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読んだ本の感想という名の個人の思考

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議題として提示したいと思ってしまう、小説やルポなどの紹介的な。社会として考えるべきは、なにか? と偉そうに言ってみるが、ハココは己の好奇心で動く傾向の強い生き物なので、参考になる… もっと読む
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「美とミソジニー / 著・シーラ・ジェフリーズ」を読んでみた感想

「美とミソジニー / 著・シーラ・ジェフリーズ」を読んでみた感想

『射精責任』を読んだことによって、どうにも『女性』という立場が不利であることに気づいてしまった。

『射精責任』の感想はこちらにあります。

私は元々『男性』の生きづらさに寄り添いたい系である(はず)なのだが、女性が受け入れている《不遇》というか《不利な条件》というか、それらを当たり前としている女性を差し置いて「男性の生き難さ」を語るべき時代なのか?と。
未だに「女性の生きやすさ」なんてどこにもな

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「射精責任 / 著・ガブリエル・ブレア」を読んでみた感想(多大なネタバレを含む)

「射精責任 / 著・ガブリエル・ブレア」を読んでみた感想(多大なネタバレを含む)

目から鱗が落ちた!!!!というのが感想と言うか、読み進めると鱗がぼろぼろ落ちていくのだ。巻末に辿り着くまでに一体どれだけの鱗が剥がれ落ちただろう。落ちた鱗を数えてみようと思ったが二度と私の目を覆ってほしくないので、読み終えたときに粉々に砕くことにした。そして春風に乗り消えていくのを見送ったのだ。

なんていうアホな話はさておき。
私たちは、どうしてこんなにも当然なことを気づきもしないのか!

震え

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「されど愛しきお妻様 / 著・鈴木大介」を読んだ感想

「されど愛しきお妻様 / 著・鈴木大介」を読んだ感想

大人の発達障害を取り扱った本である。
しかし、発達障害に関わらず、あらゆる「障害」について当てはまることが書かれており、その読書は大変有意義な時間となった。

それは、障害を持つ当事者を理解することの難しさ、そして支援者的立場であった、もともと社会的弱者に焦点を当てて取材を重ねていた著者ですら、本質は理解していなかったこと。理解したつもりになっているだけであること。

彼が理解するに至った経緯は、

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「ハンチバック/著・市川沙央」を読んでみた感想

「ハンチバック/著・市川沙央」を読んでみた感想

ごめん、うっかりデビュー作ってこと端っこにおいちゃってたから実は期待しすぎていた感が否めない。
純文学デビュー作だという点を失念するほどに、ものすごく期待してしまった。恥ずかしい。めっちゃハズイ。

なぜか。それは、テーマが、ほら、ねえ。みたいな、ね。
でもっての、当事者性。これ以上のリアルがあるか?などと考えていたし。
読んだ人がみんなネットにその衝撃についてを書き連ねたりしていて、つい、ものす

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「絶歌 / 著・少年A」を読んでみた感想

「絶歌 / 著・少年A」を読んでみた感想

かなーり前に話題だったけど、ハココは、今日、今さっき、読んだんだな。
なんて言うか、まあ、本ってさあ、紙とインクとのりと使うじゃん?
その成分は愛おしいものよね。だって、それらが本ってものを構成しているのだもの。内容は何であれ、彼らに罪はないわ。

彼は、少年Aであることすら利用して、生きることにした

のだろう。わたしはそう感じた。

人間という生き物が、どれほど勝手であるのか。それを思い知った

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