見出し画像

2年間の家無し生活を経て、変わったことと変わらないこと

株式会社hakkenの竹井淳平です。
2020年11月あたりから東京都西麻布にあったマンションを引きはらって、
会社の地方拠点に住んだり、住居を提供してくれる組織に入り込んだりして、なぜか上手いこと2年くらい屋根のある生活ができました。

なぜ家がなかったのか

元々は、出張が増えたし、コロナ禍もあって東京に居ても人と会うことが減ったので、何かを変化させるとしたら”場所”だと思い立ち、気軽に始めたものです。退去時は信じられないくらい大量のモノを捨てました。普段の生活と関係ないモノの多さに驚いたのは、最初の良き気づきでした。そうして主に会社の拠点や滞在型プログラムを中心に、全国津々浦々し始めました。

さまざまな発見6つ

1/6 最も良かったこと

これは一言「いろんな人に会って、いろんな場所の魅力を知れた」という、やらなくても気づけそうな真実です。土地への訪問ではなく、短期間でも住んでみようとして街を見ると、生活者の目線で魅力を発見することができます。もちろん住んでから分かる面倒なこともありますが、圧倒的に良いことの方が多いです。仕事も、オンラインでの交流がシームレスになってきたことで、移動を続けているからその場に居ないというライフスタイルがある程度の市民権を得ていることが分かりました。ただし田舎はやはりまだまだデジタルしていないので、温かくも奇異の目で見てくれています。

2/6 大変なこと

交通費がかかります。いろんな地方に行かなくちゃいけない私の仕事特有の事情ですが、田舎であればあるほどいろんなものを乗り継いで片道数万円くらいかかるので、東京の家賃と同等くらいのコストになってしまいました。もしホテル暮らしになるとそれ以上なので、私のようにいろんな拠点が無いという場合は、宿のサブスクとか入らないと出費は嵩みそうです。

3/6 良いことに目を向けやすかった理由

住み始めると見えてくるしがらみや、理解不能な田舎ルール、高齢者の多い地方特有の変化を嫌う空気感など、移住組からよく聞かれるデメリットがありますが、私はそこまで強く感じませんでした。
恐らくその理由は「終わりがあるから」だと思います。数ヶ月住むこともありましたが、あと何十年もそこに住む覚悟ではないので、自分の元々持っている居心地の基準を求めすぎず、”街の総意の居心地基準”を取り入れて、自分との違いを楽しむようなちょうど良い距離感があったと思います。

4/6 居住の新選択肢

移住し続ける前提で住み始めるのが、精神的にヘルシーな気がします。その土地や人々に過度な期待をしすぎに、一方でフラットに堂々と意見も言えますし、多少の面倒を”経験”として受け入れる心の余裕も生まれます。
結論として、終の住処を求める従来の定住スタイルはやめた方が良いんじゃないかと感じています。家族や仕事の都合を言い訳にすれば、一箇所に何十年も定住し続ける理由は探せばキリが無いほどあります。しかしそういった不可避に思えていた”事情”は「テクノロジー」と「価値観の変化」によってかなりの部分が解決されるようになりました。住み方というのは、数百年ぶりの変革が起こっても良さそうな気配です。

5/6 自分自身の変化

たくさんあるので代表的なものを箇条書きにします。

  • 800kmくらいなら「そんなに遠くない」と感じ始める

  • 荷物がどんどん減って、最終的にリュック一つに収まる

  • ファッションは見た目より値段より「かさばらないかどうか」

  • 所有することのデメリットをあらゆる場面で味わう

  • 船とかレンタル原チャとか、移動手段をやたら工夫し始める

  • 自然の美しさの地域特有の差異に気づく

  • 東京をアウェイに感じるようになり逆に、文化的な魅力を覚える

6/6 テクノロジーと価値観の変化は、住み方にどんな変化をもたらしたか

前述したように、テクノロジーと価値観の変化によって、定住せざるを得なかった事情の大部分は考慮不要になってきました。

  • オンラインで明確で定量的な仕事の成果を出せるようになった

  • 会社に居るだけだった人や役職がバレてきた

  • オンラインツールで進捗を共有すれば、無駄に人数の多い会議が減る

  • 日本は圧倒的に生産性が低く(OECD 27位/38カ国)、労働時間も多くはない(世界 28位)、一人当たりGDPも低い(27位)、ここ数十年の日本の働き方は理想的ではないことが分かってきている

