている動画でした。そこで知ったのですが、同作は桃山&江戸初期に活躍した岩佐又兵衛《洛中洛外図屏風》を、本歌取りした作品なんですよね。

岩佐又兵衛に限らないのですが、《洛中洛外図屏風》みたいな街を描いた大きな…もしくは絵巻のように長い作品が、わたしは大好きです。それらを現代の美術家がリスペクトしながら、現代らしい描き方をされている作品も、同時に好きなんです……特に追っているわけではありませんけどね。東京スカイツリーを登る時に通る、通路にあるチームラボが作った(?)《隅田川デジタル絵巻》とか大好きです……って、まぁ鳥瞰図が好きなんでしょうね。

それで、《村上版「洛中洛外図」》に話を戻すと、動画を見ていて驚きました。村上隆さんって、東京藝術大学美術学部日本画科卒業だったんですね。もちろん東京藝大出身と言われても驚きませんし、何度か聞いたことがあった気もします。けれど、村上さんの代表作……というか普段眼にする作品しか知らないわたしは、日本画を専攻していたとは!? となりました。

そして、もっと驚いたのが……動画の中で語っていた次のコメントです。

今現在(この《洛中洛外図》について)は、岩佐又兵衛……私の師匠である辻惟雄(のぶお)先生の大好きな作家さん、作品なので、弟子である私が、師匠の辻先生の『奇想の系譜』の文脈を借りてスーパーフラットとコンバインして作った作品です

YouTubeの村上隆チャンネルより

村上隆さんが、なんちゃって美術好きのわたしでも聞いたことのある(会ったことも著作を読んだこともないけれど……あの)辻惟雄さんの弟子だったとは!? ←かなり有名な話なのでしょうけど、わたしは初めて知りました。

ところで辻惟雄(つじのぶお)さんって誰だよ? って話ですけど、Wikipediaでみてみると……美術史家なのだといいます。東北大学や東京大学で教授をしたあとに、千葉市美術館館長や多摩美術大学学長、MIHO MUSEUM館長などを歴任しています。

さらにWikipediaには、1970年に著した『奇想の系譜』などの著書で「従来の美術史ではあまり評価されていなかった岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳などを『奇想の画家たち』として取り上げたことで江戸絵画の再評価を促し、日本の美術史に大きな影響を与え、特に1990年代以降の若冲ブームの立役者となった」としています。

え? とてつもなくすごい人のようです。大先生じゃないですか。Wikipediaの文章を読む限りでは、今の「この絵が凄い!」とみんなに思わせているのって、この辻先生の好み&基準なんじゃないか? とすら思ってしまいます。

面白いのは、Wikipediaの辻惟雄さんのページをみると「1949年秋に美術史家・源豊宗が発見し、岩佐又兵衛作と断定した『洛中洛外図 舟木本』について、1960年以来『又兵衛前派』の作と否定していたが(又兵衛の作品ではないと言っていたが)、2008年刊の『岩佐又兵衛』において自説を改めている(やっぱり又兵衛でしたと改めた)。半世紀にわたり近世最重要の画家又兵衛の研究を停滞させた」とされています。

今回は、そんな辻さんが50年も間違え続けた『洛中洛外図 舟木本』をオマージュした作品を、村上隆さんが制作したということ。

さらに今展のホームページを見ると、違うかもしれませんが……秋の武蔵野を描いた《武蔵野図屏風》からインスピレーションを受けたんじゃないかと思われる『金色の空の夏のお花畑』……残念……『美術手帖』によると尾形光琳の《孔雀立葵図屏風》という作品の村上版だと思われるそうです……があったり……

村上版《風神雷神図》だったり……曾我蕭白《雲龍図》からの《雲竜席変図 辻先生に「あなた、たまには自分で描いたらどうなの?」と嫌味を言われて腹が立って自分で描いたバージョン》だったり……

もちろんYouTubeで制作状況を見た《村上版「洛中洛外図」》だったりと……やばいなぁこれは、観たいなぁという作品がわんさか展示されています。

とはいえ京都ですからね……くぅ……。

ということで、辻惟雄さんと村上隆さんの『熱闘! 日本美術史』は、ほしいなぁ、ポチっちゃおうかなぁと急激に思ってしまっています。なんだかこの本を読めば、日本の近代美術と現代美術を、肌感覚で理解できちゃうんじゃないかと……(あくまで期待です)。

さらに以下はボストン美術館で開催された『Lineage of Eccentrics(奇想の系譜)』展の時に作られた動画です。

ということで、気分が盛り上がったものの……やっぱり京都は遠いよなぁ……いつか東京に気てくれないかなぁと願いつつ、今回のnoteは終わりにします。

それではまた

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