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【田舎めし】パイコルネの神隠し

腹が満たせればいい
料理は火と通せばいい

「食」に対して全く関心が無かったわたしが、
現代アート作家の師匠と出会い、改心した。

「食」は人間生活にかかせないもの。
その人の価値観、生活状況、心身の調子、文化を反映するものだと気がついたのだ。

現在、岐阜県恵那市飯地町という緑豊かな場所で生活しながらアート活動をする私が、
「食」について考えるため、日々の食事を記録する。


12月4日の夕食

珍しく、師匠がおなかをさすって「今日の夕食は和食がいい…」といってきた。

ひごろは胃腸の弱い私が言うセリフだが、師匠も胃腸が荒れることがあるんだなと思い、
今回は腹をいたわったメニューにすることになった。

たまご巾着

こちらは、巾着を卵でとじ、味付けをして煮たもの。

このメニューは前日から仕込むことができるので、
お客さんを迎える前の日から準備をした。

ひと噛みすれば、出汁がじわっとひろがる。

誰でもおいしく食べれる上に、タンパク質もバッチリとれる。

お得メニューだ。

ただ、一つ難点があるとすれば、巾着に卵をいれる作業が一人ではやりづらいということ。

なんとかして、自力でできる方法はないものか…

玄米の卵かけご飯

玄米は、飯地町のかたに頂いたもの。

玄米なんていつぶりだ?なんて思っていたら、師匠が「卵かけごはんにしたい」といってきた。

玄米の卵かけごはんなんて、聞いたことないぞ

そう思いながら、出汁醤油をかけ、味の素をふり、ノリをトッピング。

よくかき混ぜて食べてみると、

うめえーーーーーー

玄米のプチプチ、もっちりした食感が卵かけごはんにピッタリ!

罪深い食べ物を編み出してしまった。
玄米を下さったかたに感謝!

大根とネギの味噌汁

味噌汁の具はネギだけでいいか、と思っていたら、
師匠が「足りない」といい、均等に大根を切って入れてくださった。

ちなみに、こちらの大根はご近所さんから頂いたもの。

ご近所さんは「ヘボ」といって、蜂の子を養殖している。
先日、ヘボを煮付けて、わざわざ持ってきてくれたのだ。

いつも頂いてばかりでいかんなあ。
師匠とスイーツを作ってお礼にいくと、かえってお野菜をいただいてしまった。

「大根もってく?」
そういって、畑にいき、目の前でズボッと大根を抜いてくださった。

まさか、畑から直接くださるとは…
土からでてきた大根は、綺麗にまっすぐ伸びていた。

丹念に育てたお野菜を下さるなんてありがたい。
そう思いながら、お味噌汁をすすった。

ハヤトウリの炒め物

なんと、こちらもご近所さんから頂いた野菜のひとつ。

ハヤトウリというもので、洋梨みたいな形をしている。

初めてみたので、どうやって食べるのかお聞きすると、
きちんとあく抜きをして、漬物や炒め物にすると教えてくださった。

私は浅漬けが好きなので、前日漬けてみたところ、味は美味しくできた。

ただ、少し香りにクセがある。

私は気にせず食べれるが、師匠は漬物が苦手。

せっかくなので、師匠も食べれるようにしようとハヤトウリの炒め物をネットで調べたところ、いいレシピを発見した。

満を持して、自力で作ってみたが、なんと味付けをミスってしまった。

あかん!と思い、慌てて醤油と香味ペーストでリカバリー。
なんとか食べれる味になった。

師匠にも「おいしい」と判をおしていただき、ほっと一安心。

味も匂いもクセがなく、おいしくいただけた。

師匠特製!レアスイートポテトのパイコルネ

今回は、嬉しいことにデザートがある。

師匠特製「レアスイートポテトのパイコルネ」。
パイ生地もレアスイートポテトも全て手作り。

パリッとした生地に、まろやかなレアスイートポテト。
しつこくない、上品な味だからか、一個ペロッと食べてしまう。

ちなみに、サツマイモは、これまた飯地町のかたに頂いたものだ。

たまたま3つ残っていたので、師匠と分けて一人一個半を食べようとおもっていた。

スマホを見ながら、パイコルネを食べていると、
師匠が「俺もたべたい」とおっしゃるのでふと、皿に目を移すと、パイコルネがない!

あれ?もう一個もってくるの忘れたのかな?と思い、台所にいくと、
なんと、全てのパイコルネがなくなっていた。

あれれぇ、おかしいぞぉ。

スマホを凝視しているうちに、師匠の分まで食べてしまったらしい。

パイコルネがあまりにおいしくて、二つ食べていることにすら気がつかなかったのだ。


ちなみに、食べているときは、自然療法に関する動画を見にがら、
「え?トマトって緑野菜だったの?」なんて考えていた。

食べ物のことを考えながらスイーツを食べるからこうなったんだー!

私「す、すみません、過って師匠の分まで食べてしまいました…」

師匠「えーーーーー!」
私「ごめんなさい…」

師匠「どうせ、あなたのことだから、スマホに集中してたんでしょ」

私「…おっしゃるとおりです」

師匠「おいしかったから、二つ食っちまったんだろう」

私「はい…すごく美味しかったです…」

つぎ頂くときは、最初から半分に切っておこうと誓った。


現代アート作家・日比野貴之のnoteはこちら。

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