  • 「一社で勤め上げて日本経済の成長と共に自分の生涯収入も上げていく」モデルはもはや稀有

  • コロナ禍で、通勤ストレスの異常さが顕在化した

  • 教育の選択肢が増えている。義務教育期間の留学、インターへの編入、海外進学、N高、クリエイターエコノミーと普通の教育課程はたぶんそんなに相性良くない。

  • ゲームの急激な進化により、子供の学区内に居るリアルな友達だけでなく、オンライン仲間の存在が当然かつポジティブになってきている

  • 情報/選択肢/手段が増えたことで、安定的にフツーを生きることの魅力が薄れた(と感じている人が増えた、はず。)


変わったこと、変わらないこと

海外含めいろんな土地に住んできたので、他人よりは多様性に溢れた人間だと思っていたのですが、この2年で一般的な一生分くらい色んなところに住んだので、多くの違いの存在に気がつけました。というより「全員違うんだな」という当たり前だけど意識しないと忘れそうなことを体感しました。

住み方の暫定的な正解

すごく普通の結論になりますが、複数の決まった場所をベースに生活しながら、いつでも動ける準備をしておく、というスタイルが良さそうです。私には奥さんも子供も居ませんが、家族ができたとてこの前提を作れるように資産や仕事や適度なオンライン化を進めておくのが良いと思っています。移動し続けるデメリットはあるのでガチのノマド(遊牧民)生活はちょっとシンドイですが、一箇所に永住するのも実はかなりシンドイことであると気づけたので、結論はその中間スタイルです。

東京に住み始めました

地方に転々と住んでいましたが、加えて東京にも生活拠点ができました。仕事ができたのもありますが、それ以上に東京の魅力に改めて気づいたのも大きいです。やはり文化が多様で目がギラギラした人が多い東京は、大自然や土着の文化だけでは得られない刺激を与えてくれます。どちらかが欠けてもいけない、バランスが重要なんだと思います。ここに多様性や他人の価値観を愛せる文化が加わるとNew Yorkみたいになってもっと素敵ですが、日本人の性質的にそうはならないと思います。だからこそ東京に居ながら半分くらい地方に住んでいるというバランスがちょうど良いんだと感じます。
僕はいま六本木に住んでいるので、改めて東京のみなさん、プライベートが全く充実していない私を誘い出してください!

同じ生活の中での他人からは見えない変化

自分の「空気を読まないところ、仕事が好きなところ、運動が好きなところ、飽きっぽいところ、既得権益を嫌うところ、酒が弱いところ」などは1ミリも変わっていませんし、1日の生活スケジュールもだいたい同じです。よく言われますが、見た目もあまり変わっていません。ただしその同じ生活の中で感じている気持ちや生まれてくる感情は、随分と変わりました。成長でも退化でもなく、単純な変化です。同じ環境でも自分が変化することで外部環境も変化したように見える、乃至は量子力学の観点で、自分の見方によって外部環境は本当に物質的に変化しているのかもしれません。改めてアマゾンで会ったカヤポ族の悟りは洗練されていたなと感心しています。(以下参照)

いま代官山の蔦屋書店でこれを書いていて、Share Loungeのサービスの進化に入り浸る決意をしているのと、休日の遅い時間まで仕事をしている人たちを見てモチベーションが上がっています。あと、イエール大学の成田悠輔助教授もPC作業をされています。自分の観点だけで世界を変えるブッダのような強さは自分には無いので、こういう外部環境は今が一番働き時である自分を奮い立たせてくれます。この程度でやる気が出る単純な性格に生まれ、親に感謝しています。

最後に

引き続きhakkenの地方拠点には入り浸りますが、東京での仕事もしっかりやるつもりです。地域課題解決もロス野菜事業もやることがいっぱいなので、友人知人の皆さんのどんな角度からの提案でも、ご一緒できるのを楽しみにしています!一緒に地方拠点に出張して仕事作ったり、普通に東京でご飯食べに行ったり、遠慮なく結婚相手探しを手伝ってくれたり、過度な期待を抱いて、無駄に長い文章を締めようと思います。
きっとこれまで以上の変化がある2023年、hakkenの事業と私の生活に、どうぞ土足で入って変化を与えてってください!今なら何でも許容できます笑

#地方創生 #ワーケーション #多拠点生活  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?